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あなたの1番になりたい  作者: 紅葉
2/2

あなたと出会う前(2)

「良いクラスに当たりますように!」

「あれ、麻衣ちゃん。何してるの?」

「この声は……!朱里ちゃん!同じクラスだったんだね!」

相川朱里ちゃん。私と同じオーケストラ部のコントラバスをやってる子で、中一のころに他クラスだったのに仲良くなれた数少ない子なのだ。

「そだよー。やったね!ほら、菊乃ちゃんも一緒だよ。」

「菊乃ちゃん……?誰だっけ。」

「あなた同じ部活で同じ楽器でしょ。」

「……あぁ。杉野さんか。」

「苗字呼び?!他人行儀すぎない?」

「だってあんま喋ったことないし……。変?」

「変だよ。めちゃくちゃ変。」

杉野菊乃さん。同じ部活で同じ楽器だけどあんま話したことないんだよなぁ。クールというか話しかけずらくて。それにいつも本読んでて話しかけるなーって感じだし。

「菊乃ちゃん私たちと同じオタクだよ?」

「へぇー。そーなんだ。知らなかったわ……。えっと私の席はどこかなっと。あーやっぱり1番後ろだよねー。」

「「渡辺」だからねw」

「それなら「相川」だってそーでしょ!あ、朱里ちゃんだって2番じゃんw」

「1番最初じゃないから別にいいのだ!それと、相変わらず来るの遅いねー。もうすぐ予鈴なっちゃうよ。」

「まだ鳴るまで5分もあるよ?優秀すぎない?」

「麻衣ちゃんの優秀の基準は低すぎるよ……。」

予鈴の五分前ってそんなにまずいのかな?結構余裕持ってると思うんだけど。そう思いながら私は自分の席に移動した。お隣の人は……うん、話したことない人&知らない人だ!話しかけるの不安だなぁ。

ドンっ!机にリュックを置いたら、ビクッとされた。

どうやら、隣の席の子をびっくりさせたみたいだった。

悪いことをしたな、謝らなくては……。と思ったものの、喋ったことがないのでどうしたらいいか分からず悩んでいたら朱里ちゃんが助け舟を出してくれた。

「あー。涼乃ちゃん。この子私たちと同じオタクだよ。だからそんなに緊張しなくて平気平気!」

「?!」

私と涼乃ちゃん……?て子に驚きが走った。

「朱里ちゃん!何を言ってるんだい?勝手に人の……プライバシーを……。私はともかく、涼乃ちゃん……が可愛そうだよ!ほら見て!固まってる!」

「あれれ……?だって2人とも同じオタクなのに、よそよそしいからさ。焦れったくて。ごめんよぉ〜」

「それで許されると思うのか〜?」

「あ、チャイムなった。あとよろしく〜」

「ちょっと!帰るの?!この状態で?!」

はぁぁぁぁ。と思いながら横を見る。

隣の席の涼乃ちゃん……はまだ固まっていた。

このままではまずいので、とりあえず声をかけてみた。

「おーい。生きてる……?」

「……はっ!えっと麻衣ちゃんだよね!私は村田涼乃。アニオタなんだ!よろしく!」

「あ、うん。私は渡辺麻衣。アニメ&ゲームオタクだよ〜。こちらこそよろしくね!早速だけど……涼ちゃんって呼んでいい?」

「いいよ〜」

「やった!これからよろしくね!」



「はい、これから始業式なので体育館に移動します。なので、廊下に出席番号順に並んでください。中学2年生になったんだから、早めの行動を心掛けましょうね!」

担任の先生に言われて私たちは廊下に並び始めた。1番後ろだから早く並ぶとかそういうのないんだよなぁ。

「今年の春は例年に比べてー」

毎年毎年長いなぁ、これ。校長先生の話とか別に興味ないんだけど……。聞きたい人だけが聞けばいいのに。あ、朱里ちゃん寝てるな、後でからかってやろう。後ろの人だけの特権なんだよなぁ、人の隙間から人が見えるんだよねー。少し目線を手前にすると杉野さんが見えた。後ろ見ると少し綺麗な人かも。

