53話 神様!お粥擬きは最強です!
「………頭痛い」
「……私めもです」
アルフレッドも私も二日酔いだ。
昨日の酒が効いたのかもしれん。しかも、馬車の中でユラユラ揺れて、馬鹿みたいに飲んだからだ。
一緒に飲んでいたハズのハオは、せかせかと雑務を行っていた。水を用意したり、着替えを準備したりとだ。こいつは酒に強いのか?同じ量は飲んだぞ!?
まぁ、旨かったし文句ばかり言っても始まらない。頭痛もその内直るだろう。しかし、何だ?この香しい匂いは?鼻腔を擽る。お腹がグーっと鳴るのが分かった。
「何だこれは?」
「コンソメ風おじやです。二日酔いにどうぞ」
お米だ。あまり食べないらしい。
量も取れないし、天候に左右され、育成期間が長いから遠慮されがちだ。私の聞く所によれば、かなり不味いと評判で、好き好んで食べる奴は居ない。
「おい!こんなモノ出すつもりか!?」
「あれ?食べないんですか?なら、後で食べます」
私が食べないなら、自分が食うだと!?
馬鹿にするな!人の食うモノでは無いと言っているのだ!
ふと、隣を見るとアルフレッドが食べているではないか!?おい!主君よりも先に食べるとは、どういうつもりだ!?
「アルフレッド、何故お前が食べているのだ?」
「姫様はもうお下げされたかと。ならば、私めが御相伴に預かるのは当然かと!旨い!何だ!このスープは!?おい!ハオくん!お代わりをくれないか??え!もう無い?」
アルフレッドが私の皿に手を伸ばす!
ガシッ!渡してなるものか!!私は知っているぞ!お前は食いしん坊だってな!それも、旨い物には目が無い!この動き、今まで見た事がないぞ!それ程、旨いのか!?
「これは私の分だ。丁度、腹が減った」
「あれ?ユフィ様いらないと仰ってませんでた?」
「ならば!私めが!!!ぐはっ!!」
本気のパンチを入れてしまった!
危ない!もう少しで奪われる所であった。
「では、頂くとしよう」
「お熱いので、ご注意下さい」
馬鹿が!私はお子ちゃまか!!
「はむ!あちぃ!!!」
「ははは。お水をどうぞ」
水を一気に飲み干した。
これは騙された!上は湯気が出ていない。だが、隠された下の部分は熱々なのだ!スプーンで持ち上げて分かった。
今度は慎重に冷ます。
そして、少しだけ口に入れた。すると、どうだろう?この深い味わいは!優しいけど、何故か懐かしい。卵のトロミもマッチしている。濃すぎず最高だ!何せこの二日酔いには、丁度良い・・・二日酔いに?
こいつ私の事を考えてこれを出したと言うのか!?しかも、米だぞ?拒絶されるかもそれないのに。だが、これを食べてしまえば馬鹿は出来ない。何故ならば旨いからだ!いや、旨過ぎる!!
本当にこいつは料理人ではないのか?
アルフレッドはハオにレシピを聞いているし、本当に食いしん坊な奴だ。
そういえば、装置屋さんとは一体なんだ?何も解決してはいない。昨日は邪魔が入ったし、何としても問いたださなくてはならない!!
「ハオ!昨日言っていた装置屋さんの事を教えて欲しいのだが?」
「ああ、設計、製図、図面、加工、組み立てですが?」
昨日と言ってる事と違う!?
「おい!昨日と言ってる事が違うぞ!」
「えー、でも、それ以上の説明はありませんよ。1+1=2て言ってるモンですからね。あー、1+1でも2じゃないケースもありますよね」
「言ってる意味が全く分からんのだが!?」
「アルフレッドさんは分かります?」
「ふむ!何でしょうか?………石とか」
「正解は人間です」
「ますます意味が分からん!!説明しろ!」
「子作りして1人生まれれば、答えは3になりますね」
「ほう!成る程!言われてみれば!」
「こじつけではないか?」
「これを見て下さい。ミカンが1つあります。剥いて、1ふさずつに分けます。何個ありますか?」
「12個だな」「12個ですね」
「これを再びミカンの皮に詰めると、何個になりますか?」
「な、な、何だと!?12個が1個になったではないか!?ハオ!お前は魔法を使ったのか!?幻覚魔法か!!そうだろ!」
「こ、これは興味深い!!」
「あの、分数知ってますよね?」
「お前は学者だろ!!だから、そんなに知識を得ているんだ!!そうだろ!!」
「姫様、学者でもここまでは・・・ハオくんは一体何者なのです?」
「うーん。平民?」
「「はい!ダウト!!」」
「二人でハモんないで!!一般人ですよ。本当に。僕なんか普通です。普通以下ですよ。全く」
「ハオくんが一般人だったら、私めはゴミ以下ですね」
「いやいや!アルフレッドさんは立派な方ですよ!ほら!しっかりして下さい!僕よりもカッコいいし、身長も高い!もう!モテモテじゃないですか!僕なんて、全くモテませんから!!ね!!」
アルフレッドが慰められている。
意外な一面を見てしまった。何故、こっちを見る!!
「本当に僕は一般人ですから。もっともっと賢い人は大勢居ますからね。月まで飛んでいって、帰って来ますから」
は!?
月へ行くだと!?最早、神か何かなのか?
「も、もしかして、ハオくんは・・・神様・・・ですか?」
「はぁ?僕は人間ですけど、何か?」
「ハオ!お前!月から来たのか!?」
「あの、それ本気で言ってます?」
「当たり前だ!これは快挙な事だぞ!!」
「あの、月には動物も植物も水もありませんけど。空気も吸える程無いんで、死にますよ?あるのは石くらいですねぇ」
「アルフレッド、私は二日酔いがぶり返してきた。少し休む」
「奇遇ですね。私めも少しお暇を頂きます。ハオくん、何かありましたか、直ぐに連絡して下さい」
「はぁ」
難しい事は考えても無駄だ。
もうしばらく様子見しよう。でも、あの米は旨かったなぁ。また作らせるか。




