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異世界転生 (練習作品)  作者: れてぃ
8/9

8話


「任せてください、こんなのイチコロですよ!ぐぬっ……ふんぐぅ……」



だめだ、固い……全くほどけそうにない



「ふんぎぎ……ふすー!ふんがー!」



リーシェも頑張ってくれてるけど、このままじゃダメそうだ……



「がるるぅ……!むきー!!」



本当に……頑張ってるなあ……



「あー!も~!全然ダメです!縄が固すぎます!ゴブリンの持ち物にしては上物過ぎなんですよ!」



鼻息を荒くして訴えるリーシェ、たしかにこのままではどうしようもない……なにか手段はないか……



「あ、そうだ。こんな時のために用意していたものが……たしかこの辺に……んーっ!んぅーっ!」



少女は縛られた状態のまま、前屈みになり急にプルプル震え始める

僕は変な姿勢で必死に頑張っている姿の子を、少し面白いなぁと思いながら眺めることにする。



「ふぅ……はぁ……。あの……なんでちょっとニヤけてるんです……?そだ、その位置から取って欲しい物があるんですけど、手伝って貰えますか?」



目線で自分のスカートを指し示す、どうやら策があるらしい。



「緊急時に備えて、太ももに短剣を備えているのです!なので、取っていただければロープなんてイチコロですよ!」



得意気な顔で鼻息を鳴らす少女。さすが副隊長を名乗るだけある。

でもまてよ……これには問題がある。短剣を手に入れるには、スカートの中をまさぐる必要がある。

僕の見かけはレース入りの衣装を装った可愛い女の子、でも心は立派な男の子。

つまり僕の心はピュアなのだ……女の子のスカートに手を突っ込む勇気なんてない。なので、ここは丁重にお断りしよう……!



「え~その、別な方法ってないかな?恥ずかしくって……。」



するとリーシェは笑顔で答えてくれる。



「女の子同士だから気にしなくていいですよ~!」



途端に掴まれた左手がスカートの中に引きずり込まれて、僕は恥ずかしさで瞬時に全身が固まってしまう。



「さぁ、お願いしますね!」



これは、もう……覚悟を決めるしかない。

すぐに取って終わらせれば良いんだ、それになるべく触れなければなんてことない。

僕は声にならない声を上げながら短剣の捜索を開始する。

ゆっくりと……肌に触らないようにすればいい。



「あー、もう少し上ですね。」



探しやすい体制に整えてくれた反動で、手のひらに柔らかい感触が衝突する。

つまるところ女子の太ももを鷲掴みにしている状態。

その瞬間唐突になにか、大切な物を失っていく感覚が過ぎていった。


もう……やけだ……。

僕には異世界を救うという、なんというか……わかんないけど、大きな目的があるのだ、こんなところでつまづく訳にはいかない!

心を無にして、この窮地を乗り越えてやる!



「おぉ、やる気になりましたね!頑張ってください!」



リーシェの声援に答えたいが、集中しすぎて返す余裕がない。



「……ん!……ひぁっ!ぅ……。ファイト……!です。」



なかなか手応えがない、う~ん……おかしいな。



「っ……!ぁ……!ま、待ってください!その上は……!」



何かの布地に指がかかる、これだ!お目当ての物に間違いない。



「見つけたよ!今取ってあげるからね!」



目標確認、あとは回収するだけだ!



「ぇっ……!ライト……さん!あの……今触ってるの……その……私のパ……。パンツで……す。」



「………………。」



言葉にならない。

気まずい空気が辺りを支配する。

まるで一瞬の時間が永遠のように長く感じられるようだ。


リーシェが顔を伏せたまま、途切れながらに言葉を切り出した。



「あの、だ……大丈夫ですから……。私の事は気に……せず。……どうぞ。」



もう無理だよ!!

僕の精神が限界です。本当にすみませんでした!


罪悪感を感じながら、少女のスカートから手を引いていく。

最初から無理だったんだ……。

異世界って……本当に怖いなぁ。



悲しい気持ちのまま遠くを見つめていると、緑色をした肌の人がこちらに向かってくる。


ん?緑……色?



「リーシェ!あれって!」



隣の少女の顔色が途端に変わる



「ま、間違いありません!オークです!こちらに向かってきます!」



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