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リリカシア=アジャ-アズライアの日記  作者: 真夜中 緒
航海編
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二日目

 何か板は余ってないかと船員に聞いてみると、芋が入っていたという箱をくれた。ちょっとほこりっぽいけれど、がっしりした分厚い板でできていて、小ぶりな座卓ぐらいの大きさの箱は、気にいった。埃をざっと魔法で払い、絞った雑巾でゴシゴシこすると結構きれいになった。底板を天板になるように逆さまに置けば、十分に書き物のできる机になる。

 そんなわけでこの日記は、その、箱の座卓の上で書いている。

 昨日よりは格段に楽だ。背中も腰も痛くない。

 ただし、もとは箱の底だった天板は細い木の板を並べて出来ているので、凹凸があってたまにペンがひっかかる。今後の課題とすべきだろう。

 今日は結局、机のために殆どの時間を費やしてしまった。

 外で作業をしたら酔うのはわかりきっていたから、ホコリを払ったあとは晶屋の中で作業をして、だから一日の大半は船に乗っているんだかなんだかわからなかった。

 それで、せめてもと思って、夕食は食堂まで出かけてみたのだけど、やっぱりちょっと後悔した。

 夕食そのものは美味しかった。鶏肉とじゃがいものミルク煮にパリッとした青菜のサラダ。薄切りの黒パンとぶどう酒もついてくる。船員に聞いたところによるとこの献立は、出港直後だからだそうで、船旅が進むと保存のきく塩漬けや燻製ばかりになるのだと言う。たまに船員が釣り上げた魚が出ると、とんでもないごちそうに思えるらしい。

 食事は美味しいし、船員の話は面白かったけど、食事中の胃袋が揺さぶり続けられていることの影響は、ちょっと考えるべきだった。案の定、食事の間に気持ち悪くなり始め、中座して、晶屋でうなりながら寝転がる始末になってしまった。しばらく横になったら落ち着いてきたけれど、今度はまた、ちょっとお腹が空いてきている。明日からは食事を半分にしてもらって、残りを夜食に包んでもらおうかと思う。今日だって、半分までは食べられたのだし、ずっと晶屋にいたのでは船に乗ってる感じがしなくてつまらない。船員の人の話も面白いし、できればちょっとづつでも船に慣れたいとは思うけど、毎日お腹をすかせて寝るのは、ちょっとつらすぎる気がするから。

 晶屋は晶石という魔術をためたり記録したりする性質を持つ鉱石を用いて作る、テントのようなものです。

 魔力で固定されている空間なので、外の揺れは関係ありません。

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