15話 神様!石焼き芋は出来立てが良さげです!
城の外は、とても温かな気温だった。
この異世界にも季節はあり、今は6月くらいらしい。でも、日本と違い、梅雨は無い様だ。あの鬱陶しいジメジメした暑苦しさが無いのは、とても清々しく、住みやすい環境ともいえよう。
外に落ちていた木々や葉っぱを集めた。
手頃な石も沢山、拾ってくるのを忘れない。さっき、沢山貰ったサツマイモを、少し掘った地面に敷き詰めた。その上に石を満遍なく乗せ、木々と葉っぱを被せる。
「さてと、火を付けるか」
火打石で、火を起こす。
何度も、何度も、火打石を使い、ようやく火が付いた。さぁ、急いで息を吹き掛けよう。ふー、ふー、ふー、と根気よく火を大きくしていく。
ある程度、火が安定してきたら、少し大きめの木をくべる。対角線上に、成るべく空気が通る様にしてだ。キャンプファイアを連想すると分かりやすいだろう。
やる事はやったので、僕は昼寝する事にした。
だって、こんな天気が良くて、ポカポカしているんだ。誰でも眠たくなる。これは仕方無い事だ。
風が気持ち良い。
頭に手を組んで、枕代わりにする。目を閉じていても、光が眩しくて敵わない。すると、何故か暗くなる。雲で太陽の光が遮断されたのか?僕は目を開けた。
「ごめんなさいですぅ。
起こしてしまいましたかぁ?」
そこにはフローラさんが立っていたのだ。
人の影で、太陽の光が遮断されていたのか。納得する。
でも、この角度、非常不味いのでは?
メイド服のスカートの中が拝めそうだ!ギリギリで、見えそうで見えない!うーん、このチラリズムは何ともし難いな!
「いえいえ。眩しくて寝れませんでした」
「そうですかぁ。それは良かったですぅ」
フローラさんはそう言って笑った。
可愛い!見とれてしまうじゃないか!僕は慌てて、立ち上がった。すると、フローラさんの目線は、焚き火へと移っている。
「ああ、これは石焼き芋を作っているんですよ」
「そうなんですかぁ。
料理とは思えなくて、驚きですぅ!」
火はもう消えており、加熱された石でサツマイモに火を通していくのだ。木の棒で、具合を確かめる。とりあえず柔らかくなっているな。少し早いが食べても、問題無いだろう。
「フローラさん。おひとつ如何ですか?」
「良いのですかぁ?」
「ええ。食べ頃です」
胸ポケットから、ハンカチを取り出す。それで石焼き芋を持ち、半分に割った。芋の良い香りがぶわっと広がる!湯気が立ち上ぼり、熱々なのが分かる程であった。
僕はハンカチで持っていた方を、フローラさんに手渡す。若干大きめにして割っているのがミソだ。
「熱いですから、気を付けて下さいね」
「はふ!はふ!はふ!ほひひいへふ!」
「あはは!それは良かった!」
僕は、この和かな雰囲気が好きだ。
時間の過ぎるのを忘れてしまう。ふと、フローラさんを見ると、本当に幸せそうに食べているなぁ。
「サツマイモにこんな食べ方があったなんてぇ、驚きですぅ!」
「女子なら、石焼き芋は鉄板でしょ?」
ふと、城の方を見たら、マチルダ様の部屋から人影を見つけた。あれは、多分マチルダ様本人だろう・・・もしかして、焼き芋食べたいのか?いや、そうじゃないよ!仲間外れにするのを、あの人は本当に嫌う。何か言い訳を考えねば!!
「フローラさん。石焼き芋を暫く見ていて下さい。
僕はマチルダ様を呼んで来ますから」
「分かりましたぁ♪」
僕は急いでマチルダ様の部屋へと向かう。
また、お仕置きされてはたまらないからな!
コンコン。
「マチルダ様。ハオです」
「どうぞ」
部屋に入ると、マチルダ様は怒っていなかった。
僕の考え過ぎなのかもしれない。ホッと息を着く。
「ハオ、お芋は美味しかったですか?」
「ひぇ!?」
マチルダ様!怒ってるよ!
