52話 神様!試作品の乗り心地と試飲しませんか?
ここはドワーフの工房。
熱気が溢れるとても厳しい環境だ。日本でもよく言われるのが3Kではないだろうか。
3Kでテレビを連想した人は若い証拠だ。
3Kとは、キツイ、汚い、危険の略で、頭のKを3つ合わせて3Kとなる。
最悪な仕事をする環境だ。ブラック企業と言えば分かるだろう。
「こんな所に連れてきて、本当に酒はあるのだろうな?」
「ドワーフの爺さんが全部飲んでなければ」
「ドワーフだと!?そんな薄汚い種族に頼むだと、気でも狂ったか!?」
「ユフィ様、これから言う事は失礼だと心よりお詫び申し上げます。
差別する人間は心が狭く、人々の上に立つ事は出来ません。なので、ユフィ様にはその様な人にはなって欲しくありません。
人にはそれぞれ長所が御座います。ドワーフは手先が器用ですが、頭はこれ程賢くまりません。
適材適所、僕はそう思います」
「くっ!!」
「姫様の負けですね」
「負けとか関係ありません。ユフィ様はもっと上に行かれるお方。それを正すのも執事の役目です。出来すぎた事を申し上げてすいません」
「構わん。私もドワーフ種族を見直そう。そして、この目で確かめてみせようぞ」
とりあえず怒られ?はしなかった。
差別は僕は好きではない。それにドワーフが居なかったら、歯ブラシやフラスコ、ビーカーも作れなかったからね。
「ウィスキーとブランデーは出来たの?」
「おお!!いい所にきおった!!ぎゃあ!ユフィ様を連れて来たのか!?」
「大丈夫、もう。だからお酒用意して」
「おう!………で、鷲も飲んで良いか?」
「馬車の試作品が出来てさ。そこで飲もうよ」
「ほう!あれか!ガタガタしない馬車だったな!そうか!その中で飲むのもまたオツなもんじゃな!がっはっは!ちとだけ、我慢するか!」
僕はウィスキーとブランデーを鞄に詰めた。コップが欲しいので、メイドさんに頼んでおこう。
「飲まないのか?」
「はい。馬車に乗って飲みましょう!」
「そんな事をすれば、溢れてしまうではないか!」
「まぁ、乗ってみてからのお楽しみで」
城の外に用意された試作品の馬車を見る。
まぁ、見た目ではたいして変わらない。スプリングを追加し、車軸と連結部を金属に変えた。
乗り心地を重視する為に、スポンジに変わる代替え品を敷き詰め、革を張った。背もたれにも施し、腕を乗せる台を設置する。勿論、収納出来るタイプにした。
「どうぞ!ユフィ様!」
「うむ」
ユフィ様が乗り込む。
座席に座り、座り心地を確かめていた。
「な、何という柔らかさだ!しかも、固い!む、矛盾しているが、あ、頭が混乱してきた!」
低反発枕の素材に近い物を選んだ。
丁度、植物の樹脂が似ていたので、これに採用する。空気を混ぜるのがミソだ。
「アルフレッドさんも乗って!ドワーフの爺さんも!さぁ!」
「鷲はここで飲みたいんじゃが!?」
「お酒持って行ってしまいますよ?お代わりしないんですか?」
「ま、待て!これは重要じゃ!仕方あるまい!」
馬車を走らせ、コップにウィスキーを注いだ。
「かなりキツイので、少しずつ飲んで下さいね」
てか、もう約1名飲んでるよ!
コップを空にして、ぷっはー、と酒臭い息を吐く。
「旨いぞぉ!何だこれは!!もう一杯!」
「はいはい」
ユフィ様の顔が歪む。
怒っているのか?でも、これはしょうがない。ん?ウィスキーに口を付けた。
「ぷぁ!?ぐあ!!」
「ユフィ様!?大丈夫ですか!!」
「………旨い…………ぐび、ぐび…………くぅ!!!」
「そんなに美味しいのですか!?では、私めも……ゴクリ!………うぐ………はぁ!!!何たる旨さ!旨いぞぉ!!!!!!!!!!」
アルフレッドさんそういうキャラなの?
イメージ崩壊しちゃうよ。
「旨い!旨い!お代わり!」
「あ、はい。ユフィ様」
トクトクトク。
ウィスキーをコップに注いだ。
「それにしても、揺れませんね。良かった!お酒がここで飲めれば落第点です!」
「はっ!?」
「どうされました?」
「本当だ………ガタガタしない……………少し揺れるくらいだ。この道は必ず尻が痛くなる。だが、一度も痛くない!?」
「次はブランデーですよ」
「おお!新しい酒じゃな!早く!」
「ユフィ様が先ですよ。もう暫くお待ちを」
ちっ!と舌打ちするドワーフの爺さん。酒が入ると、貴族の前でもこう強気になるのだろうか?少しは自重して欲しい。
「・・・・・・・・はっ!」
「ユフィ様?」
「この世に、こんな旨い酒があったとは・・・ぐびっ」
「う、う、う、う、う、う・・・・・・」
アルフレッドさん泣いてる!?
「旨いぞぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
おいおい!あんたミスター味⚪この味王かよ!
口から光線放って、宇宙空間を泳げば、疑う余地無し!!
「ハオ!お前は何者だ!ひっく!早く!ひっく!言え!」
ユフィ様、お酒弱いの!?
まぁ、ウィスキーもブランデーもアルコール度数高いけどね。
「かぁ!仕事終わりの一杯は堪らん!この景色を眺めながらは最高じゃ!」
まともに感想を言ってくれるのが、ドワーフの爺さんとは。まぁ、僕も体験して感想あるしいいか。
「旨い旨い旨いぞぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アルフレッドさんの僕の中での印象が劇的に変化していく。
「何で私の誘いを断りかなぁ!ひっく!そんなに中古に嫌がらせされ、ひっく!たのか?ひっく!新品はいいぞぉ?ひっく!お代わり!」
ダメだ!もうお開きにして欲しい。
無情にもそれは叶わない。まだ折り返し地点だから。城下町へ放り投げるのも手だが。
お酒を飲んで、僕も酔っぱらっているが、この人達には付き合い切れん。僕は叫んだ!オウチ帰りてぇ!!!




