50話 神様!過去を乗り越えてみせます!
コンコン。
「マチルダです!ユフィお姉様」
「入って良いぞ」
僕とマチルダ様の二人で、ユフィ様の部屋に訪れた。僕は作戦を立てる。顔を見る間もなく、土下座しよう!そして、謝罪する!これならば、何とかなるかもしれない!
マチルダ様にも説明しておいたから、邪魔される事は無いハズ。
部屋に入るなり、僕は土下座した。
「ユフィ様!大変失礼な事をしました!ここにお詫び申し上げます!この度は、不甲斐な思いをさせて本当にすいませんでした!!」
「それで?」
「わたくしから説明しても宜しいでしょうか?」
「ダメだ。こいつにさせろ」
僕は先程、説明した内容を告げた。
「で?私が許すと思ったか?」
「いえ、そうは思いません」
「なら、どうする?」
「・・・」
「不愉快だ!何故人の目を見ない!お前は人の目を見て話すと親に教わらなかったのか!!」
「ユフィお姉様!ハオは!またあの様になってしまいます!ですから!ですから、今回は!」
「ええい!ならん!顔をあげろ!」
僕はゆっくりと顔を上げた。
心臓が破裂するくらいバクバクと動く。目の焦点が合わない。動悸、息切れがし、目眩を引き起こした。
ユフィ様の顔を見る。
やはりサクラと同じ顔だ。声も全く一緒である。息が出来ない。胸元を掴み、必死に堪えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「ハオ!?大丈夫です!?」
「また私を辱しめるのか!お前は!」
「うぐぅ・・・・うううう!!あああ!!」
苦しい、ああ、何でこんな事をしているのだろう?僕は自分が嫌になる。不幸、そう言ってしまえば楽になるなぁ。サクラにやられた事を思い出す。でも、この人はサクラでは無い。ユフィ様はユフィ様だ。怒って当然。見に覚えの無い事を擦り付けられているのだから。
「ええい!アルフレッド!こいつを牢屋にぶちこめ!」
「ユフィお姉様!お願いします!ハオを許して下さい!わたくしに出来る事は何でも致しますから!」
マチルダ様の声が響く。
僕はこの人を悲しませてはならない。だから!もう一度、あの歌で!何度も何度も、挫けそうな時に励まされた歌を思い出そうじゃないか!
「苦しい時は面白い事を思い出そう♪悲しい時や挫けそうな時は楽し事で吹き飛ばせ♪」
※歌詞はオリジナルです。替え歌ではありません。
この為に、適当に作りました。
「何を………歌っている!?」
「アン⚪ンマンの歌です。僕が苦しい時、悲しい時に何度も助けられた歌なんですよ。浮気された時も、会社でパワハラを受けた時も、嫁に精神的DVをされた時も、どんな時だって、僕を励ましてくれた歌なんですよ」
「………ふん。それで?」
「ユフィ様は僕の知っているサクラではありません。ユフィ様はユフィ様です。僕が重ねて良い訳ありません」
「そうか。で?」
僕は立ち上がる。
呼吸を整え、胸元を正す。そして、頭を下げた。
「ユフィ様!申し訳御座いませんでした!どんな罰も受ける覚悟です。どうかお許しを!!」
「・・・見事だ」
「アルフレッド?」
「自分を克服する事は、そう容易い事では無い。それも先程からそう時間も立っていない。君は凄いな。姫様、この者をお許し下さい。私からもお願い申し上げます」
「ふふふ、ふはははは!面白い!ならば、許す!」
「ユフィお姉様!ありがとうございます!」
「だが、罰は必要だな」
「そ、そんな!?お許しをなされたのに!?」
「1週間だ………こいつを貸せ。マチルダ」
「え!?どういう意味ですか!!」
「こいつはお前の執事なのだろう?ならば、1週間、私に仕えさせろ。そう言っている。なあに、取って食うなんて事はしない。そいつが望まなければ、な?」
「マチルダ様!お申し付け下さい!」
「………分かりました。ユフィお姉様のお世話を1週間なさい」
「イエス、ユア、ハイネス!」
こうして僕は、ユフィ様に1週間お世話する事になった。過去を乗り越えられたのかは、分からない。でも、ユフィ様の前で取り乱す事は無くなった。でも、それでもユフィ様は苦手だ。アルフレッドさんには感謝しなくてはな。助け船を出してくれたし。
果たして、僕はユフィ様のお役に立てるのだろうか?不安になる。はぁ、もう一回アン⚪ンマンの歌、歌っておくか?