あわあわあわ!でも、今回は慌てない!しっかりと言い訳を考えてきたのだ!しかも、呼びにきたし!抜かりはないだろう!・・・多分。
「少々、固かったです。しかし、ご安心を。あれから10分経過しておりますので、マチルダ様が到着する頃には食べ頃かと。芋の確認をするのも、執事の役目です!」
僕はどや顔で、マチルダ様に言い放った!
「では、参りましょう!うふふ♪」
「え!?いだだだだ!!!???」
マチルダ様が僕の耳を引っ張る!
千切れる!千切れますよ!マチルダ様!僕はまだ片耳を失いたくありません!操られる様に僕は付い行くしかなかった。
しっかりと罰を受けましたよ。あー、耳痛てぇ。
「マチルダ様。どうぞ」
僕は懐からハンカチを取り出し、皮を半分剥いた石焼き芋を手渡す。なぜだか二つもハンカチを持っているかって?それは執事だからさ!まぁ、答えになっていないが、まぁいいや。ミネアさんに持たされてるんだ。やっぱりとか言うな。ハンカチは大切だ。うん。
ハンカチで思い出す。
嫁はハンカチをくれた。ガチャガチャの被りのモンハンのハンカチを。そして、それは洗って渡される事は一度も無かった。まぁ、自分で洗って会社へ持って行きましたがね。
ハンカチを持っていない独身男性は多い。
だから、胃袋の次はハンカチで攻めると良いだろう。ハンカチは大切だ。大事な事だから、二度言った。
「なんたる美味!?サツマイモにこんな力強さがあったとは!?ハオ!!天才ですか!!あーん、甘い!この部分は♪最高です!」
流石は石焼き芋!
鉄板中の鉄板だ!これを不味いと言う女性は居ない!
「フローラさん。マチルダ様へお飲み物を用意して下さい。そして、ミネアさんも呼ぶように。お願いしますね」
「了解ですぅ」
マチルダ様は、無我夢中になって、石焼き芋を堪能していた。食べ終えると、まだ欲しそうに此方を見ている。
マチルダが此方を見ています。仲間にしますか?はい・いいえ
何でこんな選択肢出て来るんだよ!?
いいえだよ!神様のアホ!ドラ⚪エじゃねーか!異世界でも、やって良い事と悪い事あるだろ!こんちくしょーが!!
「ハオ!これをお茶会の目玉にしましょう!」
「すいません。それは出来ません」
「何故ですか!?こんな素晴らしいのに!?」
やはり言わねばなるまい。
女性に失礼な事を言うのは躊躇われる。だって、屁が出るからダメだなんて言えない!
「わたくしは、断固反対ですわ!
ハオが何と言おうと、これをお茶会に出します!」
ひぃ!?
止めて!貴族や皇族の皆さんが、揃って放屁する等、僕が許す訳無いだろう!でも、ちょっと見てみたい気がする・・・ああ、この妄想は危険だ!やっぱり止めよう。
「マチルダ様!それはなりません!」
「どうしても………ですか?」
「どうしても………です」
マチルダ様は観念したのか、諦めた表情になった。
とても美味しかったのだろう。その感動をお友達に教えたい!そんなに悲しまないで!うーん。こっそりとだよ?家で食べるならば、問題なかろう。
「マチルダ様。お茶会には、出せない理由があります。これはコッソリと家で食べるのがしきたりなのですよ。誰とも会わない、そんな時の寂しい自分を慰めるご褒美に………ね」
「そうなんですか!?わたくしとした事が、
取り乱してすいませんでした」
「お茶会の帰りに、馬車の中でお召し上がりになってもらえば良いのです。それと、これはまだお菓子にする段階で御座いますよ」
「え!?こんなに美味しいのに!?」
「これ以上の味わいをお約束しますよ」
「では、今から作るのてますね?」
「はい!マチルダ様にお味見して頂かないとね!」
「まぁ、お茶会が楽しみになってきましたわ!ハオ!」
石焼き芋を回収し、厨房へ持って行く。
さぁ!スイーツ作りをしますか!僕はテンションが高かった。




