42話 神様!異世界でファーストキスをしました!前編
夜会から3日が過ぎた。
シュークリームとバニラアイスの問い合わせ、そして、マヨネーズの品評会があり、ミネアさんからのご褒美のキスは未だに実行されなかった。
マチルダ様の部屋でも、出会う事はなくて、僕は悶々としている。
フローラさんはというと、バニラアイスの作成に忙しく、厨房から出て来ないのが現状だ。
結果、僕がマチルダ様のお世話をする事になる。嫌な事ではない。名誉な事だ。綺麗だし、可愛いし、スタイルも良い。胸が小ぶりなのは仕方無いが、それはそれでアリなのだ。
このロリコンが!と思うかもしれない。
だけど、マチルダ様を拝めば解る!そういう類いじゃない!てか、15で成人だから、未成年じゃないのだ!
僕はまな板は嫌だが、少し揉める程あればいい。大きい胸も好きだが、小さい胸も好きだ。
出向先の若い社員の子と話していた時、女性の胸の話をした。
「僕は巨乳も好きだが、ちっぱいも好きだ。まな板やドデカイ乳輪はゴメンだけどね」
CDを手に取り、胸元でアピールした。
「宮崎さん!変態ですね!もう手つきがエロ過ぎです!僕はそんな人だとは思ってませんでした!」
それからというもの、事ある事に、エロい話を振ってくるようになった。女性が通路を通っても、お構い無しなので、その時は流石に注意したけどね。
「はぁ、ミネアさん約束覚えているかな?」
僕は不安になる。
バニラアイス作りでチャラだと言われたら、ショックで立ち直れそうにない。これは先手必勝か?今晩、ミネアさんの部屋へ行こう。でも、どうしよう?断られたら・・・行くか?行かないか?行く、行かない、行く・・・答えが出ない。
花びらで好き嫌いのアレをやれば、決められるかも?僕は外に出た。
月明かりで、星が綺麗だ。
僕はその光に夢中になる。自然と座って眺めていた。
「何してるの?」
後ろを振り向くと、ミネアさんがそこに居た!ビックリして、声が出せない!それだけではなかった。服装がいつもと違い、可愛らしかったからだ。
スカートを履き、半袖のシャツを着ている。胸元は少し開いており、思わず覗いてしまった!これは男なら仕方無い事なのですよ!
「・・・いや、その、星が綺麗だったから」
「そんな珍しい事?
あ、ハオは月とかも好きだもんね」
「ミネアさん、知ってます?」
「………何を?」
(もしかして、この間、約束したキスの事?え!?このタイミングで要求するかな!?)
「7月7日は七夕の日なのです」
「そういや、今日は7月7日だね。七夕って何かな?もしかして、ハオの国のお祭り?」
「いえ、お祭りではありません。あの星を見て」
「あ、川の流れた様に見えるけど………合ってる?」
「ええ!あの星の川は一年に一度しか繋がりません。天の川、僕の国ではそう呼んでいます」
「天の川かぁ。何だか素敵な響きだね」
「少し昔話をしても?」
「うん!いいよ!岩石姫も感動したし、僕も楽しみだよ!」
「昔、昔ある所に、織姫と彦星がおりました。
織姫は自堕落な生活を毎日して、お父さんを困らせていました。夜会へは行き、お茶会を開きと贅沢三昧。ある日、困り果てた織姫のお父さんは、皇帝陛下に相談します。
皇帝陛下は大変お怒りになりました。そこで、お茶会と夜会を禁止したのです!それを聞き付けた織姫は、毎日泣きました。
毎日が平凡な日々。
贅沢も出来ない。そんな時に彦星と出会うのです。
彦星は都市一番の働き者でした。
織姫とは真逆の性格なのです。だけど、そんな事は恋には理由とはなりません。お互いに引かれ合い、恋人になりました。
織姫と彦星は幸せでした・・・が、それは長くは続きません。
悪知恵の働く大臣が、この事を皇帝陛下に告げ口するのです!
皇帝陛下は言います。
織姫と彦星を離ればなれにしろと!
無理やり織姫と彦星は離ればなれになりました。何年も、何年も。それを見かねた織姫のお父さんが、皇帝陛下のお願いします。
どうか、織姫をお許し下さい!
だけど、皇帝陛下は首を振りません。仕方なく織姫のお父さんは自害します。
それを見た皇帝陛下は、自分の過ちに気付き、織姫と彦星を呼びます。
しかし、時は無情にもお互いを変えてしまいました。織姫は結婚しており、彦星には子供が3人おりました。
皇帝陛下が詫びると、織姫も彦星も怒る処か、皇帝陛下にお礼を言います。自分達の行いで、こうなってしまったのだと。そして、その事に気付かせて貰ったと。
皇帝陛下はどうする事も出来ませんでした。
なので、自分に出来る事をしようと選択するのです。
この天の川は年に1度、開らく。その時には誰の邪魔も入らない様に手配すると。
織姫と彦星は喜びました!
それからというもの、7月7日は天の川が開き、織姫と彦星は愛し合うのです!
おしまいおしまい」
「………」
「ど、どうでした?」
「………まいった。
どうしてハオはこんなにも、僕の心を揺さぶるかなぁ?」
「話は良かったですか?」
「いいに決まってるじゃないか!」
「ミネアさん涙、拭いますよ」
僕はポケットからハンカチを取り出す。
左目を軽く拭き、右目を拭いた。頬を流れた顎までのラインを辿り、水滴となった涙をハンカチに染み込ませる。
ミネアさん可愛い。
見惚れてしまう。僕はハンカチをミネアさんに当てたまま、止まってしまう。吸い込まれる。無意識に顔を近付けた。左手でミネアさんの耳元に添え、僕は更に近付く。
唇が触れそうな所で少し止まる。
拒否されるなら今だよ。嫌ならここで避けて。でも、逃げないで欲しい。僕は目を閉じた。
柔らかい感触が唇を伝う。
ああ、僕は遂にミネアさんとキスをしたのだ。この異世界で初めてのファーストキスを。
ソフトに唇と唇が触れ合う。
離したら、また重ねるといった具合だ。ディープキスでは無い。僕は右手を首に回し、ミネアさんの下唇を口に含んだ。にゅるにゅると舌で味わう。
「んん♥あっ♪だ、ダメ!」
「チュッ………ちゅる………ちゅぷん………はぁ、はぁ」
「これ以上は………ね?」
「やり過ぎたかな・・・ごめん」
「ううん。いいよ。僕もしたかったし」
「ミネアさんが可愛くてつい・・・」
僕達は再び、唇と唇を合わせた。
手は地面について、ソフトなキスをしたのだ。




