40話 神様!夜会へ参加しました!3
ファリス様とのダンスを終え、僕はマチルダ様の元へ向かった。が、それは間違いだったと気付く。
「マチルダ様!紹介してくれても宜しくて?」
「私もご一緒に踊りたいです!」
「何故、黙っておられたんですか!?」
次のダンスの相手が所狭しと、待機していたからだ。口々に言う。次は自分の番です。僕には休憩する時間は無い様だ。ここは諦めるしかないね。
「はぁ、はぁ、もう休ませて」
連続10人は踊っただろう。
マチルダ様に休憩をお願いすると、すんなり聞き入れてくれた。
「余興がありますので、この位に」
マチルダ様が言うと、皆残念な表情になる。しかし、しつこいと思われたくないのか、各自散って行った。
「そろそろお出ししますか!」
「シュークリームですね・・・」
どうやら休憩は無かった。
シュークリームを会場へ移動させる。
机に大きなお皿を置き、そこに並べるのだ。
トングでシュークリームを掴み、お皿に乗せた。先ずはミッシェル様へ渡そう。
「ミッシェル様、どうぞ」
「それは何?」
「シュークリームで御座います。バニラビーンズを惜しみ無く使ったお菓子です」
「それが私に食べさせたかったモノですね?」
「満足して頂けるかと」
ミッシェル様は、眉を細めた。
こんなモノが美味しいのか?見た目はパンではないか!匂いもあまりしない。貴重なバニラビーンズを返して欲しい。そんな顔をしていた。
「はむ!………んん~♪お、美味しいコレ!!」
会場はざわめき立つ!
突然の出来事に誰しもが、注目するのだ!
「あっんま~い♪ねっとりとした舌触りが、何とも言えませんわ♪生地は柔らかく、このバニラビーンズのアクセントがまた!!いい♪」
無我夢中で食べるミッシェル様。
僕はその隙に、お皿に乗せた。それを皆に配る為に。
「ふぁ♪」「んん♪」「美味しい♪」
主に女性が悲鳴を上げた!
この異世界では、こんな甘くて美味しいお菓子は存在しない。パンと間違われてもしょうがないのだ。それくらい衝撃を受けたと思う。
夫婦で来ていた女性は、夫のシュークリームを奪う!あっ!?と、いう間の出来事だっただろう。可哀想に。100個しか用意してなかったので、全員には行き渡らないけど。
「どうですか?お気に召されました?」
「………これ売りに出そう!」
「へ?」
「マチルダ様!これは何というお菓子ですの?」
「シュークリームですわ!」
「シュークリーム・・・販売する許可をくださいませんか?マチルダ様!」
「うふふ♪いいでしょう。
交渉は後日に、宜しくて?」
「じぃ!商談の準備を進めるのです!それから、バニラビーンズの栽培を急がせるのです!」
「お任さ下さい!ミッシェルお嬢様!!」
「ハオからミッシェル様にお礼をさせますわ」
マチルダ様から、ダンスを誘えと無言の圧力がかかる。休憩を!誰か!休憩下さい!
「ミッシェル様。僕と踊ってくれませんか?」
「まぁ、いいでしょう」
ミッシェル様は手を差し出す。
僕も手を取り、お辞儀した。手の甲にキスでも出来れば一人前だけど、僕には敷居が高い。
ダンス広場へ移動し、改めてミッシェル様を見る。くぅ!可愛いぞ!やはりピンク色の髪の毛は反則だ!ツインテールではなく、お団子にまとまられているではないか!
「ミッシェル様、バニラビーンズありがとうございました。美味しいお菓子が作れて、光栄に思います」
「いえ、私もこんな事になるとは思いませんでしたから」
「・・・」
「・・・」
何も思い付かない。
とうすればいい!?
「あの………」
「どうされました?」
「いえ、………何でもありません」
気になる!何でも無いのか!?
しかし、それよりも問題があるだろ!何を話したらいい!?愛を囁くのは禁止されてるからなぁ。僕はミッシェル様の事、全然知らない。あ、ファリス様の時の様に聞けばいいのか。
「ミッシェル様の領地では、何が作られているのですか?」
「え!?」
「いえ、僕は黒ゴマと、柚子を探しておりまして。何処かにありませんでしょうか?知っておられましたら、教えて頂きたいのです」
「そ、そうでしたの。・・・私の領地にはありませんわ」
「そう、ですか」
「で、でも、マーガレット様の領地なら、手に入るかもですわ」
「え!?」
「融通して頂けませんか?」
「・・・仕方ありませんわね。今回だけですわよ?」
「ありがとうございます!ミッシェル様!」
「私の領地は、コーラル地方の真下にあって、その左隣がマーガレット様の領地ですわ。今の季節だと、枝豆とキャベツが取れますわ」
「枝豆!?」
「驚く所、そこですの?」
「大好きなんです!」
(え!?ハオさんが大好きと言ってますわ!何故!?)
「そ、そんなに好きなのですか!?」
「愛してます!欲しいです!全て!!」
(ハオさんが求婚!?それも私に!?突然過ぎますわ!)
「タダでは無理です!?」
「僕には出来る限り!何でもしますから!」
「ひゃあ!?」
「枝豆を下さい!!!」
「解りましたわ!その申し出、受け………へ?」
「ビールのお供に最高なんです!枝豆!」
ミッシェル様は肩を震わす!
そして、涙目で僕を睨む!すると、物凄いスピードで叩かれた!
バッシーン!
「ぶげは!?」
右頬が紅葉の形を構成する。
僕は何が何やら分からないまま、その場で硬直するしかなかった。
その時、失礼な事をしたから、失礼執事と呼ばれる様になる。
称号 失礼執事を得た!
誤解だ!僕は何もしていない!こんな恥ずかしい称号いらねぇ!!




