表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

明日、君と最初で最後のデートする

作者: 渡辺 ゆき

ドキドキ


心臓が私の身体の中で鳴り響いている。


ドキドキ


ずっと、心臓がばくばく言っている。


ドキドキ


心臓の音で眠れない。


いくら目を瞑っても眠れない。


ドキドキ


心臓がうるさすぎる。


まだ、ばくばくとしている心臓。


わくわくもしている。


明日が楽しみすぎて眠れない。


だって、明日は…


君と付き合い始めての初めてのデーとだから。


どきどきばくばく


うーん!


ベットの上で横になって寝るモードになっては、いるものの、眠れない。


どきどきばくばく




目を覚ますと、カーテンとカーテンの間から光が射している。


時計を見ると、8時だった。


ベットから降り、ゆっくりと動き出す。


そして、ゆっくりと支度をし始めた。


心臓がどきどきばくばくうるさい。


もう、心臓が君に会う前に壊れてしまいそうなくらいどきどきばくばくしている。


落ち着かない心臓。


どきどきばくばく




支度を終え、家の鍵を閉め、家を後にした。



もう少しだ…


もう少しで着いてしまう。


どきどきばくばく心臓は相変わらず激しい。


どきどきばくばく


さらに激しさは増していく。


どうにか、なってしまいそうだ。


どきどきばくばく




待ち合わせ場所の噴水の前に来た。


周りをきょろきょろするが、彼の姿はまだない。


まだ、来てないのか…


少しホッとするも、不安を感じつつある。


どきどきばくばく


心臓は鳴りっぱなしである。


時間が近づくたびに、心臓の音は大きくなっていく。


どきどきばくばく




暫くして時計を見ると、11時前である。


まだかな?


約束の時間の30分も遅れている。


まだ、彼は来ない。


だんだんと吹いている風が冷たくなっていく。


寒いな。


首に巻かれたマフラーの先が風と共に揺れる。


次第に辺りもだんだん暗くなっていく。


まだかな?


彼を待って6時間以上もかかっている。


それでも、まだ、来ない彼。


え?


スマホの画面を光らせて何度も何度も日時や場所を確認する。


時間だけが過ぎていく。


まだかな?


待ち続けるこさらに3時間が経つ。


もうすでに辺りは真っ暗だ。


寒い。


震え始める私。


寒い。


しかし、それでも、彼は来ない。


どうしたんだろう。


何かあったのかな?


心配になる。


さらに、時間だけが過ぎ、1時間が経過してしまった。


寒い。


まだ、来ない。


忘れているのだろうか。


それとも、デートの日を私が間違えたのだろうか。


様々なことを考え始める。


寒い。


風が余計に冷たくなっていく。


ぴゅー


風の音さえ聞こえ始める。


うーん…


もう少し待ってみよう。


待ち続けた。


1時間が再び経過した。


そして、ついに、1日が終わろうとしていた。


まだかな?


人影も減っていった。


マフラーも揺れている。



結局、どんなに待っていても彼はその日、来なかった。



翌日学校に行っても、彼は欠席で、それ以来暫く彼に会うことは一度もなかった。



先生に彼は、なんで休みなのか、聞いたところ、誤魔化すように答えるだけで、結局何もわからないまま、卒業してしまった。



それから、彼は、学校にも来なかった。



彼は…


あの日、どうして来なかったのだろうか。


電話一つ来てもいいはずなのに。


彼の身元に何か、あったのだろうか。


だけど、誰も教えてくれない。


それとも、ただ、知らないだけかもしれない。


卒業アルバムに、彼は載らなかった。


何があったのだろうか。




5年後…




社会人となり、働き始めていた。


忙しい毎日。


上司にこてんぱにやられ、仕事を辞めたいと思っていた頃。


仕事場に入社員が今日来るということが仕事場に広まっている。


勿論、私の耳にも入っている。


書類ができ、上司に持って行く途中で、廊下を早歩きしていた。


反対側を歩いていた男の人とすれ違う。


その時、ぴんっ!と来た。


え?


