37話 神様!準備は必要です!
僕は厨房で唸っていた。
シュークリームに必要なモノは何かを。
この異世界では、牛乳、卵、砂糖、塩は手に入る。だが、バターだけは難しい。なので、何種類かの牛のミルクを手に入れた。
遠心分離機は無い。
だから、協力者は要請した。勿論、サラさんしか適任者はいない。何故ならば、彼女は美味しいデザートには、どんな労力も厭わない女性なのだから。
「フレンチトーストの100倍美味しいから手伝って」
「ハオっち!私はやるよ!」
簡単だった。
魔法は危ないので、身体強化で回転させ、牛乳からバターの成分となる部分を、分離させる事から始める。
30分経過する。
上澄みの牛乳を掬い、それを加工するのだ。
サラさんには、再び牛乳を回転させ、分離作業をしてもらう。脂質が必要なんだよ。だから、牛の種類によっては、バターを生成出来ない。
5種類の牛乳を遠心力で分離させ、バターの作成に取り掛かる。ヒットしたのは、3種類だった。これならば、バターと生クリームが作れる!僕は嬉しくて堪らなかった。
「サラさん、小麦粉、砂糖、塩、バニラビーンズ、卵黄、牛乳を用意して下さい。それと、さっき作ったバターも」
それを適当に混ぜる。
これでカスタードクリームの完成だ。
続いて、生地を捏ねる。
小麦粉、卵、牛乳、塩、バターを混ぜ、平べったく伸ばす。焼いた時に、膨らむ様にだ。
オーブンに入れ、生地を焼く。
手空きに、ホイップクリームを作る。シュークリームといえば2層のが一番美味しいからね!
※ホイップクリームは生クリームを必要としません。
「ハオっち!それ何!何!」
僕はスプーンで掬い、サラさんの口に運ぶ。
「ん~♪何これ!?美味しい♪」
「ホイップクリームですよ」
「ねぇ、ねぇ、ハオっち!これ頂戴よぉ!」
僕はカスタードクリームとホイップクリームを合わせ、それを渡す。サラさんは嬉しそうに口に運んだ。
「はぅ♥し、あ、わ、せ♪」
「はぁ、この程度で、美味しいとか無しですよ」
「これ以上がある………の?」
「ええ。点数で言えば65点くらいですね。まだまだ美味しいお菓子は沢山ありますから」
「ゴクリ!」
「では、これの仕込みしましょう」
「ハオっち………これは美味しい、の?」
「そうですね。90点くらいかと」
サラさんは僕に抱き付く!
美味しんぼうなだ!でも、僕も嬉しい!サラさんは可愛いし、柔らかな感触が堪らん!ぐへへへ。
「ハオっち!もう離さない♥」
「ちょ!作れませんよ!」
「それは困る!でも、離れたくない!食べさせて♪」
「無~理~!!」
あげたら、盗まれる危険を感じたので、夜会までお預けだ。うふふ!貴族達よ!目にモノを見せてくれようぞ!
シュークリームを100個用意し、明日の夜会へ準備は整った。さぁ、やるぞ!でも、その前にシュークリームを3つ持って行く。
勿論、マチルダ様へのサプライズだ。
コンコン。
「失礼します!ハオです」
「どうぞ」
「マチルダ様、お夜食に甘い物は如何でしょうか?」
「まぁ、パンですか?」
「どうぞ」
マチルダ様はパンと勘違いされた。
シュークリームの存在は誰にも教えていない。僕は冷静さを装い、マチルダ様に手渡す。勿論、皿に乗せてだ。
「では、頂きます。はむ………!?」
「お口に合いましたでしょうか?」
「こ、こんなの初めて♥何て素晴らしい味わいなのです!?甘くてしっとりとして、ネットリとした舌触りは!白いクリームと黄色いクリームが混ざり合い、お互いが美味しさを引き立てていますわ!はぁ♥この生地の心地良さ!軽くて、しっとりとして、口の中で無くなる感触!まさに奇跡!」
「お気に召されて光栄です」
「今までどんな料理人も、ハオには敵いませんわ!」
「それは言い過ぎです。マチルダ様」
「ハオは謙遜し過ぎです!」
「これを夜会に出しても良いでしょうか?」
「え!?・・・それは名案です!いくつ用意しました?」
「100個程」
「足りないかもしれませんね・・・この美味しさですから」
「ご安心を。これもご用意しました」
「こ、これは?」
「これは更なる楽園に導かれるモノです」
「そ、そんなに、も・・・パクリ………ん♪んん♥はぁん♪」
「如何でしょうか?」
「んん~♥ダメですわ!ああん♪こ、こんなデザートがこの世に存在したなんて♥もっと♪もっとですわ♥ハオ!んんぁ♥」
「夜会楽しみですね」
「はぁ、はぁ、はぁ。………お代わり………ハオ………」
「畏まりました」
こうして、夜会への準備は整った。
誰にも笑わせはしない!僕はそう決意するのであった。




