9話 神様!頭が爆発してます!
この話にはトイレについて書かれた文書があります。
表現はかなり抑えてますが、気になる方は閲覧をしない、もしくは中断して下さい。
いつも思う事。
鶏肉は旨い。でも、食べるには殺さなくてはならない。
絶対に避けては通れない事実がそこにはある。
はぐっ。
固いパン、そして生ぬるい水。
これが僕の朝食だ。貧しいと思うかもしれないが、これでもマシな方である。平民だと芋の茎や、豆のスープらしい。勿論、固くてスープの味も殆どしないとの事だ。
しかし、夜はそれなりに食べさせて貰っている。
料理は余るので、それを頂く訳なのだが。貴族や皇族は見栄を張りたいのだ。だから、食べ切れない程、豪華な料理を机に並べる。
僕には有難いけどね。
でも、旨いといえばそうでも無い。ぶっちゃけファミレスの方が良いと思う。原因は味が薄いのだ!調味料をケチっているのかもしれない。まぁ、それだけ貴重なのだろうな。ああ、マグナナルドが恋しい。
「さて、行くか」
遅れるとミネアさんが煩い。
時間も計測していないのに、文句を付けてくるのはどーかと思う。時計が無いのに、どうやって遅刻とか定めてるんだよ!僕には腹時計しかねーよ。太陽の角度で察しろとかそんなスキル持ち合わせていません。
コンコン。
「ハオです」
「どうぞ」
ガチャリと扉を開けた。
レバー式のノブで、異世界には回転式ノブは無い。構造が複雑だからね。勿論、カギの概念も無い。貴重品は金庫に入れ、魔法でロックするそうだ。盗まれる心配も無いから、最も安全な手段といえよう。
「おはようございます!マチルダ様!」
「はい。おはようございます、ハオ」
どうやら僕が一番乗りだったみたいだ。
ここはまず着替えを手伝うのが良いだろう。引き出しから、マチルダ様の着替えを出す。下着のパンツ、上に羽織るシャツ。そして、普段着をテキパキと用意するのだ。
お気付きだろうが、この異世界にはブラジャーが存在しない。大事な事だから、もう一度言おう。胸を隠す下着は無いのだ!オッパイ星人には堪らない仕様である!!
「ハオ、着替えを手伝って」
「はい!」
「では、その、下着を」
マチルダ様がパンツを履き替えたいと言っている!これは朝からご褒美なのか!?特にご褒美を貰える事はしていない。そもそも、朝にパンツを履き替えた事が無い僕には理解が出来なかった。まさか自慰行為をしていたのか!?念入りに洗濯せねはなるまい!
「あの、僕で宜しいのでしょうか?」
「・・・はい」
確かにパンツを履かせた事はある。
だが、それは実の娘、当時四歳であって、女性では無い!嫁が育児しなかったら仕方無いじゃないか。好き好んで着替えさせる訳無い。
ようし!やってやる!
では、工程を考えるのだ!
まずパンツを下ろす。
そして、パンツを履かせる。
脱ぎたてのパンツを洗う。
3工程になるな。
パンツを最初に履かせてはダメだ!パンツを脱がせる事が出来ないからである!!また、脱がせたパンツを洗いに行くのは、最も悪手であろう。風邪を引いたら大変だ!
確認する。パンツを下ろす。
そう!やるしかない!僕ならば出来る!
そう言い聞かせ、マチルダ様の前に立った。
「失礼します!」
片方の膝を床に着け、頭は下げたまま、両手をパンツへ伸ばす!ネグリジェがあるので、それを避けて進入を試みるのだ!!
「このドスケベ!エロカッパがぁ!!!!」
「さごば!!」
ドッゴーン!
ミネアさんの水平回し蹴りを食らい、僕は壁にめり込んだ!人間頑張れば、壁にめり込めるんですね!
いつの間にか部屋に来ていたとは。扉の開閉音に気付かない程、僕は興奮していたのかもしれない。それだけ集中していたとは・・・不覚である。
「マチルダお嬢様!このゴミ虫の所業は如何致しますか!?火炙りですか!地面に埋めますか!それとも全身の皮を剥いでやりますか!!」
首根っこを捕まれ、僕は持ち上げられていた。
狩人が獲物を見せびらかす様に、身動きが取れない。
「うふふ!仲が宜しいですね。でも、ハオを離してあげなさい。やましい気持ちでやったのではありません。わたくしが頼んだのです」
「本当か!?」
「・・・ほんほうへふ」(本当です)
「ちっ!仕方あるまい!