「早瀬くん!」


私を通り過ぎた男の人に私は思わず声をかける。


すると、その男の人は、私のほうを振り返る。


私と顔を合わせ、互いに目が合う。


「…」


「あの…人違いだと…」


え?


「早瀬くんでしょ?」


「私のこと、覚えてる?」


「…」


答えないってことは、多分、私のこと…


「あの…」


「はい!」


「行ってもいいですか?」


「え?」


「早くしないと…」


「あっ…すいません…」


さりげなく、行ってしまった。



上司に書類を渡し、部署に戻ると、彼がいた。


「あー!やっと来たー」


「あっ!すいません!」


早走りで戻り、慌てて


「申し訳ございません!」


「この部署の担当を任されています、高波友梨です」


挨拶をする私。


頭を上げて、顔を見ると、彼だった。


え?


互いに目が合い、え?とした顔をしている。


拍手をしているスタッフ達。


「それでは、早速仕事を」


彼に上司は、いくつものファイルや、書類を渡す。


「じゃあ、よろしく!」


私を見て言う上司。


思わず、口から


「え?」


「頑張りたまえ!」


え?


彼と?


知らないフリをするスタッフ達。


みんなが急に座り始め、仕事をし始める。


そんなスタッフ達に呆れて、


「じゃあ、やろっか…」


「はい…」


心臓がどきどきする。


仕事を教え始める。


あの時のように、心臓がばくばくしている。


なんで、あの日…


聞きたい…


聞きたい…


彼は私を見る。


「これ、どうすればいいんですか?」


「あっ…はっはい…これは…」


なんだかんだ、仕事が終わるのが早い彼のおかげでその仕事は、その場で終わった。



「終わったー」


椅子に寄っかかり、背伸びをした。


はーぁといつも通り1人になった後に欠伸をするみたいに欠伸をした。


彼は、


「終わりました…」


「あっ…はい…」


「じゃあ…今日はこれで…」


「はい…」


沈黙が続いた。


互いに椅子に座ったままである。


「あっあのさ…」


声をかけ始めた私。


「はい…」


そして、身体を彼のほうへ向け、ムズムズする。


だけど、なかなか、聞けない…


「ごめん…」


急に低い声が。


え?


