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リリカシア=アジャ-アズライアの日記  作者: 真夜中 緒
煌編
148/520

百五十三日目

 塔主の厚意で塔の通信具をお借りした。上級魔術師でないと扱えない、魔術師の塔になら必ずある通信具は専用の部屋に収められている。通信具を見たことは私も一度しかないけれど、使える自信はあった。

 晶石と魔導金をはめ込んで描いた魔法陣の中央に、リリカスの塔の紋章を置く。魔法陣の下に下がった魔導金を仕込んだ糸に、軸に晶石を仕込んだペンが下げてある。

 リリカスの紋章に魔術を流すと魔法陣が発動する。うまく狙いの塔の通信具と同期すると、ペン軸の晶石が光りはじめる。

 ペンをとり、糸で魔法陣と繋がった状態のままで文字を綴る。綴った文字は同期した通信具の方でも同じように綴られる。通信具には送信具と受信具があって、必ず対になっている。それで本当の緊急時には文字を通じて会話ができる。

 自分の名前を綴り、前に手紙を書いたので読んでほしいこと、無事に旅を続けていることを書き込む。細かく書きはできないし、大雑把に書くと意外に書くことがない。

 結局走り書きのような短い手紙を書いた。

 返信が来たら知らせてくれるようにお願いして部屋を出る。

 通信具は普通、塔同士の連絡に使われるもので、例えば上級魔術師資格を取得する者が現れたときなどに、その事実を公表するのにも使われる。私が資格を取ったときには送信具に魔力を通して各地の受信具に同期させる仕事を私がつとめた。普通、二三台がせいぜいだという作業を、ほとんど全部の塔に同期させられた時は、我ながらおどろいた。試しにとさせてみた塔主さまも驚いていた。

 だから、使える自信はあったのだ。

 自分の部屋に戻るとちょうど昼食が届いていた。小麦をねった皮に肉や野菜を包んで揚げたものだった。皮がパリパリするのが美味しい。

 午後からは塔の蔵書を読んで過ごした。

 昨日から夕食時の着替えは「普通に良い服の」のほうにしている。今日もそろそろ着替える時間だ。

 


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