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輪廻の扉  作者: ゑ兎
第4章
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第55話 苦い昼ご飯




 ソラが居なくなったあの日から2ヶ月が経った。

 ソラがネクストで何をしているのかは分からない。僕らが有利になるように動いてくれているのを願うしかない。


 今日は学校が休みというのもあって、アストレアのメンバー全員がスミハに呼び出された。


 少し寝坊した僕が神社に着くと、他の皆はもういた。ヒナノもいた。どうせ来るのなら起こしてくれればよかったのに。

 思ったより人が多くて勘違いしたようで、マイがまだ来てなかった。

「罪が軽くなった」

「遅刻は遅刻ですよ、先輩」

 僕達はマイが来るのを待った。


 僕が来てから10分ほど経った頃、障子扉が勢いよく開いてマイが駆け込んできた。

「ごめんなさい!準備に時間がかかったの!」

 マイは息を切らせながらそう言った。後ろで1つ結びした頭の色々なところからぴょんぴょんと寝癖が立っていた。


「それで、今日はどうかしたの?」

 僕が聞くと、スミハは自信たっぷりに鼻を鳴らした。

「フフン!やっと完成したんですよ!」

「おぉ!で、何が?」

 僕の反応を見たスミハは絶句していた。開いた口が塞がらないってやつだ。

「、、、、ハルキ先輩って馬鹿ですよね。先輩が私達に頼んだやつですよ」

「あ、、あぁ!あれか!作戦!!」

 僕がビシッと出すと、スミハも同じように指を立てた。

「そう!それです!!いやー、思い出してくれて良かったです!」

 僕とスミハの会話を見ていたクローが一言呟いた。

「なんだこれ、、、、」


「さて、茶番も済んだことですし本題に入りましょうか」

「そうだね、頼んだ」


 僕達はスミハとクローの考え出した作戦の内容を聞いた。その作戦の内容はとても完成度が高かった。お世辞ではなく本心から完璧だと思えるものだった。この作戦ならソラを取り返すのも難しくはないと思った。

 この2人は本当にすごい。僕の考えた「理想の結末」へ持っていくための流れを0から作り出してくれた。

 感謝の気持ちがとても大きかった。


「それじゃあ、その作戦はいつ決行しますか?」

 スミハが僕に聞いた。

「そうだね、、どうしようか」

 僕は作戦を実行する日はいつがいいか考えてみた。


 まず、今日これからの案。

今の時間は既にお昼頃になっている。これから戦いに行くとどれぐらい時間がかかるか分からないし、戦うのであれば空腹を何とかしてからにしなくてはいけない。


 次に明日という案。

明日は日曜日だから、今日と同じようにみんな集まれるだろう。しかし、それは逆に言えばネクストの方もまた戦力が増えるということだ。もしそうなると、いくら2人の作戦と言えどもソラを取り戻すのは難しくなってくる。

 それに、前にソラに輪廻の世界のことを質問をしたとき、

「この世界に人が迷い込んでくるのって何故か土日がほとんどだったんだよねー」

と言っていたのだ。

 一般人への被害を抑えるためには休日は避けた方が良さそうだ。


 僕は考えられるだけの情報と知識から答えを出した。


「作戦は明後日決行する!」

 僕の宣言を聞いた皆は、納得したように頷いてくれた。

「じゃあ今日と明日は英気を養うのに使おうぜ!」

 クローが拳と手のひらを叩き合わせた。他の皆もソラが戻ってくるかもしれないことにそわそわし始めていた。

「でもその前に僕はお腹がすいたな〜」

 タクトが呟いた。実は僕もスミハが作戦を話している間、時々お腹が鳴っていた。バレないようにお腹を引っ込めたりはしていたが。だって朝ご飯食べてないんだから仕方ないだろう。


「私がお昼作りましょうか?」

 ヒナノがそう提案した。

「え、ヒナノちゃん料理出来るの!?」

 マイが驚いていた。だけど目は輝いている。そうだった、マイも朝は食べてないんだった。

「出来ますよ!材料があれば作ります!!」

「材料って言ってもねー、、ここに冷蔵庫とかキッチンってあるっけ?」

「ありますよ。ソラが使ってた部屋の隣がキッチンです」

 アマセが部屋の扉を指差した。

「じゃあ作ってきますね!」

「私も手伝うわ」

 そう言ってヒナノとマイが扉を開けてキッチンへ消えていった。


 それから数十分ほどすると、リビングのテーブルの上は料理でいっぱいになっていた。部屋の中はいい匂いが漂っている。


「おぉー!」

 どこからともなく歓声があがった。

「冷蔵庫の中に色々入ってたので作り過ぎちゃったんで沢山食べてください!」

「あーそれ、ソラが買い溜めてたやつだ、、、、」

 スミハがぼそっと呟いた。


 何はともあれ皆席に着いた。

「じゃあ、いただきます!!」

 僕の音頭を合図にそれぞれ料理を取り分けて食べ始めた。


 どの料理も美味しかった。さすがは僕の妹だ。味付けも濃すぎない優しい味だった。

「ん?これは何?」

 そんな料理たちの中に1つ、少し黒っぽいものが盛り付けられた皿があった。

「あぁそれ、私が作ってみたやつ」

 そう言ってマイが手を挙げた。

「思いついて作ってみたんだけど、どう?」


 焦げてた。


「まぁ、味は悪くないかな」

「ふーん、そう。なら全部食べていいよ」

「僕をガンにでもするつもりなの!?」

 笑いが起こった。


 こんな感じで今日のお昼ご飯は楽しかった。

 僕は明後日の作戦が成功してくれたらいいなーと思いながら焦げた料理を口に運んだ。


 しかし、その作戦が明後日決行されることは無かった。




晩餐にしたかったけど昼だった。

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