二十七日目
今日、港に入るはずだったんだけど、明日に延期。
焔の神殿から警告が出たそうで、火の島を避けて迂回することになったからだ。火の島は百年だか前に突然噴火した島だ。
この噴火のときに出産のために逃げられなかった夫婦がいたそうで、島の形の変わるほどの大噴火の収まったあと、おそるおそる様子を見に行くと、溶岩がその家を見事に避けて流れていた。井戸も家も無傷だったそうで、夫婦と生まれたばかりの女の子は全員無事だったという。その後島は度々火を噴くようになり無人の聖地となって、近くの島に焔の神殿が建立された。生まれた女の子は神殿にひきとられて巫女になったらしい。
この話を教えてくれたのは風見のじいさまだった。じいさまの話では火の島が火を噴く時は風が変わるそうで、今回は確実に噴火するそうだ。
遠目に薄く煙をたなびかせているのを見たけれど、確かに大変な魔力を秘めた島だった。噴火するまでは普通の島だったそうだけど、何がどうなってこうなったんだろう。ゴツゴツした島に一箇所だけ緑が生えているのが、お話の女の子の生まれた場所だそうで、今でもそこだけは水も湧いているのだそうだ。
火の島を大きく迂回したせいで逆の方向から港に向かうことになったけど、明日には港に入れる。港には公衆浴場もあるそうだ。楽しみだなあ。
火の島は神威にも認定される火の聖地です。
世界中にこういう聖地が散らばっています。
不思議に対になっていることが多く、火の島の近くには大きな湖のある水の島があり、水の聖地として神殿が建立されています。
こちらも百年まえに突然大量の真水が湧いて湖が出来たことに由来します。