59話 神様!マチルダ様VSユフィ様が勃発しました!
「ミネア!ご苦労でした」
「………はい」
「ハオは戻ると言ってくれたのですね?」
「はい。ですが………あの、マチルダお嬢様。僕はエッチな事を………あ、いえ、エッチはしてません。が、エッチな事はしました」
ミネアは俯いた。
わたくしは知っています。魔法で覗いておりましたから。発言も行動も全て。
「辛い思いをさせました。すいません。
でも、ミネアのお陰でハオをこちらに戻す約束をして貰いました!エッチな行為は仕方ありません。よくぞ踏み止まってくれました。わたくしは誇りに思います」
「………はい」
誘惑する事は仕方ない事だ。
ユフィお姉様に取られるくらいならば、ミネアにくれてやっても良い。ハオが手元に置けるならば。
「では、そろそろ迎えに行きましょう!」
「………はい」
「了解ですぅ」
お粥擬きを朝食に用意した。
昨日の二日酔いが酷く、ユフィ様とアルフレッドさんからの要望だ。こんなの分かっているだろ?何度同じ過ちを繰り返せば済むのだろう?
え?僕は平気なのか?って?
そりゃあ、飲む前にグレープフルーツの果汁100%とか、ウコンに似た作用のある草を探したよ。
人体実験を僕で昨日試したのだ。
まさか、薬とも毒とも分からないのを、飲ませる訳にはいかないからね。
それに、元々、僕はお酒に強いらしい。
意識を断つまで飲むより、お腹が満タンになる。
コンコン。
「失礼します!ユフィ様!マチルダ様がお見えになられました!」
「うむ!入れ」
マチルダ様とミネアさんとフローラさんだ!
久しぶりに顔を合わせる。ああ、あそこに戻れると思うと、僕は嬉しくなって、つい顔がニヤけてしまう!
「おはようございます。ユフィお姉様」
「で、何の用だ?私は忙しいのだよ」
うん。二日酔いでね。
今は冷静さを装っているが、さっきまでは、水!水をくれぇ!ともがいてたからね。
「まぁ!お忘れになったのですか?ハオを迎えに来ましたの!」
「ん?そんな約束してはおらぬぞ?」
「信じられません!お約束を破るおつもりですか!?」
マチルダ様がユフィ様を睨む!
ユフィ様は余裕の笑顔で答える。
「姫様。それくらいにされては」
「ふん!余興が台無しだ」
「それではハオを返して下さるのね」
「私はこいつが気に入った!だから、私のモノにしたい!マチルダ!譲ってはくれまいか?」
「お断りします!ユフィお姉様!」
「ならば、こうしよう!アルフレッドと交換だ!」
「姫様!?」「え!?」
マチルダ様は溜め息を付いた。
暫く目を閉じて、そしてカッと大きく開く!
「ハオは物ではありません!絶対に交換しません!ハオはわたくしのです!」
「マチルダ!お前もハオをモノ扱いしているではないか!」
「いいえ!違います!渡しません!」
口論なのかよく分からない展開になった。
忘れているが、アルフレッドさんはもう出番は無さそうだ。あの人、この国の騎士団で2番目に強い腕前なのに、この扱いは酷いと思うが。
「もういい加減諦めて下さい!ユフィお姉様!」
「それはこっちのセリフだ!マチルダ!」
ユフィ様が立ち上がり、マチルダ様と睨み合う!腰を折り曲げ、額をお互いにくっ付ける!
美女と美少女がこういう対立は何だかなぁ。
ユフィ様は、見た目サクラと似ている。
髪の毛は金髪で、セミロング。
前髪は眉が見えるくらいで、不揃いにわざとされている。眉はキリリと凛々しく、睫毛も長いのが特徴的だ。耳は小ぶりで形も整っており、むしゃぶりつきたくなる。顔の輪郭はスルリと細く、エラは張っていない。鼻の高さは少し低く、唇はプックリと厚みを帯びていた。大き過ぎず、吸い込まれそうになる。目は少し大きく、クリッとしており金色の眼球である。身長は155センチと小柄で、胸は服で隠れているから分からない。男装が良く似合い、とてもカッコいいと思う。
年齢は19で許嫁がいるらしい。
こんな可愛い彼女を過去に付き合っていたとは、本当に謎である。僕みたいな平々凡々な人間には、勿体無い。あ、ユフィ様ではない。サクラの事だ。金髪に染めていたが、根元は直ぐに黒くなる。
ユフィ様とサクラの違いは、目の色と髪の毛だろう。サクラは日本人だから、髪は黒いし、眼球も黒だ。
考え事をしていたら突然、呼ばれる!
