32話 神様!ダンスの練習は厳しいです!
「アン、ドゥ、トロワ。アン、ドゥ、トロひぎゃ!?また足を踏みましたわね!」
「す、すいません!!」
「足ばかり見ているから、体勢を崩すのです!全体を見る様にして、私の顔を見るのです」
「あ、あの、恥ずかしい、です」
「何を恥ずかしがるのです!?失礼ですのよ!?」
「で、でも………ミッシェル様、凄く可愛いし・・・」
「な、な、何を言っているのです!破廉恥な!真面目にダンスを練習しなさい!」
ミッシェル様に怒られ、僕はシュンとする。頑張ってはいるさ。でも、人には向き不向きがあるのだ。僕にはダンスは踊れない。
「あら!あら!あら!あら~!!ミッシェル様の教え方が宜しく無いのでは御座いませんか?」
「何ですって!?」
「ハオ!わたくしが教えて差し上げましょうか?うふふ♪ねぇ、ハオ?」
「何を言うかと思えば、私の邪魔をするのですね!?ハオ!どちらに教えて貰いたいか、ハッキリ言いなさい!!」
ダンスを教えてくれると言ってくれたミッシェル様。それが上手くいかないから、代役にとマチルダ様。選択肢は2つなの!?ダンスは才能が無いので、ここで終わるという選択肢は?
しかも、二人共、歪みあっているし・・・僕はどうしたらいい?ヒメ!!
※昔飼っていたパグの名前、妹が付けた。
「「ハオ!どちらにするのです!?え!?」」
二人がハモった所で、僕はダンスの練習をしていた。一人で練習は出来ない。それを見かねたレイア様が、すーっと僕に近付きエスコートしてくれた。
「な、な、何でレイア様が!?」
「抜け駆けは狡いです!!」
レイア様が溜め息を付いた。
大きい胸で足元は見えない。かなり密着しているのも原因の一つだが。でも、踊りやすい。身長が近いからかもしれないな。
「ハオさんのダンスの練習にならないからね。仕方無いでしょ。それに上手く踊れる様になったら、全員お相手して貰えば良くない?」
「まぁ!そうですわ!レイア様!」
「う、うん。レイア様がそう仰るなら」
「ひぇ!?私もですか!?あわあわあわ!」
「ほっほ!じぃも楽しみですぞ!」
「ハオとダンス………仕方無いな!」
「私も頑張りますぅ!」
何故、ミネアさんとフローラさんまで・・・しかも、じぃやさんが参加する意味が不明だ。どうして、何時も僕の思っている方向から脱線するんだ!?
「ハオさん!頑張りましょうね♪」
「は、はい」
うわぁ!緊張するよ!
足踏まない様にしないと・・・でも、足元見えないから、感覚で覚えろという事か。
ああ!この弾むメロンは僕を翻弄する!
絶対バレてるよな。メロンを凝視しているの。女性は男の視線は分かる様だ。何処を見ているかは、一目瞭然との事。チラチラとでも、視線を感じるらしい。僕は女性からの視線を感じた事は、無いから分からないけどね。
「そう!その調子ですわ」
僕は苦手と思わない事にする。
そう認めてしまえば、それ以上に上達しなくなるからだ。
僕は装置屋さんだ。
装置は、知識と技能があれば何とでもなる。不具合があれば一人でも直せる。そう思っていた。しかし、現実は違う。一人じゃ、何も出来ない。
部品が壊れれば、予備を発注しなくてはならない。生産が日量に達成出来なければ、関係各課へ報告して調整が必要となる。
何でも一人で出来ると思っていたのだ。だけど、実際何も出来なかった。
僕は人とのコミュニケーションが下手なのだ。見下していたかもしれない。嘲笑っていたのかもしれない。そんな僕に仲良くしてくれる人はいなかったのである。
上司と年末に年間報告をしていた。
その時に、コミュニケーション不足を指摘されたのだ。だけど、僕は苦手で無理だと答えた。その時に言われた事を今でも忘れない。
「苦手に思うな!コミュニケーションもスキルだ!習得してしまえば出来る!お前は最初からソフト変更や装置調整が出来たのか?習得出来るスキルだと思えば、何とでもなる!」
その結果、人付き合いもそこそこ上手なった。
何でも一人でやるのでは無くて、皆に相談し解決する様になる。
「随分、上達しましたね!ハオさん!」
「ありがとうございます!レイア様!」
僕は席に戻った。
紅茶を飲み、喉を潤す。すると、目線を感じるのだ。
「次はわたくしとですよ、ね?」
「いえいえ!私とですわ!」
「ミッシェル様は、最初お相手なさったではありませんか!」
「あんなの1回に入りません事よ!」
「え!?」
突然、腕を掴まれた。
それに釣られ、僕は立ち上がって進んでしまう。
僕を引っ張ったのは、シーアさんだった!!
「つ、つ、次は、わ、私の、番です、よね?」
「あ、はい!お願いします!シーア様」
「シーアが抜け駆け!?」
「そんな!?シーアまでわたくしの邪魔をしますの!?」
マチルダ様とミッシェル様がポカンとしていた。それ程、驚く事だったのだろう。まさか!シーアがハオとダンスを!?しかも、自ら進んで!?みたいな顔をしている。
「も、もう………限界!」
こうして、全員踊る前にダンスの練習は終了した。
理由は、僕の体力不足てある。シーア様の後にマチルダ様と踊って終わる予定が、ミッシェル様がもう1度と言われ、再び踊る事となった。
じぃやさんがしつこく「ほっほ!ヒールしましょうか?鷲もまだまだ若いですからのぅ」と、訳の分からない事を言っている。気にしたら負けだ。放っておこう。
マチルダ
(城に帰ったら、特訓ですわ!わたくしと二人っきりで♪)
ミネア
(ハオは体力無いなぁ。僕が鍛えてやるか。帰ったら、ダンスの練習も………仕方無い。相手してやろう!仕方………なく……だ、ぞ?)
フローラ
(ハオさんはお疲れの様ですねぇ。私がマッサージしてぇ、ハオさんに私がマッサージされてぇ。ああ、楽しみですぅ♪)
ミッシェル
(不意に可愛い言わないで欲しいわ。………でも、レイアの胸ばかり見てたよねぇ。男ってのは胸が大きかったらよいのかしら!?もう!腹が立ってきましたわ!プンプン!!………ぷにぷに………まだまだこれからですのよ!成長期ですわ!)
レイア
(マチルダ様もミッシェル様も大概にして欲しい。夜会で恥を掻くのはハオさんなのに………でも、シーアやるわね!まさかハオさんに気があるのでは!?きゃ!?後で追求しなくてはね♪)
シーア
(や、や、やってしまったぁ!マチルダ様とミッシェル様。怒っておられるだろうなぁ。はぁ、でも、全員相手しなさいって、仰ってたのに・・・)
各自、色々な思惑はあれど、思いに更けるのであった。




