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百四十九日目
お嬢様の熱も下がり雨もやんだので、都へ向けて出発した。ちょっと急げば今日中に着くらしいけど、お嬢様の体調もまだ本調子ではないので、急がずに明日の到着の予定だ。
そんなわけなので今日はまだ空の青いうちに宿についた。
さすがにわざわざ私が手配しなくても、お嬢様には粥が出てくる。あとは黄色い漬物と青菜の塩炒め、蒸し鶏を裂いたのと、川エビと青い豆の炒め物。
私とふじさんも同じ料理のご相伴にあずかったけれど、どれも結構さっぱりしている。面白かったのは黄色い漬物で、お嬢様とふじさんに言わせれば、それは筍なのだそうだ。食べてみると塩がきいて、コリコリした食感が心地よい。
季節が違うというので神威で食べそびれた筍を、こんなところで食べられるとは思っていなかった。
明日はゆるゆる進んでも昼には都に着くそうだ。