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三十二日目
案の定というか、夜中に部屋の戸のところでなんかごそごそしていた。私は一応リリカスの塔主さまの使いだし、揉めたら船に口をきいてくれた貴族の顔を潰すとか、わからないのかなあ。
朝食の席では会わずにすんでほっとした。朝はあまり早い方ではないみたい。
まあ、そうだよねとはちょっと思う。
昨日、あれだけ遅くまでごそごそしてたんだし。
調理人に連中が持ち込んだ酒樽のありかを聞いて、ちょっと悪酔いの術をかけといた。塔でよくいたずらに使ったやつ。
かけるのも解除も簡単なので、よくお互いにしかけあったりしたものだ。
うまく行けばしばらく寝込んでくれるだろう。