「あの日…」


「あっ…いや…」


話が続かない。


大きく息を吸った。


そして、ゆっくりと吐き、呼吸を整えた。


それから、彼の顔を見た。


「どうして、あの日、来なかったの?」


少し下を向き、目は閉じ、暫くそのままの状態でいると、


「ごめん…」


誤るだけで理由を教えてはくれなかった。



そして、沈黙が再び来る。


気まずい感じが漂う。


そんな空気を壊そうと立ち上がり、


「飲みに行くか!」


「え?」


彼女は僕に言う。


僕の手を引っ張って前走力で走り出した。



着いたのは、至って、何処にでもありそうな居酒屋さん。


中へグイグイと入って行く。


「いらっしゃい!」


いい匂いが漂っている。


鼻がピクピクし、小さくお腹がグゥーと鳴る。


いい匂いだ。


畳のところに座り、メニューを取る彼女。


メニューを開き見始める。


「何にする?」


僕は、お腹が再びグゥーと長く鳴る。


お腹すいた…


彼女には、聞こえてなかったようだ。


「お腹、減ったよね」


私は、頼む物が決まり、彼にメニューを渡す。


メニューを見てどれにしようか、迷う。


なかなか、決められない僕。


優柔不断の僕だ。


頼む物を決め、注文する。


続けて私も注文する。


「ねぇ、あの日ね…」


私は、頼んだお酒が来ると飲み、一杯だけ、口に含んだだけなのに、酔っ払う。


そして、口を開き始め、僕の顔を見る。


「あの日…ずっと待ってたよ!」


「ごめん…」


また、誤るだけの僕。


私は少し呆れたような顔を彼にした。


それを見て、僕は、なんとも言えなくなる。


ただ、誤ることしか、出来なかった。



結局、聞き出すことは出来ず…



気が付いたら、家にいた。



「あーあれ?」


惚けた私。


「早瀬くんと飲んで…どうしたっけ?」


記憶がない。


飲み過ぎた。


結局、彼があの日来なかった訳も分からず…


はぁー


ため息が出る。




それから、1ヶ月経った。




彼の姿がまた消えた。




今まで夢を見ていたのだろうか。


再び。


どうしたのだろうか。


2回目だ。


私の眼の前から消えたのは。




さらに、1ヶ月が経った。




同窓会のハガキが3週間前に届き、その同窓会に来た。


もしかしたら、何か彼のことを掴めると考え…



同窓会をやっている店に着くと、既に盛り上がっているようだった。


「久しぶーりー!」


手を振る彼女は、私の友達、中山芽衣。


「ねーぇ、元気だった?」


「うん!芽衣は?」


クラスメイトだった人たちや、友達と話が弾み楽しんでいた。


話し、食べ、飲み…


笑い合い、泣き笑い…


懐かしい。



ふっと、私は思った。


周りを見ながら彼を探す。


それぽっい感じもいなく…


結局、その場で、彼は、見つからない。


きょろきょろした私に気付いた星野菜々。


「どうしたの?」


「早瀬くんって…」


「あー!」


菜々がきょろきょろする。


「そう言えば、見てないね」


そんなことをしていると、芽衣が


「どうしたの?」


「あっ、早瀬くんだって」


「あー見てないね」


「高野は、いるのに」


「え?どこ?」


「あそこのグループのところに」


「あー本当だ」


そんな話のしていると、すぐに、話の話題は変わり笑い合う。



そして、同窓会は終わり、2次回行くだの何だの話している。


私は、


「帰る!」


「えー!」


芽衣が言う。


「久しぶりにせっかく会ったのに」


「ごめん」


バイバイと友達と交わし、歩き始めていると、


「あーあのさ…」


声をかけ始めてきたのは、高野くんだった。


「え?」


振り返る私。


暫く沈黙が続く。


なかなか、話さない高野くん。




「あーあのさ…早瀬のことだけど…言わないでって言われたんだけど…高波には…」


途切れ途切れで話す高野くん。


「え?」


「デートの約束してたんでしょ?あの時…」


「え?」


「早瀬…行く途中に事故に…」


え?


「え?え?え?でも…」


動揺を隠せない私。


「入院してたんだけど…余命を…かけられて」


相変わらず途切れ途切れだ。


え?


でも…


「いつ、死ぬか分からない」


「でも…あと…あんまりない…」


え?


心がついて行かない。


え?


え?


