57話 神様!揚げ物は如何ですか?前編
この話は短めです。
次の後編は長くなると思います。
やっとだ。
ようやくユフィ様の元での生活も終わる。あれから1週間が今日で終わるのだ。
思えば質問しかされていない気がする。
そして、ウイスキーとブランデーを毎晩飲んでおられた。どうやらお酒が気に入って貰えたらしい。
でも、酔っぱらうと凄い勢いで絡んでくるのだ!
「私の酒が飲めんのか!?」
宴会とかにいるオヤジか!
抱き付かれると、ヒヤッとする。あの頃の事を思い出すのだから。
いい匂いがする。柔らかい!このジレンマに苛まれる!
でも、ユフィ様はユフィ様。
サクラとは違う。重ねてはいけない。それにお酒を飲まなければ、凄いカッコいいからね。
そして、もう一人。
随分とお世話になったアルフレッドさんだ。
助け船を出して、僕を救ってくれた恩人である。ここでのフォローも沢山してくれた。食べ物の事になると異常なまでに、性格が変わる。それ以外はとてもいい人だと思う。
あと、酒を飲ませてはいけない。
僕の中での、アルフレッドさんのイメージは底辺になっている。これ以上、好感度は下がる事は無いだろう。
まぁ、アルフレッドさんは執事ではない。
ユフィ様か側に置くだけあって、剣の腕前は超一流だ。マイ、ロード。私だけの騎士。そう言っても過言ではない。
肉体関係はあるのだろうか?
気になる。でも、ユフィ様は新品と言っていたから、そういう事はなくて、精神的な繋がりなのだろう。
今日でお仕えしなくてよくなる。
何か僕に出来る事はないのだろうか?
最後の晩餐。
言い方は間違っているが、二人に僕の料理を振る舞おう。ユフィ様には失礼をしたお詫び。アルフレッドさんには、お世話なったお礼に。
何が良いだろう?
この異世界には揚げ物が無い。なので、コロッケとメンチカツとサツマイモの天ぷらはどうだろうか?特別な素材ではないから、手に入る。庶民の味を味わってもらうのもいいかな?
コンコン。
「失礼します!ハオです」
「入れ!」
一礼すると、僕はユフィ様へ近付いて行く。
ある一定の距離を置き、片膝を付いた。
「おはようございます!ユフィ様」
「ああ、おはよう。ハオ、今日で最後となるな。ご苦労であった」
「ありがたきお言葉」
「ハオくんはとてもよく働いてくれましたからね」
「いえ、滅相も御座いません」
「このまま、私の元で働いても構わないのだぞ?」
「すいません。僕はマチルダ様の専用執事です」
「そうか。ならば、仕方あるまい」
ユフィ様は残念そうな顔をした。
アルフレッドさんがいるのに、まだ手元に置きたいのだろうか?それならば他にも優秀な人はいるのに。
「あの、お願いがあります」
「ほう?珍しいな。お前からお願いをされるのは」
「はい。本日の夕食を僕が作っても良いでしょうか?」
「な、な、な、何だと!?ハオくん!それは本当か!?」
「アルフレッド!貴様!落ち着け!!」
「は!?すいません!姫様!」
「で、どういう意味だ?」
「ユフィ様には失礼を、アルフレッドさんにはお礼の意味を込めて、僕の祖国の庶民料理を振る舞いたいのです」
「ゴクリ!」
アルフレッドさんの喉が鳴る!
ユフィ様がギロリと睨むが、怯む事は無かった。
「それは旨いのか?庶民料理が私の口に合うとは、とても思えんがな」
「ウイスキー、ブランデー」
ユフィ様の眉がピクリと動く。
「絶対に合いますよ。お酒のアテに。そして、これは断言出来ます!子供が大好きな料理ナンバー1ですってね!」
「ふん!私を子供扱いするのか!?馬鹿にしおって!」
「では、ユフィ様は子供時代が無かったと?」
ユフィ様が歯を食い縛る!
「子供が大好きな食べ物を、大人が嫌いな訳ありません!絶対に満足させてみせます!だから、本日の晩餐はお任せ下さい!お願いします!」
暫く沈黙が流れた。
ユフィ様の眉が元に戻る。そして、口角を釣り上げた。
「いいだろう。だが、もし、私を満足させられなかったら?」
「何でも1つ言う事を聞きましょう。但し、マチルダ様に迷惑がかからない事が条件です。マチルダ様の執事を止めろ!とかは無しで」
「クックック!あはははは!面白い!では、その勝負!受けてたとう!だが、公平ではないな。そうだ。私が負けた場合、1つお前の願いを聞いてやろう」
「姫様!?なりません!!」
「よい!これは久しぶりに楽しくなってきたぞ!ハオ!精々、私を楽しませる事だ!覚悟しておけ!」
こうして、ユフィ様と勝負する事になった。
料理を食べさせ、満足するか、満足しないか、だ。シンプルで分かりやすい。僕は負ける訳にはいかない!マチルダ様の執事として!
もし、負けたらどんな命令してくるだろう?心配になってきた。




