19話 神様!お茶会が開かれるようです!後編
紅茶を優雅に嗜む女性達。
こうして観察してみると、立ち振舞いや仕草も僕とはまるで違うのが解る。流石は貴族、皇族だけの事はある。テレビのドラマに出でくる芸能人では、決して出せない気品と気高さを感じた。
まぁ、中世の時代の文献を漁り、多分こんな感じだろうと、演技指導しているから、本物には遠く及ばない。
生まれてから、ずっと貴族、皇族だった。このプレッシャーや背負うモノが明らかに違っている。
まだ15歳なのに、大人の真似事で女子会を開いているのとは、訳が違うのだ。ここでの会話は、今後の行く末が変わる。噂話は確信となり、各地へと散らばっていくのだから。
「ロシーア地方のシャルル伯爵が、また囲ったそうなのよ!」
「え!?これで7人目よ?」
「それが、今度は猫族の娘だなんて!!もうはしたないと思いませんの!?ここだけの話ですけど、専用の屋敷を与えたそうですわ!それで、その事がバレて愛人達が大騒ぎ!」
「まぁ、まぁ、まぁ、まぁ!」
「でね、愛人達の怒りを収める為に、屋敷を一人一人にお与えになるそうなの!でもね、そんなお金何処にもありませんのよ!」
「もしかして、今年の税が重くなる?」
「今年は作物の実りが良くありませんわ。なのに、税が上がるとなると、民はどう思いますかしら?この税は愛人の屋敷へと変わるのか?と」
「暴動が起こりますわね」
「ふぇ!?私の領地は近いですよ?影響ありますかね?」
「屋敷を諦めさせる事は可能かしら?」
「それは無理だと思いますわ。
シャルル伯爵が自害しない限りね・・・」
「ねぇ、マチルダ様からアーサー国王殿下に、
口添えして頂けないでしょうか?」
「うーん。わたくしでは聞き入ってもらう事は叶いません。お力になれず申し訳御座いません」
「マチルダ様がお謝りにならないで下さい!私が悪いんですから!」
シーアさんは何度も頭を下げる。
マチルダ様がそれを抑え、宥めておられた。
僕としても、何とかしてあげたい。
しかし、素人が提案しても良いのだろうか?
「そういえば、新しい執事の紹介をしてくださらない?」
「ハオ!こっちにいらして」
何故呼ばれる!?
さっきまで、女性の好きな恋話から政治の話へと移行していた所じゃないか?僕か呼ばれる要素は!?仕方無いので、諦めて駆け寄る。
「お呼びでしょうか?マチルダ様」
右腕をお腹辺りで曲げ、お辞儀した。
深く下げ過ぎず、角度は20度くらいだろうか。
「わたくしの専用執事、ハオですわ!」
「ミッシェル様、レイア様、シーア様。
お目にかけて光栄の極みに御座います」
「見た目、普通ね」「ハオさんに失礼では?」「執事欲しい」
「えーとね。この紅茶もお菓子も、ハオが考案したのです!」
え!?と三人の女性は固まった。
こんな平凡な平民が、素晴らしい紅茶とお菓子を考えただと!?弱そうで、何の取り柄もなさそうなのに。多分そう思っているだろう。
「ま、まぁ、これくらいはじぃやでも………」
「まぁ!この次のお茶会が楽しみですわ!」
「あは、あははは」(引きっつった声)
ミッシェル様の眉毛がピクピクと痙攣していた。
言わなきゃ良かった!そう後悔してそうだ。まぁ、僕が行くかは分からないから、どんなおもてなしがされるかなぁと思うに留める。
「ハオさん!このサツマイモタルトは売り出すおつもりですか!!」
うわ!ガッツかれると弱るな。
シーアさん、どんだけサツマイモ好きなんです。石焼き芋渡したら、発狂するのでは?うーん。渡さない方が良いかも?