固まる。


動揺は膨らんでばかりで隠そうとも考える余裕さえない。


「だから、許してあげてくれ!」


急に高野くんは、私に頭を下げた。


少し間が空いてから、口を開いた。


沈黙がまた迫った。



別にあの日のことを怒っている訳ではない。


来なかったことに対して理由が聞きたいだけ。



「そっか…」


私が言葉に出して言うと、高野くんは、ふっと頭を上げる。


「あの日のこと、私、怒ってないよ」


私の目から何故か、涙が溢れ次々に出て来る。


「振られたのかと思ってた…」


思わず口から溢れる。


涙が止まらない。


「なんでだろう…?」


高野くんは、私が泣いているのを見て、


「行って!」


「え?」


「早瀬のところに!今、病院にいるから!」


そう高野くんから聞き、私の足は自然に動いた。


ただ…


ただ…



涙を拭き、走る。


全速力で走る。


はあはぁと息を切らしながらも。



君に聞きたい。


いや、君に今、会いたい。




病院に着き、息を切らしながらも、受付の人に彼の病室を聞く。



彼の病室の前で、彼の名前を確認して、病室のドアをゆっくりと明けた。


彼はいた。


病室のベットにいて、ドアを開けた私に気付き、彼と私は目に合う。


一定の距離の間でどきどきした。


私は彼に少しずつ近づいていく。




「なんで?なんで?ここに…?」


私の目からは、涙しか出ない。


「うっうーうっ…」


ただ、涙が出るだけ。


「聞いて…」


「え?誰に?」


「高野くんに…」


鼻をすすりながら話し続ける私。


そんな私を彼は見て、私の頭をそっと撫でた。


「私…振られたのかと思ってたんだよ…私のこと、嫌いになったのかと、思ってたよ…」


ベットを叩きながら、涙を流し彼に言った。



それから、彼の見合いに毎日行くようになった。


彼はいつも笑顔だった。


「またさ、デート、しよう」


「え?」


「今回は、出来なかったし…」


「だって…病気…」


「大丈夫だよ!」


笑顔で言う彼。


「うん…」


「そんな顔するなって!」





しかし…




見舞いに行き始めてから、1週間後に、彼の病に変化が出る。


そして、一週間経ったその日の朝、彼は息をひっそりと引き取った。


誰も見ていないところで。




「また明日、来るね!」


彼とバイバイと交わしたのに…


その時、お互いに笑ってたのに…





泣けない。


唐突過ぎて。


明日なんて…




ただ、もう、動かない彼の側でぼーっとしながら座っていた。





しかし…





翌日が来ると…



ピンポーン、ピンポーン!



なり続けるチャイム。



家に引きこもっている私。


布団から出ない。


だけど、目からは涙さえ全然ない。


無状態だ。


何も考えられない。


何もしたくない。




ピンポーン、ピンポーン!


ずっと鳴り続けるチャイム。


「いないの?」


「え?」


思わず口から溢れる。


「ねーぇ、友梨!いないの?」


自分の耳を疑う。


え?え?え?


でも、咄嗟に彼の声だと分かった。


心がついて行かなくても、足は自然と動いた。


気がつくと、ドアを開けていて…



次の瞬間…



私の目の前にいるのは…



いるのは…



信じられない。



自分の目を疑う。



え?



夢だろうか。




自分の頬をつねる。



「痛い!」



夢じゃない。



再び頬をつねる。



痛い!



やっぱり、夢じゃない。




彼だったのだ。




早瀬祐介くん。




え?


