64話 神様!どうすればいいですか!?
ここから、ラストまでは貴族、皇族とは思えぬ発言、行動が多くなります。ここは異世界の小国だと、割り切って頂けると助かります。
大量の食材を用意し、馬車に詰め込む。
後、7回は往復しなくてはならないだろう。頼んで運んで貰えば良いのだが、手空きの人材がおらず、僕が担当する事となった。
最近のマチルダ様は、ご機嫌だ。
何故だかは分からない。でも、これで僕へのちょっかいが無いのだから、これはこれで良いと思う。
一緒に馬車に乗り込み、鼻歌まじりのマチルダ様を見つめた。
「どうされました?」
「い、いえ、何でも」
隣に座られると緊張する。
こんな美少女と近距離にいられるなんて。僕はドキドキしていた。なので、それを隠す様に窓を眺める。
外では、馬車とすれ違う。
あれもこれも、そしてそれもアーサー王の誕生際に向けて、準備で大忙しだ。
「そうだ。忘れておりました!」
マチルダ様が隣に置いてある荷物を手に取る。
中から綺麗に包装されていた箱を取り出した。
「これをハオにプレゼントしますわ。日頃の感謝を込めて」
「いえいえ、そんなの結構です!」
僕は手を振って拒否した。
だが、マチルダ様は言い出したら聞かない!
「これはれっきとした対価です!」
「ははは。分かりました。ありがとうございます。マチルダ様」
「うん♪宜しい」
「・・・」
手に持っていると、開けろと目線で訴えられる。
はぁ、まぁ、いいか。
「マチルダ様、開けても宜しいでしょうか?」
「どうぞ♪」
満面の笑みでマチルダ様は言う。
不安になるよ。とんでもない高価な品でなければよいが・・・リボンをほどき、箱を開けた。すると、そこにはネクタイが入っていたのだ。
ネクタイは紺色で、綺麗な絵柄の模様が入っている。高そう。僕の感想はそれしか無かった。
「とても素敵なネクタイです。ありがとうございます。マチルダ様」
「では、ハオ。渡して下さい」
「え?」
「今着けてあげます♪」
僕には拒否権は無い。
ここは黙って渡そう。また耳たぶのはむはむはもう耐えられないから。襲ってしまいそうになるからだ。
「うふふ♪」
僕は大人しくネクタイを首に巻かれた。
かなり接近している。心臓がバクバクして、とても落ち着かない。マチルダ様の唇が、僕を吸い込んでしまうかの様だ。
「え?」
不意にネクタイが引っ張られる!
僕は踏ん張る事が出来ず、マチルダの方へ倒れてしまうのだ!
「ちゅっ」
「んんん!?」
僕はマチルダ様とキスをしてしまった!
ネクタイを引っ張られ、身動きが取れない!マチルダ様は目を閉じておられた。
唇から伝わる
フルフルと震え、初めてのファーストキスだと思われた。
ネクタイは必要以上に締め付けられ、苦しい。どれだけの時間、キスしていたか分からないが、やがてネクタイにかかっていた力が緩む。そして、そっとマチルダ様は唇を離した。
「………あの」
「わたくしはハオが好きです!だから、強引にでも奪います!」
「でも、俺は…………ミネアさんとも、そしてフローラさんともエッチしております。あ、ミネアさんとは……まだですが、何と言いますか、その」
「ミネアもフローラも妾で良いではありせんか。わたくしは気にしません。でも、正規妻は譲る積もりはありませんよ」
「それは僕が困ります!それに、その、僕みたいなのが──」
「ハオはご自分の価値を知らないからです!軽んじていませんか?新しい料理、お菓子、お酒、馬車、様々な事を創作出来る人等、この世界には居ません!」
「そ、それは僕の祖国の知識や技術で──」
「ならば、祖国の人を呼んで下さい!それとも、わたくしを招待してはくれませんか?」
「………どちらも不可能です」
「何故ですの?」
「それは言えません」
「わたくしにとって、ハオは大事な人なのです。もう少し、心を開いてはくれませんか?」
「…………月に行けますか?」
「はい?」
「僕の言える事は、ここまでです。月の向こう側へ行ければ、祖国に行ける可能性が0.000000000000001%くらいあるかもしれません」
「月の向こう側に何かあるの?」
「いえ、何もありません」
「どうして!?どうして何も教えてはくださらないの!?」
「すいません」
「ダメです!わたくしと結婚なさい!」
「はい!?」
「責任を取りなさい!誕生際が終わって、ハオが貴族になったら」
「何故、僕が貴族に?」
「お父様にお願いして、ハオを貴族にして貰うからです♪功績と実績も十分ですから」
頭がクラクラしてきた!?
マチルダ様とキスして、僕が貴族に?そして、結婚?どうしたら、こういう事になるんだ!?
再び、ネクタイを絞められ、僕とマチルダ様はキスをする。
されるがままに、僕は身を預けた。次のキスはさっきよりも長く深いモノとなる。




