71話 神様!処刑されます!2
この話は短めです。
エインテールの丘を越え、山と山の間に切り開かれた高地。茶葉が有名で、ここで生産された物の90%が賄われている。
茶葉は、熟成が違うと変化するのだ。
元は全て同じ。烏龍茶も紅茶も日本茶も。意外な事に、あまり知られてはいない。
熟成期間で、お茶の名称は変わる。
0%ならば、烏龍茶や日本茶に。50%ならば紅茶へと。
お茶にジャスミンの花を混ぜると、ジャスミン茶となるのだ。
朝早く、農夫達は茶葉積みをしている。
霧も深く、1メートル前が見えない。高地ならではである。
わたくしはそれを眺め、深い溜め息を付く。
これからクラウド公爵へ嫁ぐのだ。その為に、馬車に乗っている。
いや、違う。
結婚を断りに行くが正しい。
わたくしはもう処女では無いのだ。
クラウド公爵の求める女性ではない。だから、謝ろう。土下座しても何をしても。結婚を取り止めてもらえるまで。
馬車に揺られ、1日半が過ぎた。
ようやくクラウド公爵の屋敷に到着する。
屋敷は広く、庭も広大だ。
手入れもしっかりと施されており、真ん中には噴水がある。薔薇の花が咲いており、赤や青と列により仕切られていた。
馬車から降り、屋敷に案内される。
執事やメイド、その他大勢。全部で20人はいるのではないだろうか。
「ようこそ!おいで下さいました!」
「「お初にお目にかかります!マチルダ様!」」
全員が声を張る!
玄関も広く、そこに響き渡るのだ。
荷物を部屋に持って行ってもらい、クラウド公爵の元に案内される。
部屋の前に立ち、緊張するのだ。
これから結婚を断る為に。そう思うと、心苦しくなる。
「クラウド様。マチルダ様がおみえになられました!」
「うむ。入っていい」
部屋に通され、クラウド公爵はこちらを見た。
わたくしは机の前に立つ。すると、クラウド公爵は立ち上がり、わたくしの前に近付いてくるのだ。
「クラウド公爵、申し訳御座いません。結婚をお断りしに参りました」
「ふむ………理由を聞こうか」
「好きな相手がおります」
「それでも構わん」
「………………もう抱かれたので、処女ではありません」
「…………………………………そうか」
クラウド公爵は天井を見上げた。
そして、俯き目を閉じる。わたくしは悪い事をしたと心を痛めた。
そして、土下座する。
「クラウド公爵。誠に申し訳御座いません」
暫くの沈黙が続く。
わたくしにはクラウド公爵の顔が見えない。怒っているのかも、悲しんでいるのかも。声もかけては下さらない。だから、何も判断出来ないのだ。
「ローゼフ、結婚式と儀式は取り止めだ」
「………畏まりました。クラウド様」
「マチルダ様、どうしてアーサー王に言わなかったのです?」
「伝えました。ですが、聞いて貰えなかったのです。申し訳御座いません。クラウド公爵」
「………そうか。ならば、仕方あるまい」
「クラウド公爵、申し訳………うう………御座いません……うっ…でした」
コツコツと足音がする。
遠ざかる音だ。窓へ向かったのか?それとも、部屋を出るのか?
「泣くな。マチルダ様。で、とうするのだ?」
わたくしは涙を拭う。
顔を上げられない。無様な格好でだ。
「はい。城へ戻ろうかと」
「そうか………今日はもう遅い。明日戻ればよかろう」
「ありがとうございます。クラウド公爵」
「ローゼフ!マチルダ様を部屋に案内せよ」
「畏まりました。クラウド様」
ローゼフさんに起こして貰う。
クラウド公爵は窓をずっと眺めていた。
「所で、マチルダ様。誰か連れて来たのか?」
「いえ、誰も」
「血塗れの服がボロボロだな。メイドか?」
「え!?」
わたくしは窓へ駆け寄った!
すると、馬から今にも落ちそうなメイドらしき人物が乗っている!
そう、あれはわたくしのメイドだ!
服が破れ、血が染み込み、意識があるか不明である。




