2.ヒロユキと詐欺
『えへ☆フルハウスッ!』
『ロイヤルストレートフラッシュ』
『くぅっ…!負けたぁ…』
『てか、それフルハウスじゃなくて只のワンペアだよ。どう見たらフルハウスになんのよ姉さん』
『ちぃッ…近眼だよッ!馬鹿にするなッ』
……
『まぁ……姉さん罰ゲームね』
罰ゲームは勝者は敗者に一つだけ命令できるってやつさ
『なにを命令するのぉ……?…いゃん///』
『勝手に想像して勝手に照れるなボケぃ!』
ふう…
『で、命令は…』
『えっ!!!私の肩揉みがしたいって?…いいよッやらせてあげるわ♪』
…………は?
『いやちょっと待ってよそんな事僕言ってないし』
『嫌なの?』
『嫌っていうか…僕が命令する番だし…』
『まんざらでも無いくせに』
うざーーー姉うざーー
―――――
揉み揉み………
もみもみもみゅもみゅ……
結局僕やってるし…
『もういい?』
『あぁ〜ありがとうヒロくーん』
何で僕はいつもこうなんだろう。姉の言う事は断れない。結局はシスコンなんだろうか。いやいやシスコンでは無いッ!……無い…はずだ。別に姉さんの事が鬱陶しくて嫌いって訳じゃない、むしろ好きだ。それはシスコンだ。ふざけんな。なんじゃこりゃ。もういいや。
『姉さん姉さん、そろそろバイトでもしたら?』
『なんでぇ?』
『なんでって、姉さんもう24なんだし…』
『今は母さんから生活費結構もらってるから生活には苦労してないでしょ?………んで…可愛い弟ともまだまだ一緒に遊びたいしね…』
『姉さん…………………………ってそんな言い訳只のニートじゃん!!働こうよ!』
『働いたら負けかな…と思ってる』
『おいニート姉』
『ヒロくん目が怖いぃ……』
『一日で良いからティッシュ配りからでも始めようよ!!』
『やーだーしんどいー』
『それなら、もう一緒にゲームしてあげないよ?』
ふっ…姉さんにこの、一生〜あげないよ攻撃はよく効くんだ
『うぅ…ヒロくんの鬼』
『じゃあ仕事する?』
『一日だけだよぅ…』
『よしッ!じゃあ今からバイト見に行こう!』
『は〜〜〜い』
――――――――
『あんまり短期のアルバイト募集してる所無いね姉さん』
『そうだね晴れ後スキだよね〜』
姉がまた何か、はぴ○す!っぽい事言ってるけどいつもの事だからそっとしとくよ
多分少ない読者の内の1割も解らない台詞だね
『あっ、これ何かどう?日払い一日だけ働くのもOKだって』
姉さんが見つけたのは普通の会社の宣伝用ティッシュ配りだった
『うん、良いんじゃない。』
『行って来なよ待ってるから』
『うぃっす!!了解しました!』
40分後姉さんは大きな段ボールを持って出てきた
『ドサッ………ふぅ、これ全部配れってさ。かったるいよう』
『はいはい頑張ってね』
『ヒロくん手伝ってくれないの??』
『これは姉さんの仕事でしょ?俺は手伝わないよ。見守っとくよッ』
『ぶ〜〜』
『………』
『ぶ〜〜ぶ〜〜』
『……………』
『ぶ〜〜ぶ〜ぶ〜〜〜!!』
あ―ッ!!!うるさいわァァァ!やればいいんだろやればッ
『解ったよッ!!手伝うよ!……でもちょっとだけだからね』
『やった♪ありがと!ヒロくんッ』
今、姉は(^3^)/←こんな感じです
『あーはいはい、じゃあ早くやろ』
――――――
とりあえず終わったな。段ボール一箱って結構多いな。案外すぐ済むと思ってたけど、人通りは多くてもあんまり貰ってくれないよ。
『じゃあヒロくん、お給料貰ってくるねッ』
―――
『姉さん、いくら貰った?』
『んーと…300円…?』
『いやそれは無いでしょ。ちょっとみして』
………………
( ゜д゜ )
………………
『300………マジかよ…僕ら結構働いたのに…300円はないよ……』
明らかにおかしい………
『ちょっと聞いてくるよ姉さん。待ってて』
『うん…』
『ちょっと、300円って何ですか?姉はかなりの時間働いてちゃんとノルマの分配ったのに!明らかに少なすぎるでしょ!』
『いやぁ〜〜ちゃんとチラシに書いたんだけども〜〜読んでないのかな?』
『ちゃんと読みましたよ!段ボール一箱配るだけで3000円……って』
そりゃあ僕はアルバイトとかした事ないからよく解らないけど300円は異常に少ないだろ
『ちゃんと読んでよ、ほらここ……』
段ボール一箱配るだけで3000円!………日払いOK
↑
ここ
3000円!の横にすごく小さな文字でこう書かれていた
ってのは嘘で、やっぱり300円ですよ〜♪
……………
あ ん で す と
あぁあぁぁあぁあ
『帰るッ!!』
『あっヒロくん』
『帰ろ姉さん!!』
『えっえっ?ええっ?』
僕はグイグイと姉さんの手を引いて早足で歩き出す
『今度は普通のバイトやろうね姉さん』
『えっ?あっ…うん…』
―――――
『ふぅ……もうッ何なんだよあの会社…。詐欺だよ詐欺!』
『ねぇ〜ヒロくん、落ち着いてよう…』
『姉さんもむかつくだろう?あんなに姉さん頑張ってたのにさ』
『私なら大丈夫だよッもともとお給料貰っても買うものなんて無かったしね。気に掛けてくれたんだね私の事♪ありがとね』
『ん…姉さんが良いなら別に、もう良い…かな』
正直僕は何に対して怒ってたのかよく分からなかった。んー…やっぱ…わかんないな。って姉さんの為に怒ってたのかな。でもそれは別に当然の事であって、シスコンではない。
――――――
その日はもう寝ることにした
『おはようッヒロくん』
『おはよう姉さん……って何読んでるの?』
『求人雑誌♪』
マジ…………
『姉さん本格的に働く気になったの?!』
『このお姉さんに任しなさいッ!』
どんっと胸を叩く姉
ほんとあの姉さんが働く気になったなんて嬉しいな。でも働くって事は夜とかもいつもみたいに話したりゲーム出来ないって事か……寂しい気もする…。
いやいやせっかく働くんだから応援してあげないと!……
―――――――
『飽きたー』
『え』
『だから、飽きたのぉ―』
『何に?』
『求人雑誌を読むのが』
『……働く気は?』
『無いね】
『……………』
『……………】
まぁ…いいか。