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百六十五日目
ふと目が覚めて天幕を出ると、朝日が上るところだった。
草原の朝は肌寒い。
馬の様子を見に行くと、月毛はすでに起きているようだった。大柄な馬の並ぶ中で、月毛はひときわ小さく見える。
最近はことさら大きな馬が喜ばれるのだそうだ。ザヴィータ側の氏族がじわりと侵食して来てるのだそうで、小競り合いも増えているらしい。どうもザヴィータからの支援を受けているらしいという話も聞いた。ここでも、ザヴィータだ。
ザヴィータは何かをしようとしている。例えば世界の決まりやバランスを変えてしまうようなことを。
何がザヴィータをそうさせるのかが知りたい。
ほんの少しザヴィータを通りかかる程度のことでは、結局何も分からないのかもしれないけれど、それでも私は一度ザヴィータという国を訪れて見たいと思う。
朝食をご馳走になってから、宿営地を後にした。初めて乗った月毛はよく従ってくれた。
塔に話は通しておいたので、塔の厩に入れてやることが出来た。しばらくは毎日乗って慣らそうと思う。