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五十一日目
風が良くないとかで、小さな島の入江で風待ちをすることになった。港ではないので簡単に船外にでるわけにはいかない。しばらく甲板に出てその辺を見ていると、黒い雲が迫ってきているのがわかった。
すぐに大粒の雨がバタバタと降ってくる。急いで船室に戻った。
追いかけて雷と風が来る。
かなりの嵐になったのに、入江の波はほとんど高くならない。甲板でせっかくだからとブラシかけ競争の始まるのどかさだ。
さすがに雷が近くなってやめてたけど。
夕方近くに嵐が通りすぎたので抜錨。
ものすごく鮮やかな夕焼けだった。
星空もよくみえる。
前の嵐のときはどうだったろう。とにかく必死だったので空なんて見ていなかった。
風見の爺さまは、多分これが最後の嵐になるという。
もうすぐ龍の尻尾にたどり着くそうだ。