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リリカシア=アジャ-アズライアの日記  作者: 真夜中 緒
航海編
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五十九日目

 昨日は大変だった。

 リリカスでもそれなりに王宮の宴とか、貴族の宴とか引っ張り出されてたけど昨日よりはマシだった。

 いや、だからって引っ張り出されたら嫌だけど。

 一応の儀礼は踏んだけど、私は今回、厳密には国の使いじゃない。国の使いだったらちゃらって一人で来たりしない。私はあくまで塔主様の個人的な使いで、それも本当に預かった物を運ぶだけの使いだ。

 それがどうして宴席の主賓みたいな羽目になったんだろう。

 大きな宴ではなかった。それは認める。 

 多分ごく内輪の宴なんだと思う。

 さすがに一人でのこのこ行くのもどうかと思って、船長に頼んだら、船長自身がついてきてくれて、更に他の乗客の中では一番若いエルさんも引っ張り出してくれた。

 それで二人を付き人に乗り込んだんだけど、内輪とはいっても総勢二十人は下らないお歴々がずらりと並んでいるのを見たときは、そのまま後ろを向いて戻りたくなった。

 とりあえずお招きいただいたお礼の口上を述べて、余興など楽しみつつ歓談するんだけど、次から次に話しかけられる。

 ボロを出さずにさばくのに必死で、せっかくの料理も何があったのかろくにおぼえていない。あ、鮑の煮たのはあった。これがあの高い貝かって思ったから覚えてる。

 全部終わって宿舎に帰ったときはへとへとだった。

 それで今日はお暇ごいに行って、出港のときにはわざわざ太守がお見送りに来てくださったので、お礼言上を申し上げて、単に船を出すだけで大騒動だった。

 今はもう日も落ちたあとだけれど、内海の景色は闇一色ではない。両側の陸にはところどころ集落の灯りがある。それは海というよりむやみと広い川のようで、ちょっと不思議な景色だ。

 水面もとても穏やかで揺れらしい揺れもない。明日中には神威に一番近い港につくそうだ。

 神威でも昨日みたいな騒ぎがあるのかなあ。

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