6話 神様!解雇されそうです!
「まぁ♪お似合いですよ!」
僕は苦笑いした。
だって、恥ずかしいんだモン。人生39年生きてて、容姿を誉められたのは何時以来だろう?記憶に無いのは気のせいだと思う。そういう事にしておいてくれないか。
人にはモテ期というのがあるらしい。
あえて言おう!そんなのあるか!!血液型とか星座占いとか信じてるヤツ!そんなのは迷信だ!血液型占い等、日本でしか流行ってねぇんだよ!外国人に聞いたら、知らない、何それ?って笑われるぞ!
「マチルダお嬢様がお誉めになっておられるのだぞ!
泣け!そして感謝しろ!」
もうこの人何を言い出すか分かりません。
「ずっとぉ、私の部屋に飾っておきたいですぅ」
この人もある意味、我が道を言っておりますな。
フローラさんの着替え中ならば、僕はいつでも飾られよう!ミネアさんはノーサンキューだけどね。
「でも、困りましたわ」
「何なりとお申し付け下さい!!」
僕はイエス、マイロード並みに片足の膝を着け、頭を垂れる。右腕は折り畳み、心臓付近を握り締めた。決まった!これはマチルダ様は僕に惚れたかもしれない!自分の姿は見えないが、カッコいいぞ!多分。
「やって頂くお仕事が無いのです」
ズシャア!!
コント並みに盛大に転けた!
「フローラと僕が居れば、お前等不要だ」
「その言い方は可哀想ですぅ。でもぉ、マチルダ様の身の回りのお世話は不要かもしれませんねぇ」
「という訳だ!ゴミ虫!田舎に帰るんだな!」
僕は危機に瀕している。
雇ったはいいが仕事が無い。やっぱり解雇とは。
考えろ!ここで逃げたら、もうどう生活すればよい?森の中で生活出来るのか?
無人島生活とか、電気の無い生活をしている人をテレビで見てきた。
そんなの無理だ!保険で元の生活に戻れるがあるから成り立つ。役に立たなくても、養って貰うしか無いのだ!最早プライド等、腹の足しにもならない。そんなのは野良犬に食わせておけばよいのだ!
「それは可哀想ですよ。ミネア。何かお手伝いを考えてあげて下さい。ハオは困っているのですから」
この人はやはり天使だ!
僕は涙を流し、祈りを捧げた。
「ちっ!ゴミ虫、水汲み出来るか?」
「出来ません」
「火を起こす事は?」
「出来ません」
「糞が!使えねぇ!
マチルダお嬢様!こいつ無理ですよ!使えません!!」
「それは困りまし「出来ませんので、教えて下さい!ミネアさん!!」」
「な、何を言ってるんだ!?
出来ない奴に頼む仕事なんか無いね!」
「ミネアさん!誰しも最初から出来る人は居ません。出来ないから諦めるのでは無く、分からないならば知れば良い!学べば良いのです!
僕は思います!知らぬは一生の恥じ、知るは一時の恥じ!
知らなければ、一生馬鹿にされて生きてていきます!でも、知れば直せる!その後は馬鹿にされません!」
「ハオは博学ですね。
ミネア、大変でしょうが教えてあげては?」
「くっ!ハオ!では、今から水汲み行くぞ!」
「あのぅ、僕は体を使うよりも、
頭を使った仕事が良いかと」
「くおの、バカチンがぁ!!!!」
ミネアさんのコークスクリューブローが、僕の左頬にクリティカルヒットした!!僕は空中を回転しつつ、発言した事を後悔していたのだ。
「ハオさんはミネアの怖さを知らなかったのですねぇ。
明日から頑張りましょうねぇ!ファイトですぅ!」
こうして、水汲みと薪割りを明日からやる事になった。
え?今日からやらないのは何故かって?そりゃあ、殴られて死にかけてましたから・・・口は災いの元。頑張ります。