4話 神様!もて遊ばれてます!
バスタオルを巻き、太陽の光に照らされ、まさに天使だ。僕は天国に来たのだろうか?見惚れるとはまさにこの事だろう。芸能人で綺麗な女性を沢山見てきたが、その誰を比較しても遠く及ばない。僕は惚ける事しか出来ないでいた。
「どうされました?ハオ様?」
「あ、いえ、天使に遭遇したのかと思いました。もしかして、ここは天国ですか?」
「あら!ヤダ!」
音速を超えた張り手が僕を襲った様だ。
バッチーン!
衝撃で僕は吹き飛び、地面を5メール程削った所で停止した。僕はシャチホコの体位をキープしたままマチルダが近づいて来る。
「大丈夫・・・ですか?てへ♥」
くう!可愛い!
裸も見たしこれで手打ちにして貰いたい。
「で、言いかけた話の続きを」
「あ、そうでしたわ!
先程仰った事は本当ですか?」
「はい!嘘偽り御座いません!!」
マチルダ様は僕を暫く眺め、重い口を開いた。
「分かりました。では今日からお願いしますね」
「誉めちぎる事を・・・ですか?」
「うふふ!ハオ様はやはり面白いお方です!それは楽しみにとっておいて・・・雇って欲しいと言う事ですよね?」
「あ!そ、そ、そうです!お願いします!何が出来るか分かりません!ですが、絶対にお役に立ちます!・・・でも、恥ずかしいので、あれはもう勘弁して欲しいです。後、記憶から除外して貰えませんかね?」
「お断りします♪」
はぁ、こんな冴えない39歳のおっさんのおべっかで嬉しいモンかねぇ?女心は秋の風とはよく言うらしいが、真相は不明瞭である。
ふと水面を覗くと、そこには若かれし頃の自分が写っていた!
どうみても高校生の時のだ!二重顎は無くなり、無駄な顔の肉が削ぎ落とされていた。
慌てて、お腹を摘まむ!
無い!無いぞ!三段腹が!そこには割れた腹筋が実装されていたのだ!
「マチルダ様、僕の年齢が39と言ったら信じます?」
「ぷぷ!もう!ハオ様ったら!それだと、わたくしは40歳になってしまいます!・・・でも、それは嘘・・・では無いのですね?」
「・・・はい」
「詳しく聞かせて頂けますか?」
どうしよう?
本当の事を話して良いのだろうか?自分が若返った事で驚いてしまった。これは失態である。
でも、神様に会いました!願いを2つ叶えて貰え、1つ目に異世界転移、2つ目に若返りを頼んだ・・・て、これ信じられるか?
異世界は遠い所から来た。
これはベターだが、ラノベでは鉄板なのでこれで行こう。
問題は若返りか。
普通だと、若返り薬。大穴で転生とかどうだろう?転生であれば、異世界問題と若返りを解決出来る・・・だが、嘘を付いてしまうのだ。
あー、もういっそ全部言えれば!
くそう!やはりまだ神様の事は言えない!
「ハオ様?」
「マチルダ様、今は詳しくは言えません。ですが、時が来たら全て説明します!都合がいいとか、はぐらかしているとか思われるますが「分かりました!」ふぇ!?」
「でも、なるべく早く教えて下さいね?」
「すいません。今言えるのは僕の実年齢が39歳で、肉体が16歳になっている事です。そして、とてもとても遠い国から来ました・・・マチルダ様・・・申し訳御座いません」
「今はそれで良いですわ。
それで、ハオ様はどうなさるおつもりで?」
「あの、その、ノープランです・・・
後、名前に様は不要で、ハオとお呼び下さい」
「本当にハオは面白いですのね。これで宜しくて?」
「は、はい!マチルダ様!」
「では、わたくしの事もマチルダとお呼びになって」
「そ、そ、それは出来ません!」
「うふふ!冗談です!ハオ」
「僕で遊ばないで貰えないでしょうか?」
「お断りします♪」
とりあえず嘘を付かず乗り切る事が出来た・・・と思う。
マチルダ様が信用に価する人物か見定める必要があるのだ。異世界では、転生、転移者は勇者に祭り上げられる事が多い。僕にはそんな能力は無いし、ケンカも弱いのだ。慎重に前に進むしか無い。
後から聞かされたのだが、マチルダ様をあの時抱くと答えていたら死刑確定だったそうだ。ヘタレで良かったと思ったのは、これ以降無いだろう。