17話 神様!朝ごはんは大事です!
「・・・なさい!」
「・・・ですぅ」
何か聞こえてくる。
頬をつつかれ、体を揺すられていた。すると、急に寒気がする。寝返りで、布団を蹴り飛ばしたのだろうか?
「キャー!これぇ!?」
「うわ!?マジ!?」
「男の子人ってぇ、こんなになるんですねぇ!」
「フローラ!もう止めよう」
「ちょっと脱がしてぇ、確認してみますぅ?」
何だか困った事が起きているぞ。
男は皆、朝にテントを張る。これは生理現象なのだ。オシッコを我慢しているのも、その原因の1つかもしれない。
だが、ここで見られても困る。
恥ずかしいので、狸寝入りは止めて起きる事にした。
「あのー、女の子がそんなはしたない事しちゃ、ダメですよ」
体を起こし、ベッドに座った。
「フローラさん、ズボンを下ろすの止めて下さい!もう起きてますって!ねぇ!聞いてます?」
「ちょっとだけぇ!先っぽだけですからぁ!」
それ女の子にやらせて欲しい時に言う、ヤンキーの定番の発言じゃねーか!普通に考えてたら、そこまでやったら、最後までやっても同じだよね?まぁ、先っぽだけで、満足出来る訳無いのに・・・。
「フローラ、もうハオも起きたし・・・それはそうと、今日は大事なマチルダ様のお茶会なんだぞ!ハオ!さっさと支度して、準備に取り掛かるからね!」
「残念ですぅ」
「なら、出て行ってくれませんかね?
着替えられませんよ」
二人共、一向に出て行く気配が無い。
僕の裸等、見てもツマラナイのにね。つーか、息子よ!いい加減収まってくれないか?
「ハオがサボらないか見張ってるんだ!けっしてだな!お前の裸を………その……見たいとか、ないぞ!」
「ハオさん!その股関の膨らみはぁ、何ですかぁ?うふふ!ハオさん!答えて下さいよぉ?」
僕はイジラレキャラでは無い!
そして、イジラレても嬉しくないぞ!そういうのは、芸人に任せるべきだと思う。
仕方無いので、上から着替える。
シャツを羽織り、ボタンをつける所で背中に柔らかい感触が!!もしや!これはメロンが背中で潰れたからですかぁ!?
首筋に吐息がかかる。
フローラさんの顔が僕の左頬に密着した!顔を動かせばキスしてしまう!そんな距離だ!甘い香りが漂い、頬と頬が擦れる。
「お手伝いしますねぇ」
フローラさんがボタンを取り付けていく。
ああ!堪らん!時折、『ぁん』と言う吐息混じりの声を放つのだ!背中でメロンが擦れるからか?それとも突起物が、ボタンを取り付ける時に、ズレるからなのか!?ヤバい!!頭はもう、そんなエロい想像で一杯だ!!
ノーブラ最高!イエス!時間よ!止まってくれ!
「んしょ、終わったですぅ」
「・・・ありがとう、ございます」
朝から精神を削られるとは!
息子は未だに健在である!もう収める事は出来ない!放出したいが、そんな時間も無いし・・・悲しい!!このまだある温もりと感触で2回はイケそうだ!だから、本当に残念である。
「あれぇ?手のひらが少しベタベタするですぅ!ネバネバするしぃ、糸を引きますねぇ」
うわ!フローラさん!それダメ!
もしかして、最後のボタンを取り付けた時に、息子とファーストコンタクトしたのか!?慌てて、胸ポケットからハンカチを取り出した!
「あっ!?」
「ペロリッ。少ししょっぱいですぅ」
何故舐める!?本能がそうさせたのかもしれない。あれは納豆だ!フローラさんの朝ごはんは、納豆を食べたんだ!だから、気が付かずに付着していたのかもしれない。そういう事にしておこう。
僕は素早くズボンを着替え、上着を着た。
「もう着替えましたので、行きますよ!」
「えへへ。朝ごはんに行きましょうねぇ♪」
「ハオの馬鹿、ハオの馬鹿、ハオの馬鹿」(小声)
食堂に着くと、席は一杯だった。
空くまで待つしかないか。と、思っていたら声がかかる。
「おーい!ハオっち!こっちこっち!」
「あ、サラさん」
「まだ朝ごはん食べてないだろ?一緒食べよう」
「え?相席いいんですか!ありがとうございます!」
城で働くメイド達は、皆ここの食堂で食べる。
バイキング形式を採用しており、好きな物を好きなだけ食べれるのだ。だから、遅いと何も残っておらず、珈琲だけの朝食となる事もあるらしい。
最初の1週間は、ここには立ち入りさせて貰えなかった。だから、ミネアさんが持ってきたパン1つと、水を飲んでいたのだ。何かパンに挟んでくれても良かったのに!と、思うが過ぎた事を言っても仕方無い。
ふと、心配してしまう。
息子は朝ごはんちゃんと食べているだろうか?
