あなたと出会う前(1)
あぁ。言わなければ良かった。
あなたがそんな顔をするならば。
私がこんな気持ちになるのならば。
この気持ちになんか、一生気づかなければよかった……。
ー2年前ー
「はぁ……。クラス替えなんか無くなればいいのに……。」
私、渡辺麻衣は今日から中学2年生になる。なので今日は始業式がある。普通なら新学期(始業式)に喜ぶとこなのかもしれないが、私の気分は最悪である。新学期といえばクラス替え。いくら女子校だから男子の心配がないと言っても、クラス替えが嫌なの変わらない。
朝から気分下がるなぁ……。
そんな私に茶々を入れたのは幼なじみの千春だった。
「また言ってる……。いい加減諦めなよー?もうすぐ学校つくんだから。それに、ため息ばっかついてると幸せ逃げるよ?」
「千春は心配じゃないの?!クラス替え!!去年出来た仲の良い友達と離れ離れになる可能性があるんだよ?!落ち着いていられる方が異常だよ!」
「んなこと言ったってねぇ。私たちがどうにかいってなることびゃなくない?」
「そういうことじゃないんだよ!」
「じゃあどういうことなのさ……。あぁもう、学校着いちゃったじゃん。少し勉強しようと思ってたのに麻衣のせいで出来なかったなぁ。」
「家から学校まで15分くらいしかないよ?その時間で何を勉強するの……?しかも新学期なのに……。」
「時間は有効活用しないとだよー?だから、たかが10分でも大事にしないとなのだっ」
千春は相変わらず勉強バカでちっともこの心配を分かってくれない。小学生の頃から変わってないなぁ。幼なじみの私だから勉強好きなこと何も言わないけど、普通の人からしたら引かれると思う。そこんとこ分かってるのかな?
「はぁ……。クラス替えヤダ……」
「お、1組到着!麻衣の分も見てきてあげるよーっ」
「え?!ち、ちょっと待ってよ千春!自分で見るって!!」
私は慌てて千春の腕を抑えた。
「遠慮なんて要らないから!私と麻衣の仲じゃん?」
「心の準備とかもあるでしょ!それに千春見えないと思うし。」
「そんなことないよ!人混みをすり抜ければ見える!」
「人混みの事じゃないんだけど……。」
「安心したまえ!ちゃんと見てくるから!」
「あ、行っちゃった……。見えないと思うんだけどなぁ。」
千春は普通の人より背が大分低い。(本人が気にしてるのであまり言わないが)だから見ることなんて出来ないと思うのだ。
「麻衣、入口の近くで何してるの?」
「あ、茅乃。自分のクラス確認しようと思ったんだけど、あの人の量じゃ見えなくてね。」
「麻衣なら4組だったよ。」
「マジ?!ありがとっ。茅乃は何組だったの?」
「私は1組。今年は離れちゃったね。」
「えぇ……。離れちゃったの?!はぁ、こういうのがあるからクラス替えは嫌いなんだよ……。」
4組この学年で1番学校から教室遠い……。
遅刻間際の登校出来なくなるということは早起き必須?!ありえない……。
するとそこにクラス替えの表を見てきた千春が戻ってきた。
「麻衣ー!見てきたよー。私は1組で、麻衣は4組ね。」
「もう知ってる。なんで4組なんだ……。」
「えぇ?!知ってるの?!私見てきたのに?!」
「さっき茅乃に教えてもらった。」
「まじかー。せっかく見てきたのになぁ。」
「はいはい、ありがとね。じゃあ私は自分のクラスに行くよ。」
「了解。帰り一緒に帰るから置いてかずに待っててよ?」
「はいほーい。置いてったの1回だけでしょ。」
私は1回だけ千春を置いて帰ったことがある。そのときの事を未だに根に持たれてるのだ。心狭いなぁ。
そんなことを思ってる間に私は自分の教室に着いた。
「良いクラスに当たってますように……!」
読んでいただきありがとうございます。
誤字、言い間違えなどがあったら教えてください。