第47話 陽菜乃1
ソラが居なくなってから1ヶ月が経った。
皆、心の整理がついたのか、神社の中はいつも通りの雰囲気に戻っていた。
とは言っても1番のムードメーカーが居ないわけだから以前ほどうるさくはないのだが。
静かな部屋にポツリと呟く。
「さて」
今日も行こう。あのうるさい学校へ。
僕は神社の襖を開けて外に出た。
夏の暑さも過ぎ去ってすっかり涼しくなった朝は寒い。
冬服に身を包んだ生徒の間を縫って学校へと向かう。
自分の席に着いて荷物を整理すると頬杖をついた。僕は教室の窓から見える外の景色に目を向けた。
空は一面雲が覆っていた。陽の光が差し込む隙間も無いほどの曇り空だった。
思わず溜め息が漏れた。僕の溜め息と同時に始業のチャイムが鳴った。
今日も退屈な時間が始まる。そう思った。
その知らせが届いたのは3時間目の授業中だった。
国語の教科書の音読に飽きた僕がペンを回して遊んでいると、教室に息を切らした先生が駆け込んできた。教室内は騒然となる。
「春輝君!いる!?」
いきなり名前を呼ばれて僕はビクリとする。
「何かやらかしたっけ?」と不安になる。
「ここにいます」
「私と一緒に来て!荷物も一緒に!」
先生は手招きをした。僕はとりあえず鞄を掴んで先生について行くことにした。
僕はてっきり職員室に連れていかれるだろうと思っていたのだが、先生は校舎から出ると職員用の駐車場に向かった。
先生はそのまま1台の車に近づくと、鍵を開けて中に入った。
「乗って」
僕はますます何がどうなっているのか分からなくなった。
「どこに向かってるんですか?」
車を運転する先生に聞いてみた。先生は顔を動かさずに答えた。
「病院よ」
「病院?」
何で病院?どこか怪我とかしたっけ?
そんな考えが頭をよぎったとき、先生が言葉を続けた。
「さっき中学校から連絡があって。あなたの妹、陽菜乃ちゃんが倒れたって」
「、、、、?!」
それまでの眠気が全て吹き飛ぶほど衝撃的なことを伝えられた。
陽菜乃が倒れた、、、、?
「原因は何か分かりますか!?」
「病院の先生に聞かないとそこまでは分からないわ。倒れたことしか言われてないから」
「、、、、そうですか」
そうは言ったものの僕の心は妙にざわついていた。
「着いたわ。私は学校に戻るけど、大丈夫だよね?」
「はい、ありがとうございました」
先生の車が病院のロータリーを抜けるのを待ってから僕は病院に駆け込んだ。
受付で見舞いの旨を伝えると部屋番号を教えてくれた。
僕はエレベーターまで直行すると教えられた階を押した。エレベーターがゆっくりと上昇していく時間がもどかしかった。
エレベーターが止まって扉が開くと僕は早足で病室に向かった。他の病人に迷惑だから走るのはなんとかこらえた。
病室の扉の横には「島野 陽菜乃 様」と書かれたプレートがあった。
僕は1度大きく深呼吸をすると、引き戸に手を掛けた。
病室にはベッドで眠る陽菜乃と、その横の丸椅子に座る1人の少女がいた。
陽菜乃編は何作になるかはまだ未定です




