18話 神様!お茶会が開かれるようです!前編
昼過ぎに慌ただしく馬車が到着する。
マチルダ様が主催の、お茶会に参加するからだ。
馬車の数は3台。
それぞれにお供を連れて来ている。メイドや執事、じぃや、らしき人物までいた。どこぞの箱入り娘かは知らないが、それだけ大事にされているのだろう。
馬車も豪華だ。
それぞれに装飾が施され、自己主張が強い。家紋なんかもあるのだ。馬もそれはそれは血統書付きなんだろうなと思う。
「お招きありがとう。ご機嫌如何?」
「まぁ!来て下さったのですね!ミッシェル様!お待ちしておりましたわ!」
ご機嫌如何頂きました!
こんな言葉、日常会話で聞く事無いからね。でも、2017年3月10日、引っ越しで片付けるのに、妹を呼んだ。血の繋がった実の妹を。そしたら、キレられ【非常識だ!】【帰れ!】【動くな!】と連発の嵐!そして、最後に言い放ったのが【片腹痛いわ!】だ。日常会話で、片腹痛いわ!を聞いたのは、多分、日本で僕だけだろう。
家の部屋は1部屋、扉が閉まらない。いや、言い直そう。閉められないのだ。ゲームセンターの景品で埋め尽くされ、部屋への侵入は体を横にして、足の踏み場を目測で確認は出来ないから、勘で踏み込む。それを3月27日までに、全て箱詰めするのは嫁1人じゃ無理だろう。と、思い呼んだまでだ。
因みに、引っ越し場所は、教えて貰えなかった。立ち会いもしないし。どうやって部屋に収納したか不明である。業者に聞いたら、六畳の部屋に満遍なく詰め込んで、2部屋満杯になるらしい。段ボールの数は200を越える。衣装ケースも20以上あるし、今となってはどうでもいい。
「貴方がマチルダ様の執事なのですね?こんな平凡な平民は見た事御座いませんわ!おほほほほ!」
ミッシェル様は気が強いみたいだ。
見た目は可愛いのに、これはマイナスポイントと言わざるを得ない。でも、ツンデレならOKだ。
身長は150センチくらい。胸は少し膨らんでいる。髪型はツインテールで、かなり長い。髪の色がピンク色なのが特徴的だ。見た目は可愛い。これに騙される男は多いだろう。
「ご機嫌麗しゅう。マチルダ様」
「レイア様!遠いのに、よく来て下さいましたわ!」
身長170センチくらい。胸は大きい。
髪型は縦髪ロールで、お嬢様ですね。髪の色は茶色で、整った顔立ちをしている。口調は少しおっとりなので、性格もおっとり系なのかも。
「お招きありがとうございます!マチルダ様!私の様な身分でも、こうしてお呼びして頂けるなんて!まさに光栄の極みです!」
「そんな事は関係ありませんわ!わたくしのお友達のシーアが来てくれて、本当に嬉しい事ですわ!」
身長160センチくらい。胸は皆無。
髪型はロングで腰まである。髪の色は黒で、パッと見、日本人かもと思うが、洋風の顔立ちである。早口だったので、直球ストレートな性格だろう。気になるのが、"様"を付けなかった事だ。身分で分ける必要があるのかもしれない。
「皆様道中、お疲れになった事でしょう!さぁ、今日のお茶会は何時もとは、違います。お楽しみにして下さいね♪」
「それは楽しみね」「胸が高まりますわ」「私、来て良かったのでしょうか?」
まだ引きずってますね。シーアさん。
もしかしたら、お友達になれるかもしれない。まぁ、そんなフラグはありませんけどね!
先ずは、紅茶をお出しする。
勿論、熱々だ。それは焼石を使用しているからである。石焼き芋を作った時に、これ使えるなぁと思った。冷めた紅茶を飲むのは嫌だからね。
「まぁ!桃の香りがしますわ!」
「うふふ♪さぁ、飲みましょう」
「美味しいです!マチルダ様!」「流石ですわ!」「私が飲んで良かったの?でも、美味しい」
ご満足を越え、ご満悦の表情をしているマチルダ様。
でも、どや顔にはなっていないのが、皇族なのだろうか?僕ならば自慢して自慢して自慢してやるのに!ああ、こうして見ていても美しいなぁ。
「ハオ、心の声がダダ漏れだぞ」
「・・・すいません」
先程、焼き上がったお菓子をテーブルに並べる。
今回は形を3つにした。三日月、星、ラグビーボールである。
「何ですか?これは?」
「うふふ♪どれも味は同じです。御賞味下さい!」
「それでは頂きますわ!パクリッ」
ミッシェル様が動かなくなった!
もしや、お口に召さなかったのか?それとも、毒でも入っていたのか?
「・・・い」
「どうされました?ミッシェル様?」
マチルダ様が不安そうにミッシェル様を見つめた。
「美味しいですわ!これは何というお菓子なの!?」
「えーと………ハオ!これは何とかいうお菓子なのですか?」
がは!大事な事を教えていなかった!
作って食べてもらって、嬉しくて忘れていましたよ!もう40前なんです!体は16歳ですけど。見た目は少年、中身はおっさん!何だろう。このフレーズがピッタリなのは。これで、週一、殺人事件があれば言い逃れ出来ないじゃないか。
「これはですね。サツマイモタルトです。マチルダ様」
「サツマイモタルト………」
「これ、何処で購入されました?」
「あ!私も買いたいです!」
「これは手作りですわ!うふふ♪」
「紅茶といい、お菓子といい、まさに何時もと違うお茶会ですわね。流石、マチルダ様ですわ!」
「そうですね!これが手作りだったとは!パクパク」
「まぁ、これくらい、じぃやが作ってくれますわ!」
ミッシェル様、強気だよなぁ。
負けず嫌いなのか?ふと、じぃやさんを見ると、顔から汗が吹き出してる!ぶっ!無理難題を押し付けたのかよ!?可哀想なじぃやさん。レシピを教えてあげたいが、マチルダ様の許可が無いと教える事は出来ない。まぁ、サツマイモタルトを頑張って作って貰おう。
「お土産も用意しておりますわ!」
「まぁ!良いのですか!?」「それくらいはして頂かないとね!」「貰っていいの?本当に?あ、でも、サツマイモタルトも……」
カップの中が空になったので、お代わりをつぐ。
湯気が立ち上がり、また香りが辺りに広がった。
「あら?熱々ですわね?」
「うふふ♪」
マチルダ様が僕の方を見る。
本当に嬉しいのだなぁと思う。まぁ、自分で開催したイベントが上手くいくのは、誰でも嬉しい事だろうな。オンラインゲームで、FF11をやっていた時に、イベントを開催した事を思い出す。なかなか人が集まりなくて、知人にアタックしまくったな。妥協して、パーティー組んで全滅。今となっては良い思い出だ。