次やったら問答無用で殺されると思え!」
「では、ミネア。着替えの手伝いお願いします」
「畏まりました。マチルダお嬢様。おい、ゴミ以下はさっさと部屋を出て行け!覗いたら・・・殺す!」
こうして、部屋を追い出された。
着替えが終わる頃、フローラさんが来た。
「おはようございます。フローラさん」
「おはようございますぅ。
あれ?右頬が腫れてますよぉ?大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫です!さぁ、入りましょう」
部屋へ入ると、ミネアさんは今も怒っていた。
これ僕が悪いのか?もし、マチルダ様の水浴びを目撃していた事がバレたら、殺されるだけでは済まなそうである。これは墓まで持って行こう!
マチルダ様の朝食が済み、4人で雑談となった。
仕事は馴れましたか?とか、ミネアさんとフローラさんと仲良くしてますか?等である。
僕みたいな平民への気配りをしてくれるとは!流石!デキる人間は違う。容姿、スタイル、性格とどれを取っても素晴らしい!惚れてしまうではないか!まぁ、僕なんか眼中の無いだろうけどさ。
「ミネアさんとフローラさんにはご迷惑おかけしてます。とっても良くして頂き、僕は感謝しておりますよ」
「それは良かったです!二人にハオの事を聞いても、何も言ってはくれないのですよ!プンプンです!いつの間にそんなに秘密な関係を築いていらっしゃったの!!」
ミネアさんとは、キスする3秒前。
フローラさんとは、巨乳拝見。
多分思い出したのだろう。
二人共、顔を赤くして何も言わなかった。
マチルダ様は笑顔だけど、何処となく寂しい感じである。
「マチルダ様。お聞きしたい事があります」
「はい。わたくしに分かる事であれば」
「お城には井戸や下水道は無いのですか?」
「井戸?下水道?何ですか?それは」
やっぱり。
井戸があればワザワザ水を汲みに行かないしな。
トイレも汲み取り式なので、使用するには注意が必要である。落ちたらトラウマになって、二度と使えないだろう。匂いも1週間は取れないらしいからね。生地獄と呼んでも過言では無い。
貴族や皇族の部屋には、トイレをする部屋がある。
そこにはオマルが置いてあり、そこで用を足す。メイドが定期的に片付ける様だ。因みにマチルダ様の部屋には無い。
「井戸とは、水脈のある地面を堀り、水を汲み上げる設備です。
下水道とは、汚物や生活排水を地下に流し、排水処理した後、海に戻す設備の事ですね」
「おい!大地を掘ったら、落ちてしまうじゃないか!」
「そうですぅ。大地の底は、暗黒世界に繋がっているですよぉ」
うーん。
この異世界は大地は平ら説なのか。
大地は丸いと説明しても、それを受け入れて貰えそうも無い。大地が平ら説と大地が丸い説は、大昔300年以上討論された事がある。地球は丸いと最初に唱えた学者は、変人扱いされ殺された。
とりあえずここは、話を詳しく聞く必要があるな。
「では、海の水は何処に流れるのですか?」
「決まっているだろ!大地から落ちて、暗黒世界に行くんだよ!」
「では、大地は暗黒世界に浮いているのですか?」
「そうだ!暗黒世界で大地は浮いていて、海の向こうには行ってはならないと学校で習ったんだ!これは子供でも知っている事だぞ!」
「ふーん。僕の知ってる事と違いますね」
「そんなの知るか!学者が色々調べて、そう結論したんだろう!ハオ!お前は分かるのか!?あー、言えないだろう?平民だからな!学校へは行けなかっただろうし、可哀想なヤツだ!」
「ミネアさん!その言い方はいけませんよ!」
「分かりますよ」
「そうだろうそうだろう。わかるか・・・はにゃ!?」
「太陽の周りを大地は公転しています。大地は自転しています。大地は1日かけて1回転し、365日かけて太陽を周回します。太陽の引力により地球は引っ張られ、太陽の周りを回る事が出来るのですよ。
星を見れば分かります。春、夏、秋、冬に見られる星座は違いますよね?星の位置は変わらないんで、太陽を回っている場所により、様々な星を観測出来るんですよ。
地軸のズレにより大地は傾いています。太陽から見て、大地の位置をXとすると、日の光りが当たる場所が変わりますよね?太陽光が当たる面積が大きいと夏、当たる面積が小さいと冬です。その中間が春、秋ですね」
僕は机の上で、拳を太陽に見立て説明した。
指で地軸の角度を表せたのが、僕的には満足だ。
プスプス!ボン!!
「だ、大丈夫ですか!?」
ミネアさんの頭から煙が吹き出した!
そして、爆発に至る。
「ミネア!?ミネア!?しっかりなさって!!」
「どうしますぅ?お水がいりますねぇ」
「分かりました!僕が行きます!」
僕は慌てて飛び出した!
バケツに水を汲み、タオルを複数枚手に持つ。そして、急いで戻るのであった。




