63話 神様!フォアグラはお気に召されましたか!
ここから、話は早く進みます。
祭りに向けて準備が進む。
新しい馬車、新しいお酒、新しいお菓子、そして新しい料理だ。
今回のアーサー王の誕生日を誕生際と名付け、今年から祝う事になった。これはマチルダ様の提案が通ったお陰である。
8月15日。アーサー王の誕生日だ。
慌ただしく人々が走り、その日に向けて機材を用意していた。まだ2週間ある。それでも準備はギリギリかもしれない。
マチルダ様からの申し出で、宮廷料理を出す事となる。
料理はフォアグラ添えのステーキをメインにして、前菜にシーザーサラダ、副菜1にパスタのトマト仕立てとバジル仕立ての2種類。副菜2にハンバーグとコロッケを。デザートにゴマアイスと柚子シャーベットを選定する。
メイン以外は受け入れて貰えると思う。
肝心のフォアグラなのだが、内臓を食べる習慣が無い。それを受け入れて貰うのは、結構厳しいだろう。なので、お茶会でミッシェル様やレイヤ様に試食して頂こうと思う。
フォアグラはガチョウに無理矢理トウモロコシや穀物を食べさせ、肝臓を肥大させた物だ。正確に言えば旨い脂肪の塊である。
軽くソテーし、フランベすれば良い。
世界三大珍味の1つとして、数えられる程に旨い。僕も食べた事はあるが、これに勝るモノは無いと言い切れる!
コンコン。
「マチルダ様、ハオです!」
「どうぞ」
部屋に入り、お辞儀をした。
今日はフォアグラの試食をしてもらう。だって、ミッシェル様達に先に出したら、エライ目に合うからだ!耳たぶはむはむ1時間の刑とか平気でやりそうだ。
蓋を開けると、フォアグラを焼いた良い香りが広がる!これは抗う事が出来ない程であった。
「マチルダ様、フォアグラ添えのステーキで御座います。フォアグラはガチョウの肝臓です。よろしいでしょうか?」
「構いませんわ」
「フォアグラですが、これは僕の祖国の品で、世界一旨い食材です」
ゴクリ!
マチルダ様が喉を鳴らす!普通ならばそんなはしたない事にはならない。だけど、マチルダ様は知っているからだ。コロッケよりも、メンチカツをも超える食べ物だと。
「で、では、試食、しますね!」
マチルダ様は緊張されていた!
(目の前にある食材が世界一だと言われた。あのハオが!しかも、今まで嗅いだ事の無い良い香り!一体どうすればこの様な香りが出せるの!?)
フォークで刺し、ナイフで切る。
テーブルマナーを思い出す。高校の時に、フランス料理を食べに学校行事でそういえば行ったなぁ。ホテルにバスで行って、ヤンキーの友達が行儀よく食べてた。あの光景は笑ったな!だって、リーゼントや金髪の剃り込みや長ランやボンタンでだよ?
そんな事を思い出していると、マチルダ様の口に運ばれた。
「はむ………………………………………はう♥♥♥」
マチルダ様が喘ぎ声を出し、動かなくなった!
何が起こった?大丈夫なのか?もしかして、毒か?いや!毒味はしたから問題はないはず!
「お、お、お、い、し、い…………」
「はい?」
「美味しいです!ハオ!!!」
マチルダ様は俺の手を取り、目をキラキラと輝かせる!
「今までの、いえ、人生で初めてです!食べ物で感動したのは!………いえ、あのコロッケも、ですよ?でもでも、それを超える料理でしたわ!」
「内臓ですが、大丈夫でしたか?」
「全く臭みもありませんでした!どうしてですの!?」
マチルダ様!顔近い!近いですから!
「ワインでフランベしました。あ、フランベとはワインをかけて、アルコールを飛ばす行為ですね。臭みを取って香り付けに最適なのですよ」
「花火にこの料理があれば、お父様もきっと喜びますわ!」
「マチルダお嬢様!国王陛下とお呼び下さい」
「はいはい。分かってますわ!ミネア」
マチルダ様は舌をちょろっと出して、ミネアさんにそう告げた。
ミネアさんも呆れた様子で、それを見る。俺と目が合い、相変わらず視線を逸らされた。はぁ、何とかならんモノか。
「マチルダ様、これをミッシェル様やレイア様達にも試食して貰ってはどうでしょうか?その方が噂になって良いかと」
「そうですわね。では、またお茶会を開きましょう♪」
その日、マチルダ様は終始ご機嫌だった。
俺も正座させられず、ホッとする。だって、その上に座られるのはもう我慢出来ない!主に息子がだが。今日はゆっくり夜に処理しよう!




