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リリカシア=アジャ-アズライアの日記  作者: 真夜中 緒
煌編
166/520

百七十一日目

 久しぶりに刺繍をした。革に開けた穴に順番に糸を通すだけだから、力はいるけど難しくはない。革ならしわにならないし、突っ張ったりもしない。ただ、手が疲れて痛くなるのは昨日と同じでそこは困った。

 私の模様はアジャの花や葉を図案化したもので、かなり単純な形をしている。そもそもはお母さんが考えて産着に縫いとっていてくれたものなのだけど、まるで私が刺繍は苦手になるのをわかっていたみたいだ。お母さんは刺繍の名手だったそうなので、いっそうそんな感じがする。

 エリシアに言わせると「他の模様との組み合わせが自在で優れた図案」なんだそうだ。私はほとんどこれしか縫わないから、あんまり関係ないんだけど。

 リリカスの塔に入って初めての新年の宴のときは、エリシアと一緒にみっちり刺繍をやらされた。自分の模様の他にエリシアとお揃えの模様を魔術師の衣に刺繍したのだけど、その衣が今でも使っている「普通にいい方の衣」だ。

 旅に出る前にさらにエリシアの手が入って、なんだかものすごく華麗な刺繍の入った衣になってしまったけど、今も夕飯のたびに役に立っている。エリシアさまさまだ。

 ちょっと思いついて星をひとつ、刺繍に加えた。

 「アズライア」の星だ。

 昨日と今日でかなり手がだるいけど、なんとか馬具が揃った。考えてみると自分の馬も馬具も持つのは初めてだ。うちは遊牧はしていなかったので、女の私まで自分の馬を持ったりはしなかったので。

 そこはちょっと、嬉しい。


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