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輪廻の扉  作者: ゑ兎
第3章
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第39話 崩壊




「ミナト!」

「しっかりして!ミナト!!」


ミナトの周りを取り囲んで必死にミナトに呼び掛ける。

幸いまだ息はしていた。

しかし、身体中は怪我だらけだった。

損失した右腕、抉られて血だらけの腹部、そして落下した衝撃で全身打撲だった。

骨折もしているかもしれないのにミナトはまだ生きようと必死だった。


「俺が治す、、、、!」


コウスケは立て膝になると、ミナトの腹の怪我の上に手を構えた。


「億床治癒!」


破れた服の間から覗いていた大きな傷がみるみる塞がっていく。

腕やふくらはぎに出来ていた青い痣も消えていった。


しかし、いくら経っても右腕は再生してこなかった。


「ダメだ!腕が戻らない!」

コウスケがより一層腕に力を込める。

「間に合え、、、、!」


それから少ししてコウスケは何かに弾かれたように尻餅をついた。


「届かなかった、、、、。来世に、持ってかれた、、、、」

「持ってかれたって、、?」


「ミナトの右腕を暗殺者の来世に奪われた。俺ではもう取り返せない、、」


「そん、な、、、、!それじゃあもうミナトは、、、、!」


スミハが両膝から地面に崩れた。

「ミナト!ミナト!戻ってきてください!!」

スミハがミナトの体を揺すって必死に呼び掛ける。



「死んじゃ、、いねぇ、よ、、!」


「ミナト、、、、!」


ミナトは片目を開けて弱々しい左手で、スミハの手首を掴んだ。


「コウスケのお陰で、、なんとか、、、、」

「本っ当に良かった!!」


起き上がったミナトをソラが抱きしめる。


「、、痛い痛い、、。ソラ、力強いって、、、、」

「ごめんね、、!私が人形使いを倒せって言ったから、、、、」

「そんなことない。俺が弱かっただけだ、、」

ミナトは失った自分の腕を見た。


「その腕、取り返せなかった、、、、」

ミナトはコウスケを見た。

コウスケの肩にポンとミナトが手を置く。


「腕の1本くらいいいさ。他を治してくれただけで十分だから」

「、、、、ハイ」


「でも良かった。まだ皆生きてる。まだ誰も死んでない」


「そうだな。俺らならあいつらにも勝てるはず──」



コツン


パキッ!



聞き慣れない音がした。何か固いものにぶつかる音と、それが割れるような音。

それとともにコウスケが言葉を切った。



そして、コウスケが横に倒れた。


コウスケの頭から血が溢れ出し、地面に池を作る。


「コウ、、、、スケ?、、、、コウスケ!コウスケ!!」


コウスケは全く動かない。

いくら揺すってもミナトのように僕の腕を掴んでこない。


「先輩、離れてください」

「でも、、、、!」

「揺すると傷口が広がります!」


僕は渋々コウスケから離れた。


「頭を撃ち抜かれてる。もうすぐ死ぬぞ、、、、」


僕はクロー達の方を見た。

人影の間からクリスが手に持った銃口をこちらに向けているのが見えた。


「コウスケを助けてください!僕はまだ誰も失いたくない!!」


自分勝手な願いとは分かっていた。

そんな懇願が通用しないとも思っていた。

それでもそう叫ばずにはいられなかった。


「、、、、」

「、、、、、、、、」


「、、、、分かった」


しばらくの沈黙の後、ミナトが口を開いた。


「分かった。俺が何とかする」


「何とかって、、、、まさか!ミナト、それは止めて!ミナトを失ったら私達は、、、、!」

ソラは何か分かったようで必死にミナトを止めに入った。


「だからってコウスケを死なせていいわけじゃないだろ?俺の命はコウスケに救われた。その命でコウスケを救えるのなら、それは俺がやらないといけないことだ」


「ミナト、、、、」

「スミハも、そんな顔するな」

ミナトはスミハの目に浮かんだ涙を指で拭いた。


ミナトは短刀を取り出した。

1度深く息を吸うと、短刀を自分の腹に突き刺した。


短刀を突き立てた腹の部分がグニャリと大きく歪む。

短刀を軸としてミナトの体が黒い渦となって段々と収縮して球体を作っていった。

ミナトの体が薄く透けている。

残り頭と左腕だけになったとき、ミナトは短刀から手を離してコウスケの胸に置いた。


出来上がった球体はコウスケの胸の中へ溶け込んでいった。

コウスケの体が1度ビクンと大きく震える。

そしてコウスケが血を吐いた。


「ガハッ、、!」

「コウスケ!大丈夫?!」


「先輩、、1つ聞いてほしいことがあります」

「なに」


「コウスケ先輩は半分死んでます」


「え、、、、?」


僕の聞き間違いかと思った。

コウスケが死んでる?

それも半分って何だ?


「コウスケ先輩の体の中には今、ミナトのコアがあります。コウスケ先輩のコアはもうありません。そういう意味です」


何だ。

ならコウスケは死んでいないじゃないか。


「ミナトは?」



「、、、、コア化した人はもう元には戻れません」



風が吹き抜けた。


「アガッ、、!!」


遠くで声が聞こえた。


クリスの腹にソラの剣が刺さっていた。

ソラが僕の横から消える。

気付いたときにはソラはクリスの前にいた。


クリスはなす術もなくソラに斬られていく。

何回も何回もソラの剣はクリスの腹を穿っていく。


「ソラ!止めてください!!そのままだと殺人になります!!」


スミハの制止の声も虚しく、クリスはバタリと倒れて動かなくなった。


「あぁぁぁぁあ、、、、!!」


スミハが絶叫した。

僕には何が起こっているか分からなかった。

ソラの周りには黒い渦が出来ていた。


「先輩、、、、ソラを助けて!!」

「何がどうなってるの」


「ソラが殺人をしたんです!このままだと前世持ちになる!!」


「え、、、、?」


まだよく分からなかったけど、今のあのソラは止めないとマズいと直感的に理解した。


「ソラ!」


僕の声にソラは反応した。


「あぁ、、、、ハルキ、、君、、、、」


僕は手を伸ばした。

ソラも僕の手をつかもうと腕を上げた。


「ゴメンね、、、、」


その手は赤い炎に包まれていた。




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