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百六十六日目
昼食を包んでもらって、月毛と遠乗りに出た。
月毛に草を食べさせながら、そばで昼食を取っていると、なんだか実家を思い出す。わが家はもう放牧はしていなかったけれど、遊牧をしている叔父の家の従兄弟たちにくっついて、日がな一日羊の番をしたことなら何度もある。
羊たちが草を食むのを横目にみんなでお弁当を広げたりしたものだ。年長の従兄弟たちは時に馬上で食事を取ったりしていた。
月毛は大人しいけれどちょっと警戒心が強い質らしく、まだ私に心を許していないのがわかる。それは無理のない話なので、ゆっくり馴らすつもりだった。
私だって突然現れた他人と組まされたら、馴染めないだろうと思うもの。
ところで、月毛を旅に連れて行くなら天幕がいると思う。
私が晶屋で寝るとすると月毛が一匹で草原に取り残されてしまう。せめて簡単な天幕でもないと、恐ろしく悪目立ちするだろう。なんなら月毛を天幕にいれて、私は晶屋で寝てもいい。
早急に手配しようと思う。