「おい!お前!冷凍庫に入れてある食パンを自分で焼いて食えよ!」
当時、6歳の息子に嫁は言い放った。
朝ごはんを用意して貰えない息子。僕が用意出来ればいいのだが、朝6時に会社へ行くのだ。起こして食べさせるのは、可哀想だから用意する事は出来なかった。だから、僕はシスコーンと牛乳を準備する。栄養価もバランスにも優れていた。だから、色々と考えたのだ。
学校の先生に何時も言われる。
「息子さん、朝ごはんしっかり食べてますか?二時間目終わった辺りで、お腹空いたと言うんです。そしたら、クラスの皆も釣られて言うんですよねぇ」
毎日シスコーンだと飽きる。
だから、時折、菓子パンを買う。それだと、沢山食べてくれるからね。
「お?ハオっちは、珈琲は無党派なんだね」
「ええ。珈琲は砂糖やミルクを入れるのは不粋です。このほろ苦い味わい、深いコク、渋みを堪能出来ますからね」
「ハオは珈琲が好きなのか」
「じゃあ、珈琲に砂糖とミルクをぶちまける私は不粋だなぁ!なんちゃって!!」
「そんな事はありませんよ。ジュースとしてなら、問題ありません。そういう特別な作り方もありますからね」
「これよりも美味しい?」
「ええ!100倍は旨いですよ」
「ハオっち!私の嫁にならないか!?」
「僕は男ですよ。嫁にはなりません」
サラさん、目が怖いです。
そして、無用心に近寄らないで下さいね。勘違いされても知りませんよ?
「ハオ!夫なら良いのか?」
ミネアさん、何を言ってるか分かりません。
僕は誤魔化しながら、パンと野菜スープを流し込む。
食後は珈琲をゆっくりと嗜みたい。2杯目の珈琲で香りを楽しむ。あー、今日も頑張るぞ!と思えてくる。珈琲様々だ。
「ハオ、準備は整っているのか?」
「はい。昨日のうちに石焼き芋は作っておきました。まぁ、サラさんにつまみ食いされてなければ?ですが」
「ハオっち酷い!いくら私でも、そんな事しないモン!」
「では、確認してきます」
「・・・」
何故かサラさんは黙りこんだ。
まさか、全部食べたんじゃないだろうな!!??
しかし、こんな事もあろうかと、金庫に入れておいたのだ。魔法の言葉で、金庫を開けた。石焼き芋を中から取り出す。昨日は、10本保管しておいたんだ。数を数える1・2・3・4・5・6・7・8・9………あれ?1本足りない!?123456789!何故!?無い!無いぞ!!
僕は金庫の中を確認する。
何度も見たが、やはり石焼き芋は何処にも無かった。袋に石焼き芋を入れ、僕は席に戻る。
「ハオさん、お芋はありましたかぁ?」
「それがですね・・・あったのはあったのですが・・・」
「何だ?ハオ、その中途半端な物言いは?」
「昨日、金庫に10本保管したんです。ですが、先程、数えたら9本しか無くて、1本見当たらないんですよ」
「ナンダッテー」「何だと!?盗難か!?」
「ハオさんの数え間違いではぁ?」
「いえ、それはありません。サラさんと一緒に数えて入れましたから。ですよね、サラさん?」
「あ、うん、そうだね……でもさ、あれだよ。ハオっち!私も数は数えた。でも、頭悪いし、記憶も曖昧なんだよね………だから、9本、だった…………かも、しれない、な?」
「こういうのも何だが、ハオは頭は良い。そして、記憶力も優れている。だから、間違うだろうか?」
「私もそう思いますぅ。お芋を焼いた時に数えましたよねぇ?あの時は確かに10本でしたぁ」
「キノセイダヨ、キノセイ」
僕はサラさんが怪しいと思う。
だが、人を疑うのは良くない。証拠も無いし、ましてや女の子だ。ここは僕の数え間違いとしておけばいい。9本あるのだ。スミスさんの分で、余分に作ったのだが、今回は遠慮してもらおう。次に渡せばいいからね。
「お?この匂いは!?石焼き芋だね!にしし」
「あ、スミスさん。おはようございます」
「あー!スミス!あのそのこれはね!あっちで話そう!!」
「昨日はありがとうね!サラ!そうか!ハオさんがくれたのか!ありがとう♪美味しく頂きました!ご馳走さま♥」
「・・・ははは。どう致しまして」
僕はサラさんを見る。
ギギギギ!と首を回した時に、音が鳴ったかもしれない。
「ハオっち、あははは!私は用事があるのでこれで!」
トンズラを使ったがの如く、サラさんは消えて行った。
まぁ、いいか。スミスさんにお礼がしたかったし。半分こにして、もう片割れがサラさんの胃袋に収まったのが、少し腑に落ちないが。
「あのつまみ食いの悪女め!許してはおけん!マチルダ様のお茶会が、もしも、失敗したら………地獄へ突き落としてやろう!」
「うふふ。【つまみ食いの悪女】
改めてぇ、【盗み食いの悪女】、に改名ですぅ」
「うは!ハオさん!私困った事しちゃった?ごめんなさい!」
「大丈夫ですよ!スミスさん!余分に作りましたから!元々、スミスさんにあげる為に、用意してましたから」
「私の………為に………ヤダ」ドキン!
「いたいたた!痛いです!ミネアさん!」
ミネアさんが、僕の二の腕をつねる!
本当に痛い!青アザになりますから!ジト目で僕を見ないで!
「さぁて!作りますか!」
「はいですぅ!」「そうだね!頑張ろう!」「私も手伝いますよ」
こうして、お菓子作りをするのてあった。
客人は3人。お土産に3本必要か。お菓子を多めの方が、インパクトもいいだろう。後は、これに合う飲み物を準備しますか!




