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リリカシア=アジャ-アズライアの日記  作者: 真夜中 緒
ザヴィータ編
194/520

百九十九日目

 夜明け前に襲撃があった。

 こちらの損害は怪我人二人。

 一人は結構重い傷だったけど、なんとか命はとりとめた。

 相手は五人死亡。残りの連中もほとんどが手傷を負っているはずだ。

 夜を裂く笛の音に飛び起きて外に出ると、見張りが合図の笛を吹き鳴らしていた。一人は矢を腹に受けて倒れ、笛を吹いていたもう一人も矢の突き立った左腕を庇っている。

 走りでた護衛たちが傷を負った二人の前に展開し、襲撃を迎え撃とうとする。

 李湧さんが怪我人に走り寄るのを確認して、私は敵との間に障壁を展開した。

 放たれた二の矢がすべて燃え上がる。

 「こちらも矢を。」

 驚いている護衛を促す。すぐに我に返って弓を構えるのはさすがだ。ヒュウっという音をたてて矢が飛ぶ。

 「これを矢に。」

 手近の一人に遠隔魔術の符を押し付ける。すぐに意味がわかったようで、渡した符を矢尻に突き刺して、的に向かって射た。

 すぐに術を発動して飛ばす。

 どんっという音と閃光が落ちた。

 雷の魔術が矢尻に刺さった魔法陣上で発動したのだ。

 雷魔術というのは便利なもので、発動した場所の近くにある金属にうつる性質がある。ビリっとするだけでも大抵は武器を取り落とすことになるし、威力によっては持っている人間が黒焦げにもなる。難点はわりと魔力消費量が多いことだ。

 案の定、武器を取り落とす金属音と、混乱した悲鳴が起きた。

 護衛たちが息を揃えて突っ込んでゆく。

 勝負はあっけなくついた。

 白々と夜が明ける頃には賊は逃げ散り、死者と取り残された武器が落ちているだけだった。

 五人の死者のうちの一人は私が殺した死者だ。

 黒焦げになっていたのは、雷の魔術を至近距離からまともに食らったからに違いなかった。手加減出来なかったのだから、仕方がない。

 後始末をしてから出発した。

 もう襲って来ないだろうと思いたいけれど、仕返しに来ないとも限らない。警戒しながら道を急ぎ、夜の見張りの数も倍の四人にする。私も魔法陣をいくつか仕掛けておいた。

 賊が懲りてくれているといいんだけど。

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