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輪廻の扉  作者: ゑ兎
第4章
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第52話 セイメイの目的




 息を吐く。吐き出した熱気が空気中の水分を蒸発させて白くなる。

 長い時間眠っていたせいか、頭が少しクラクラしている。久しぶりのこの肉体にまだ馴染めていない。少しでも感覚を取り戻そうと手を開いたり閉じたりしてみる。


 目の前では新しい契約者達が目を閉じて手を合わせていた。その前には砂が盛り上がった小さな墓があった。


「今までお疲れ様」

「ゆっくり休めよ、、!」


 2人は静かに墓に語りかけていた。この墓の主がなんという名前かは忘れたが、たしか銃を使っていた気がする。

 そして、それを殺したのが私だということも。


「、、、、」


 まぁ私には関係の無いことだ。この組織がどこへ向かおうと誰が死のうと興味も無い。ただ渡される命令に従って動くだけだ。

 だが、この男、「セイメイ」というやつは中々面白そうなやつだ。何か他の奴とは違う空気を持っている気がする。


「、、、、、、、、」


 2人は墓への合掌が終わると立ち上がった。たしか名前はセイメイとリディ、と言ったか。


「にしても、本当に『前世廻り』するとは思わなかったな、、、、!」

 リディが少し興奮した様子でセイメイに話しかけた。当のセイメイはあくびをしていた。


「それ何回言うのさ、、、、」

「そんなに言ってたっけか?」

「うん、聞き飽きたよ、、、、」


 リディの最初の言葉は私もすでに4回は聞いていた。見た目から何となく察してはいたが、かなりバカのようだ。


「僕らとは違ってアストレアは僕らを殺すことが目的ではないからね。禁忌に触れて堕ちてくることなんて滅多にない。今回は運が良かったよ」

「このまま残りのヤツらも前世廻りさせれば楽なんじゃねぇか?」


「あちらに殺人衝動は無いのだろう?なら無理だ」

 気付くと口に出していた。この組織の動きに口を挟むつもりは無かったが、あまりのアホさについ、やってしまった。

 幸いリディは怒るようなこともなく私の言葉に納得していたので今回はよしとする。


「そういえばウィルは?大丈夫なの?」


 今度はセイメイがリディに聞いた。ウィルは先の戦闘でコアに亀裂が入って、さらに片目を喪失したらしい。


「オノが看てくれてるけど、大丈夫そうだぞ?」

「そう、それなら良かった」

 私がウィルの寝てる部屋の前に行ったとき、中から「殺す殺す、、絶対殺す」とか声が聞こえてきたから、まぁすぐに復活するだろう。


 私達のアジトに戻ってくると、セイメイが私を呼び出した。


「何用だ?」

「別に何って訳でもないけどさ、フレア。君はいつも僕のそばにいるよね?」

「フレア?」

「フレア。君がイザナミだろうと神格だろうと前世持ちなことには変わりない。君は炎を使うからね。だからフレア」


「、、、、好きに呼べ。私はお前らに従っているだけだ。ならば何か命令があるまではすることもない」

「だから僕についてくるの?」

 私は頷いた。


 こんな山の中で「好きにしてていいよ」などと言われてもすることもない。せいぜいここら一帯を焼き払うことくらいでしか暇を潰す方法は無いように思えた。ならばせめて一応の主であるセイメイの後ろにいる方が気楽だと思った。


「命令ねぇ、、、、。じゃあ君もこの世界に迷い込んだ来世を殺してきてよ」

「何のためにだ?」

「、、センセイのためにだよ」

「それはセンセイとやらの望みだろう?私はお前個人の目的を聞いている」

「、、、、」

 セイメイは言葉を詰まらせた。この男が何か企んでいることはこちら側についたときから何となく分かっていた。それはリディやウィルは知らないようだった。


「、、、、僕はセンセイのためにこの世界を手に入れるんだ」


「そして僕は人間になる」


 セイメイは少し間を開けてそう言った。

「人間?お前は前世を持った人間だろう?」

 他の奴らも同じように前世を持っただけの人間のはずだ。


「うるさい!お前達に僕のことは何1つ分かるわけがない!」

 セイメイは珍しく声を荒くしていた。セイメイの言葉から察するに過去に何かあったのだろう。私はこの男についてさらに興味が湧いた。


「僕のことはどうだっていいんだよ。命令をしたんだから早く行ってこい」

 セイメイは追い立てるように手を振った。


 少なくとも、今すぐにこの組織が変化するということはないだろう。少しずつ興味の種を潰していこう。

 私は炎を纏って闇夜に飛び込んだ。




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