「ハオ!貴方はどうするの!?」
「ハオ!お前は私の元に残るよな!?」
「申し訳御座いません。僕はマチルダ様の執事ですから」
僕は頭を下げた。
マチルダ様は両手を組み、顎に添えている。とても、嬉しそうにこちらを眺めた。
「ふん!約束だからな!だが、マチルダに飽きたら、絶対に私の所に来るのだぞ?」
「ハオはわたくしに飽きません!ね?ハオ?」
「あ、勿論です!マチルダ様!」
「その"あ"は、わたくしは容認出来ません………帰ったらお仕置きですから、ね」
「………はい」
ユフィ様は椅子に座り、肘を付いた。
頬に手を当て、何か企んでいるご様子。
「そういえば、昨日のコロッケが旨かった。今晩も用意してくれよ?ブランデーもな!」
「え!?ハオ!コロッケとは何ですか!?ブランデー?もしかして、わたくしに内緒で、ユフィお姉様に出したのですか!?」
「あ、はい」
「何だ?マチルダはまだコロッケを食べて無いのか?あれは絶品だったぞ?そうそう、サツマイモの天ぷら、そしてメンチカツもな?」
「ぐううう!!ハ~オ~!!!」
マチルダ様!怖いです!
「あれは意識を失う程の品でしたね!姫様!」
アルフレッドさん!もうそれ以上言わない!!
マチルダ様の目が薄暗くなってるじゃないか!!ごめんなさい!もう勝手に出しませんから!!
僕は助けを求め、ミネアさんを見る。
あちゃあ、と言う顔で僕は返された。
「ハオ!もう下がっていいわよ?ね」
「ひぃい!?」
「ユフィお姉様、では、失礼します!!」
「うむ!ご苦労であった」
マチルダ様の部屋に帰ると、僕は自ら正座する。
「ハオ?何をしているのですか?」
「いえ、これは自主的にですね、あの、その、すいません」
「わたくしが罰を与えているみたいではありませんか」
「いえいえ、これは僕の精一杯の誠意です」
「ならば仕方ありませんね」
マチルダ様は僕の膝の上に座る。
そして腕を伸ばし、抱き付いた。甘い独特の香りが漂う。柔らかな、そして可憐なマチルダ様の頬が、僕の頬と擦れる。
「あぅ」
「変態さんですね。ハオは」
「すいません」
「もう勝手に新しい料理をわたくし以外に出さないと誓えますか?」
「………ダメでしょうか?」
「ダメなモノはダメです!」
「畏まりました。マチルダ様。今後、新作の料理はマチルダ様に試食して頂きます」
「宜しい!はむはむ!!」
「ひゃ!?」
マチルダ様が僕の耳たぶをはむはむする!
うあ!くすぐったい!!うう!!我慢出来ない!!
「右の耳たぶをはむはむされたら、
左の耳たぶもはむはむされるのですよ?」
「あの、意味が解りません。マチルダさ……くぁ!!……まぁ!?」
マチルダ様が反対の耳たぶをはむはむする!
あああ!息子が!息子が反抗期だぁ!!!!!
「あら?当たってますわ」
「す、す、すいません!マチルダ様!早く降りて!!」
「わたくしも、ハオの自慰行為。見たいですわ」
「それだけはご勘弁を!!!」
マチルダ様が人差し指を唇に当てた。
また悪巧みを考えているのだろうか?これ以上は本当に困る!
「ん─────♪ん──────の歌を聞きたいですわ」
「え?」
「あれは全部では無いのでしょう?フラコーラスで聞きたいのです」
「ふぁ!?」
これは罰ゲームなのか?
ユフィ様に1週間お仕えして、まだ足りない?呪い………これは強力な呪いだわ!!いやぁ!!!許して!!!!恥ずかしくて死ぬ!死ぬからぁ!!
「さぁ♪ハオ♪」
「歌わなくてはダメですか?」
「歌わなくてはダメです♪」
「何でもしますから!だから、歌だけは!!」
「なら、自慰行為をここで♪」
「ひぃ!!鬼ですか!?」
究極の2択。
アン⚪ンマンのオープニング曲を歌う。
自慰行為を見せる。
これ選ばなくてはダメ?
僕はヤケクソになって歌った!
ビブラートを利かせ、コブシを込める!低音と高音を同時に発し、熱烈に最後まで歌い切った!
「はぁ、はぁ、はぁ」
「感動しましたわ♪もう一度お願いします♪」
「へえ!?」
人生で一番恥ずかしい思いをこの時した。
7度目のフルコーラスでようやく、マチルダ様も納得した様だ。
「ハオ、次は自慰行為を───」
「マチルダ様!今直ぐにコロッケとメンチカツとサツマイモの天ぷらをご用意しますが、如何致しますか!?」
「うふふ♪ウイスキーとブランデーもお願いします、よ?」
僕は走った!
人生で一番早く!走れ!ハオ!僕は自分を慰めた。




