13話 神様!正座させられてます!
僕は今、正座させられています。
何故こうなったのだろう?
特に何もしていない。強いて言うならば、異世界で料理した。これくらいである。
「何か言う事はありませんか?」
マチルダ様が怒られている!
禍々しいオーラが見えるよ!そして、凄まじく寒い!何時しかの冷気が、床を覆っている様だ!!でも、僕には怒っている理由が分からない。
「あの、その、えーと」
「男の子なら、ハッキリと申して?」
「ひぃ!すいません!マチルダ様!もしかしてですが、料理したのがいけなかったの・・・ですか?」
僕はチラリと顔を上げた。
うぉお!マチルダ様のこめかみに青筋が立っている気がする!それくらい怒っているとは!!ど、どうする!?たかが、料理したくらいで怒るか?普通?
「ハオ!」
「うひ!ご、ごめんなさい!もう二度と料理しません!マチルダ様!」
「何か勘違いしていません?」
何か間違ったのか!?
選択肢は無かったハズ・・・。もしや、ミネアさんの部屋に入ったからか!?でも、あれはお姫様抱っこの紳士な作法のハズ。まさか!?間違っていたとでもいうのか!・・・失態だ!ミネアさんの顔が赤かったのは、そういう理由か!くそ!
「もしかしてですが、ミネアさんの部屋に入ったから・・・ですか?」
ブチッ!
マチルダ様が更に怒っておられる!
何故だ!どうしてだ!僕には理解不能である!一体何がダメだったのだ?
「フローラ!」
「ふえぇ!?」
「この天然勘違いお馬鹿さんに、
わたくしが怒っている理由を教えてさしあげて?」
「ひゃい!?あ、う、えーと、ですねぇ。昨日ミネアに料理作られたじゃないですかぁ。その時、私も貰いましたよねぇ」
「ハオの料理はさぞ、美味しかったのでしょう?」
「はい!それはもう!!
思い出しただけで、涎がこう!ジュルリ!」
マチルダ様の睨みで、フローラさんは固まった!そう、僕の横で正座させられているのだ。睨み一つで石化させるとは!異世界怖い!!魔法半端ねぇ!!!助けて!!!
「あ!」
「何ですか?ハオ。
勝手に発言は許してませんよ?」
「マチルダ様!発言をお許し下さい!」
「いいでしょう。ですが、間違えた場合、
それなりの罰を与えます!宜しくて?」
ごくり!
僕は唾を飲み込んだ!尋常じゃないんだよ!この蔑んだ目!ゴミや虫を嫌う様な・・・M男ならば、これはご褒美なのだろう。僕はMでもSでも無いから、分からないけど。
でも、言わなければ解放してもらえない!間違えたら、挽回すればいいじゃないか!!恐れるな!頑張れ!!僕!!!
「もしかしてですが、料理が食べられなかった事に腹を立ておられる・・・とか?あは、あはははは。そんな事は無い・・・ですよね?」
更に更にマチルダ様が怒られている!
寒い!寒いよ!!凍えてしまう!ああ、凍死してしまうじゃないか。僕の人生良い事は何も無かったなぁ。慎太郎、もう一度逢いたかった・・・(長男8歳)
「・・・どうして、
持って来てくれなかったのです」
マチルダ様が震えている。
下を向いて、今にも泣きそうだ。そんなに食べたかったのか?何時も豪勢な宮廷料理を食べているのに。僕の素人料理がそんなに・・・マチルダ様はもしかして、食いしん坊さんなのかな?ならば、ボブソンさんに作ってもらえばどうだろう?
「あの、マチルダお姫様。料理でしたら、ボブソンさんに作らせれば良いと思う「お黙りなさい!!!!!!!」ぶひゃ!?申し訳ございません!!」
三人の中で、唯一立っていたミネアさんが怒鳴られる!マチルダ様の左目が光る!それだけで、ミネアさんは震え上がった!
「ミネア!今直ぐ正座!!!」
「はい!!!」
凄まじい勢いで、ミネアさんは正座する!
プルプルと体を震わせ、今にも泣きそうだ。
「ミネア、そういえば貴女も食べましたよね?」
「はい」
「美味しかったですか?」
「マチルダお姫様!違うんです!」
「お黙りなさい!!何が違うのですか?ハオの手料理を食べたんでしょう?さぁ、答えて。美味しかったですか?」
「あわあわあわあわ・・・・絶品でした」
ポタリ、ポタリ。
マチルダ様の涙が床に零れた。
立ち尽くし、泣く事しか出来ず、両腕をピンと伸ばし、拳は握り締められている。手首は外を向き、可愛らしい仕草が何ともいえない。
そうか、マチルダ様は僕の手料理が食べたかったのか。僕は俯いていた。あんなにも悲しげな顔をするマチルダ様を、見ていられなかったからだ。
どうすれば慰められる?
僕がまた作れば解決するじゃないか。でも、この涙を拭えるのは、それだけでは足りない。
追加だ!もう一品作ろう!マチルダ様の笑顔を取り戻す為に!そして、僕の汚名返上の為に!!
「うぇーん。えんえんえん。ミネアもフローラもハオも、わたくしを除け者にするのです!一緒に食べたかったです!」
「マチルダ様!もう一度チャンスを頂けませんか?必ずや!マチルダ様のご希望に添えて御覧に入れて見せます!」
「・・・ぐすん。絶対に・・・ですよ?」
「はい!貴女(マチルダ様)の為に!」
「解りました」
「5分だけお時間をください!」
(え?そんなに早く作れるの!?ハオは凄い人物なのね!ああ!早く食べたいわ!あの一流コックのボブソンを黙らせ、つまみ食いの悪女サラがベタ褒めした料理を食べられるなんて!!さぁ!お行きなさい!ハオ!そして、わたくしを満足させるのです!!チラリ)
「ぐおおお!!足が痺れたぁ!!う、動けねぇ!!」
「・・・ハオ?何をなさっているのです!?」
「いえ、その足が痺れたので、伸ばしているのです」
「では、わたくし直々にマッサージして、
差~し~上~げ~ましょう~か!」
マチルダ様がゆっくりと僕に近付いて来る!
足元に座ると、人差し指を両手突き出しているではないか!ヤバい!ヤバいぞ!マチルダ様がニッコリと微笑む。まさか助けてくれるの、か?
「えいえいえいえいえい♪♪」
「いや!止めて!マジて!あっ!うは!ぎょええぅえ!!」
こうして、2分間の拷問を耐えた!
僕は何とか足の痺れが治って座り込む。生地獄とはまさにこの事だろう。
「ハオ、早くお願い、ね♪」
「わ、分かりました!マチルダ様!」
早く料理を作って持ってこねば!
僕はマチルダ様のご機嫌取りに厨房へ走るのであった。
「うふふふ。さぁ、ミネアとフローラにもお・仕・置・きが必要ね!
さあ!足を崩すのです!さぁ、さぁ、さぁ!」
部屋を出る時に、聞こえたが気にしてはいけない。巻き込まれたら困らからね!「「いやぁあ!!!!!」」と叫び声が廊下に響いた。




