5話
母は僕を見てこう言った
「あぁ、天使が舞い降りてきたわ!あなたは今日から私の娘よ!」
いきなりぎゅ~っと抱き締められてしまう
「えっ、お母さんちょっと離して!」
「アラ!お母さんだなんて!素直な子ねぇ!」
更に強く抱き締められて、息が止まりそうになる
そして後ろからひょっこり女神様が現れる
「お二人とも、とっても仲良しですね♪」
「ぐぇぇ……」
謎の逃げられない状況に僕は脱力してしまう。
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とりあえず大体の説明はした。
というか僕が説明して欲しいくらいだ。
いきなり異世界転生しろと言われても困る
だがしかし
「良いじゃない、行ってきなさいよ!」
予測できない母の返答に、思わず驚きの声を上げてしまう。
「旅なんて若いうちにするべきよ!色んな所を見てきなさい!」
なんてこった!親公認の異世界転生になってしまいそうだ。
しかも隣で女神様はガッツポーズ決めてるし
というか、僕はそもそも行く気がないのだが!
「何かあったらアナタが守ってくれるのよね?」
「はいっ、私にお任せください♪」
と、自信満々に答えながら僕の頭を撫でる女神様
「こっちの事は気にしなくて良いから、しっかり世界を救ってくるのよ?」
もう、流れ的に断れないやつだ……!
観念した僕は、頭を撫で続けている女神様に向き直る
「じゃあ……お願いします……。」
「心得ました♪」
納得いかないが、結局行くことになってしまった
……日帰りで帰ってこれたらいいな。
そして床に魔方陣が浮かび上がる
「ハンカチとティッシュは持った?おトイレは我慢しなくて良いからちゃんと言うのよ?」
うぐぅ……!恥ずかしい……。
「では、参りましょう!遥かなる異世界の地へ!」
部屋全体が光に包まれていく、見送る母を最後に僕は意識が消えていった。