動揺を隠せない。



今の光景が信じられない。



だって…



彼は…





「今から行こう!」


「え?」


「行こう!」


答える隙間も開けずに、突然私の手を掴み、私の手を握る。強く。


そして、その手を引っ張り突然走る。



「あの日のデートを!」



走り始めて着いた場所は、映画館。


「入ろうか!」


手はそのまま握ったまま。


映画を見ている時も、手を繋いでいた。


映画の内容なんて頭に入って来ない。


彼で頭の中がいっぱいだ。


でも…


クライマックスの場面の時は、感動して泣いた。


それを見た彼は、


「あははっは」


笑っている。


「よかったね」


「うん!すごく!」



「じゃあ、次!」


彼は再び繋いだ手を引っ張り突然走り出す。


彼の顔を見ると笑っている。


その彼の笑顔に何とも言えなくなる。



そして、着いた場所は、遊園地。


「何、乗ろうか」


「あれ!」


私が差したのは…


ジェットコースター。


「え?」


「うん?」


「もしかして、怖いの?」


「はぁー!そんな訳ないじゃん!」


自信たっぷりに言う彼。


「じゃあ、早く行こうよ!」


彼を見引っ張り、連れて行き、乗る番が来て、わあわあと叫び乗る彼。



「あー楽しかった!」


彼を見ると、はあはあとしている彼。


「どうしたの?」


「気持ち悪い…」


「大丈夫?」


「…」


「そんなに駄目だったのか…」


「…」




ベンチを見つけ、彼を座らせ、


「ちょっと、待ってて!水、買ってくるね!」


急いで走って買いに行った。



戻り、彼に水を渡した。


ごくごくと飲む彼。


「大丈夫?」


「…」


「少し、休もうか…」


「…」




少ししてから、


「もう、大丈夫!」



そう言い、私の手を再び握る彼。



「よし!行こう!」


「え?大丈夫?もう少し休んだほうが…」


「大丈夫!行こう!」


またまた、私の繋いだ手を引っ張り走り出し、お化け屋敷の前に来る。


「入ってみる?」


「嫌!」


逃げようとする私。


でも、彼は、私の手を離さず、無理やり連れて行き、入っていく。


暗い。


怖い。


彼は私の手を強く握る。


「大丈夫だよ!俺がいるから!」


「手、離さないから!」


どんどんと進んでいく。


お化けが出て驚き泣く私。


お化け屋敷から、出ると、


「怖かった…」


その場に座り込んでしまった。


そんな私を見て彼は、


「大丈夫?」


「うん…」


「じゃあ…よし!」


と突然、彼は私を持ち上げる。


「やーやっ!」


騒ぐ私。


それでも、彼は私を下ろさなかった。


バタバタと足をさせる。


お姫様抱っこ状態だった。



そのまま、私を抱えたまま、観覧車の前に来る。


「最後にこれ、乗ろう!」


私を下ろし、手を繋ぎ握ったまま、乗り込んだ。



「ねぇ、結構、高いよ!ねぇ、見て!」


騒ぐ私。


まるで、子どものように。


そんな私を見た彼は、微笑んでいる。


観覧車の頂上に着いたら時、私が話そうと口を開け話そうとしたと同時に、私の唇は、塞がった。


唇と唇が離れた時、お互いに下を向く。


頬がお互いに赤くなっている。


恥ずかしい。


少ししてから、


「なんか、恥ずかしいね…」


「うん…」



最後に彼は私を引っ張って水族館に来た。


イルカショーで、わあわあと感動しあい、微笑み合い…


「ねぇ、見て!」


大きな魚と小さな魚が一体になって泳いでいる。


「おー!」



楽しんだ後、彼は私に真剣な顔をしている。


そして、口をゆっくりと開いた。



「あの日…俺は…友梨の所に行く途中に…事故った…」


「知ってるよ!」


「そっか…」


「だって…高野くんから、聞いたもん…」


「ごめんな…」


彼は泣いている。


私に涙を隠そうとしているようだ。


手を顔から退かそうとしない。




「あのね…私…祐介くんのこと…」


間を空いてから、


「好きです!」


彼は私の頭を抱え、それから、私の唇は、再び、塞がった。



帰りにオレンジ色の大きな夕日を海まで来て見た。


季節がずれた海もきれいだ。


「なんか、きれいだね!」


そう言うと同時に、私の唇は再び塞がった。


その後に、


「そうだね!きれいだね!」


お互いに見つめ合い、顔が赤くなりながらも、微笑みあった。



手は相変わらず、離れることはなく、繋いだまま。



デートの間、一度も手を離すことはなかった。


絶対にその手たちは、離れなかった。



優しくて、暖かくて私を包む。




そして、デートは、終わった。



それが、彼との最初で最後のデートであった。




彼は、その日、デートが終わり、病院のベットに戻り私と話した少しの間で、再び彼は、そっと息を引き取った。


「好きだよ」


最後に言い残した言葉だった。



彼の顔は、笑っているように見えた。



私は、涙でいっぱいで、溢れ出た。



その日、彼との始めての全てだった。




涙は、余計に溢れ出し、その日の夜はずっと涙がなかなか、消えなかった。




だけど、そこには、悲しみだけじゃなくて…


ほんのりと暖かさがほんの少しだけ残っていた。




私は、きっと、忘れない。


絶対に忘れない。


君との全てを。


ずっと、永遠に君だけを愛する


そう、大空に誓った。






















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