「いえ、その予定は御座いません」
「うふふ♪シーアは売れると、お思い?」
「間違い無く売れますよ!毎日完売します!さぁ!売って下さい!」
「では、検討しませんとね♪」
「ねぇ、ミッシェル様。シーアが壊れてますよ?」
「ああなったら、もう無理ですわ。放っておくのが宜しいかと」
ミッシェル様とレイア様は溜め息を付いた。
普段は弱気なのに、こうも変貌すればそうなるだろう。僕も笑顔を崩さない様に徹するので精一杯だ。もう帰っていい?オウチ帰りたい!
「ミッシェル様、少し宜しいでしょうか?」
「何かしら?」
「まぁ!ハオが自分から発言するとは珍しい!!」
「その香水は、もしかして、バニラビーンズでしょうか?」
「あら?解りますの?」
「ええ。とても良い香りがしましたので」
「これに気が付くとは、中々見所がありましてよ」
「ありがとうございます。それでですね。バニラビーンズを少し分けて欲しいのですが、宜しいでしょうか?」
「これは私の庭で、少しだけ栽培してますの。
香水以外に使い道ありませんし・・・」
ミッシェル様はそう呟くと、何かを考えている。
「ねぇ、ミッシェル様。ハオのお願いを聞いて頂けません?」
「………マチルダ様がそう仰られるなら………いいですわ。じぃや!バニラビーンズを差し上げて」
「ありがとう!ミッシェル様!」
「感謝なさい!マチルダ様に!」
「ありがとうございます。ミッシェル様、マチルダ様」
「それで、何を作るつもりなの?」
「はい!シュークリームとバニラアイスです!」
「それは美味しいのですか?」
「ええ。今日出したお菓子の100倍は旨いです」
ガタン!
シーアさんが突然立ち上がった!僕はビクッとなる!
「………に………か?」
「はい?」
「本当にですか!?」(お大声)
「ふぁ!?」
「こんなに美味しくて、生まれて初めてなのに!これ以上美味しいお菓子があるんですか!?貴方一体何者なの!!何処から来たんですか!?」
「シーア!落ち着きなさって!」「はいはいどう!!」
「シーアは甘い食べ物に目が無いのですね」
ミッシェル様とレイア様でシーアさんを止めに入る。
そして、それを振りほどき、僕の肩を掴んだ!ねぇ!僕はどうすればいい?母さん!!ガクガクと振らされ、頭が揺れる!うぇ!気持ち悪い。
「だずげで!」
「ハオ!?」「ハオさん!大丈夫ですか!?」「シーアお嬢様!お止め下さい!」「誰か!?誰かおりませんの!?」「シーア!離しなさい!」
「まぁ、ハオも人気者ですこと♪」
リバースはしなかった。
誰か僕を誉めて欲しい。シーアさんが暴れた事?により、お茶会は幕を閉じた。
「お土産ですわ。これは石焼き芋といって、一人寂しい時に食べるとハオが申しておりました。食べた次の日は、絶対に誰にも会わないように!との事です!絶対に!ですよ?」
「分かりました。ではごきげんよう!」「マチルダ様、本日はとっても楽しかったわ!」「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
マチルダ様が送迎してくれた様だ。
僕はベッドで横になる。うっぷ!地面が揺れてるよぉ。
帰りの馬車の中で、石焼き芋を三人は食べる事にした。
ミッシェル様
「食べにくいですわ!じぃや!何とかして!………はむ。うわ!美味しい!何これ!?あんまーい!!ぅうん♪はむはむ!え!?もう無くなった!?じぃや!!これを食べたいですわ!何故黙るのです!?」
レイア様
「面白い執事でしたわ。はむ………モグモグ。こ、これは!?セバス、明日の予定は?………全てキャンセルなさい!はむ。ああ!美味!!この様な食べ物があったなんて!?………確か、家の領地には空きがありましたよね?特命です!セバス!サツマイモを植えるのです!」
シーアさん
「ナニコレ!?美味しい!?ミミィ!!お城に戻って!!もっと!もっと食べたい!!ダメよ!絶対にあげない!離して!馬車から降ろしてぇ!!!」




