66話 神様!誕生際が開催されました!後編
大広場には、様々な人々で溢れ返っていた。
テーブルがいくつも並べられ、そこに貴族達が座る。通常ならばバイキング形式を採用するのだが、コース料理を出すので、この様な形となる。
階段を登ると、そこにはアーサー王が座っていた。皆よりも高い位置にテーブルを並べたのだ。見下ろす形で、今はウィスキーを嗜んでいる。
横には王妃が座っており、気品溢れるお方だ。
妾はそこには居ない。多分、何処か目立たない場所で、王様を眺めているのだろうか?
それとも、嫉妬させる為に、若い貴族の男にちょっかいを出していのかもしれない。
次々と料理が運ばれ、テーブルの前に並ぶ。
「今日は皆の者、よく集まってくれた!礼を言う!鷲の誕生日に、こんな嬉しい事が待っていたとは!わっはっは!では、乾杯としよう!」
「「アーサー王!万歳!!」」
アーサー王はグラスを掲げ、それを口にした。
さぁ、と言わんばかりに、皆が食事を楽しむ。
口コミで、噂になっていた。
ミッシェル様とレイア様達に試食して頂いたのだ。噂が噂を呼び、フォアグラの存在は瞬く間に知れ渡る。
「娘がだな!もう夜の営みよりも凄いと言うのだよ!」
「世界最高峰の食材だと聞きましたわ!」
「ここでしか食べられないとの事ですのよ!」
貴族達が次々と口走る。
まぁ、僕もこれ以上のモノは無いと思う。
日本人はカニが好きだ。
だが、カニは加工して食材の幅が狭い。鍋に入れたり、精々グラタンにする程度だ。
しかし、フォアグラは違う!
そのまま食べてヨシ!磨り潰してソースにしてヨシ!肉に魚、野菜と相手を選ばない。
前菜にサラダを出して、お腹を整えてもらう。
次にパスタだ。
かなり悩んだけど、皿に盛り付けではなく、スプーンに盛る事にした。一口で食べられ、手軽さを売りにしたい。
パスタを食べた事の無い人に、あのフォークでクルクル巻く動作は難しいだろう。そして、一番重要なのがソースが跳ねて、ドレスを汚す事になる。なので、こうした配慮をしたのだ。
「これは旨いな!」
「こっちの緑のソースのが宜しいわ♪先程の花火を思い出すの」
上々の評判だ。
初めて味わう未知な料理。見た目も大事である。
副菜はハンバーグとコロッケだ。
マチルダ様たっての希望で、コロッケを採用する。まぁ、子供向けに出すといった所か。
7歳でも、当主となれば出て来ない訳にはいかない。
子供の貴族もチラホラ見かける事から、この選定は間違いなかったと思う。
「うわぁ!何コレ!旨い!」
「はしたないですわ!……………んん♪お、お、美味しい」
「・・・お母様も人の事言えませんね」
こういうやり取りは僕は好きだ。
コロッケも宮廷では知れ渡っているが、普及はしていない。だから、ここでの料理は珍しい食べ物のオンパレードになるだろう。
各地の料理人が、間違いなく作らされるだろうな。
こんな味だった!早く作れ!みたいに。
「何コレ!!」
「あああ!!堪りませんわ♪」
今回は蓋をしなかった。
香りで虜になってもらおう。フォアグラ添えステーキの登場である!
熱く焼いた鉄板にしたかったが、安全面で却下された。
なので、お皿に盛り付けて出している。付け合わせには、ジャガイモを刻んだのを固めて、油で揚げたのにした。色合いを付ける為に、ニンジンとエンドウを湯がいて、バターで炒めた物を置く。
ソースは玉ねぎを飴色まで炒め、それをベースに作る。
先にかけると、料理が冷めるので、テーブルに置いた所でソースをかけるのだ。
「こ、これが、噂の…………ゴクリ」
各自、唾を飲み込む。
先程の料理も旨かった。それでもこれには敵わない。コロッケの100倍旨いと聞かされていては、貴族といえど慎重にならざるを得ない。
「見ていても始まらん。では、早速………な!?肉が柔らかいだと!」
異世界の肉は硬い。
顎の筋肉を鍛えられる程だ。
牛の肉質も影響されるが、殆どが乳の出なくなった牛の肉だからである。粗悪な食べ物を与えられ、乳を絞り取られる。そんな牛が旨い訳もなく、それはとても硬い肉となるのだ。
鶏肉の方が旨いし柔らかい。
この異世界の常識となっている。それを裏切られたのだ。
牛は生後、半年のにした。
柔らかく、臭みもあまりない。エサもトウモロコシや穀物を与え、食べる為に育てさせた。
※半年間育て、エサを食べたではありません。
「うおおおおお?!こ、こ、これは!?」
「はあん♥」「…………幸せ♥」「はっ!?」
貴族達が次々と口を揃えて言う。
旨い!美味しい!そして、女性の喘ぎ声。
うっとりとした表示で、フォアグラから目線を外さない!
噂さには聞いていた。が、その予想を遥かに超え、驚きを隠せないでいる。
給人達が呼ばれた。
お代わりは無いのか?何処で買えるか?質問の嵐である。
会場はどよめき、混乱していた。
そこにアーサー王へ近寄る男がいる。
「お招きありがとうございます。国王陛下」
「おお!クラウド公爵!よく来てくれた!」
「素晴らしい催しですね」
「そうじゃな!マチルダには感謝せねば」
「マチルダ様?」
「そうじゃ!そういえば、この間の褒美をやっていなかったな」
「いえいえ、当然の事をしたまでです」
「ううむ!ならば、マチルダをやろう。クラウド公爵もそろそろ妻を迎えねばなるまい!ま!」
「は!有り難き幸せ」
「それにマチルダは処女じゃ。お主の希望に添えるだろう」
「感謝致します!」
すると、アーサー王は立ち上がり、大声を出す!
「皆の者!よく聞け!クラウド公爵とマチルダとの結婚を取り次いだ!さぁ、盛大に祝ってくれ!」
僕はそれを聞いて、唖然とする。
マチルダ様を見ると、顔色がドンドン優れなくなっていった。
「お父様、嘘!?」
「・・・」
僕は何も言えなかった。




