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リリカシア=アジャ-アズライアの日記  作者: 真夜中 緒
ザヴィータ編
178/520

百八十三日目

 今日は感謝祭の日だ。

 次の水場が遠かったので、今日は灌木の茂みの側に天幕を張った。外に調理器具を持ち出して、満月を見ながら夕食をとった。

 今は三日月がいるので、夕食は外の三日月のそばで食べる。寝るときだけ晶屋を使うようにしている。

 満月を見ているとどうしても感謝祭のことを考えてしまう。私がいないからと言って、塔の女子部が光の宴を任されないということはないと思う。感謝祭の夜に正門前広場で行われる光の宴は、伝統的にリリカスの塔の女性魔術師、中でも未婚の女子部が主催することになっている。それは私が塔にはいるはるか前からの習慣だから、簡単に変わるはずがない。

 ただ、私が調子にのって無駄に派手にしてしまったので、その点では苦労させていそうな気がする。

 光の魔術というのは工夫するといくらでも派手になるもので、ついついやりすぎてしまうのだ。

 実は光を使って文字や肖像を描く方法も考えていたのだけど、見える方向が限定されるのが難点で、今のところ使ったことはなかった。どちらから見てもきれいなのは、やはり球形に整えやすい花の形だ。

 そういえば、そういう見てきれいな魔術を玉藻様に披露したことはなかった。なんでやらなかったんだろう。いかにも玉藻様の好きそうな魔術だったのに。

 夜はお会いし難かったとか、理由はあるけど。それでも部屋を暗くしてでも、お見せしておけばよかった。きっと喜んで頂けたのに。

 玉藻様のことを思うと胸がぎゅっと痛くなる。

 その度にふと腕輪が香る。

 私はきっと、いまだに玉藻様にご心配をかけているのだろう。

 しっかりしないと、とは思うけど、こういう湧きあがってくるような気持ちをどうにかするのは本当に難しいと思う。 

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