「やっと終わったーー!始業式長すぎ!寝ちゃうとこだったよ……」

やっとの思いで始業式から解放された私たちは喋りながら自分の教室に帰っていた。

「麻衣、途中からずっと菊乃ちゃん見てたでしょ。」

「花ちゃん!いつからそこにいたの……。そ、そんなことはないと思うんだけど。綺麗な人だなぁーって思っただけで。」

「なんかじーって見てるからなんか怖かったよ。まぁ菊乃ちゃんが美人なのは当たり前だよ!すっごい可愛いんだから!私が去年から憧れてる人なの!」

「へ、へぇー。(杉野さん、ご愁傷さまです。)」

山本花香。通称花ちゃん。私の幼なじみの1人で、千春と私と花ちゃんは幼稚園からの半分腐れ縁なのだ。苗字も「渡辺」と「山本」で近いので、出席番号も前後なことが多い。とても人柄が良くて絡みやすいのだが、惚れっぽい性格で好きになったら徹底的に追いかけるというストーカー気質なとこがある。

「今年は残念だよねー。ちーちゃんだけ仲間外れなんだもん。3人で同じクラスになりたかったなー。」

「それ千春も言ってた。来年なれることを祈るしかないねー。」

「あ、教室ついちゃったや。じゃまたねー!」

ほんと、嵐のように来て嵐のように去る人だなぁ。


「始業式お疲れ様でした。これから係決めとかをやるんだけど、まず自己紹介からやろうか。はい、4つ角に座ってる人立って。4つ角の人同士でじゃんけんして順番決めよう。」

「「「「?!?!?!」」」」

この先生は何を言ってるのだろうか。4つ角じゃんけん?そんなのあってたまるか!そうだ、きっとこれは先生の悪いジョークだ……。私がそう思っても先生は考えを改めてくれなかった。

「はいやるよー!最初はグー、じゃんけんポン!」

「あっ……。私だ……。」

「ありゃ。じゃんけんした意味なかったねー。じゃあ1番の相川愛美さん、お願いします。」

「相川愛美です。去年は1組でした。部活はテニス部です。趣味はドラマを見ることで、好きな女優は新田萌香です!よろしくお願いします!」

相川愛美さんかー。可哀想だけど、じゃんけんで決まったならしょうがないよね!朱里ちゃんの1個前の人か。このクラス相川さん2人いるなんて珍しいなぁ。


なんとか1番最初ということだけは回避出来た……。ん、待てよ。出席番号順にやるんだよね?ってことは……

「私1番最後?!」

「麻衣、静かにして!次菊乃ちゃんなんだから!聞こえなくなっちゃうでしょ!」

「あ、ごめんなさい……。」

1番最後なんてプレッシャーいっぱいでやだなぁ……。それにしても花ちゃんあそこまで言わなくても聞こえると思うんだけど……。

「杉野菊乃です。去年は三組で、部活はオーケストラ部です。趣味は読書です。よろしくお願いします!」

「やっぱり菊乃ちゃん素敵だなぁ……!」

「花ちゃん、少し現実に帰ってきて。そんな顔してるなんて幼なじみとして恥ずかしい。」

私は魂が半分抜けている花ちゃんをつついた。杉野さんやっぱりなんかとっつきにくそうだなぁ。同じ部活だから仲良くなれたらいいんだけど……。


「はい、次山本さんお願いします。」

もう花ちゃんまで来ちゃった……。なんか回ってくるの早くない?あと10人くらい前に欲しいよ……。

「はい!山本花香です!去年は4組で、部活はバレー部やってます!アニメが大好きです!よろしくお願いします!」

堂々とアニオタ宣言した……。さすが花ちゃん。普通こんなに自信もって言えないもん。こういうとこだけ尊敬する……。あぁ、次私だなぁ。逃げたい……。緊張してきた……。

「はい、次で最後だね。渡辺さん、お願いします。」

「は、はい。」

ガタッと音を立てて私は立ち上がる。前を見ると花ちゃんが「頑張れ!」とガッツポーズをしていた。私はそれにくすっと少し笑って

「渡辺麻衣です。去年は2組です。部活はオーケストラ部でバイオリンをしています。人見知りなので話しかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。」

と我ながら完璧な自己紹介をした。

「よし、これで全員終わったな!じゃあ次に委員会決めするぞー。」

「あなたと出会う前」は次で終わりになると思います、多分……。(明日投稿します)

読んでいただきありがとうございました。

誤字、脱字などがあったら教えてください。

感想などもお待ちしております。

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