二十一日目
気がついたんだけど、船に酔ってない。
昨日も船中はしりまわってたけど一度も酔わなかった。
極限まで揺さぶられたせいで、慣れたとかそういうことなんだろうか。
とりあえず、ばんざい。
これで船中覗いて回れる。
ちょっと船が南に流されたそうで、今日も船員の人たちは忙しそうだった。風読みの爺様が船長と話し込んでるのも見た。丁度いい風を捕まえるのが難しそうなんだそうだ。次に通りかかると漕ぎての頭も加わっていた。そしてついでに呼び止められた。
風を思った方向に吹かせられないかという相談だった。一瞬なら簡単だけど、船を動かすのに使えるほど長くと言うのは難しいと答えると、船の方向転換をさせる間ならどうだという。
全く自信はなかったので正直に答えた。やったこともないし、海流や船の重さの影響もよくわからない。
とにかくいっぺんやってみてくれないかというので、引き受けてみた。やってみるだけで銀貨一枚。うまくいったらもう二枚の約束だ。しっかり方向を見定めるために星が出るのを待って実行することになった。
もう、甲板に魔法陣も書いたし、一応の手順も打ち合わせた。もうすぐ暗くなるから、そうしたら実行する。
うまくいくといいけど。
船長の下に帆を司る風見と、漕ぎてを束ねる頭がいます。他に料理人は船長の直属で、大抵は医師を兼ねます。