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百四十三日目
今日も昨日と同じような調子で進んだ。
一行の中にも魔術師の衣をまとっているものは結構いるが、もちろんみんな煌の襟の高くて詰まった衣装を着ているし、そもそも女は私一人なので目立つ。護衛の中には輪をつけている者も何人かいた。
煌では女魔術師は結構珍しいようだ。
馬に乗れることも含めて面白がられているようだった。
「姉ちゃん、結構乗れるんだなたいしたもんだ。」
髭面の(護衛には髭面がちょいちょいいる。)護衛が声をかけてきた。
「魔術師みたいだし、お嬢様の護衛かい?」
魔術師と馬の組み合わせは、彼の中では護衛らしい。
「臨時の側使えです。この旅の間の。」
答えると面白そうに笑った。
「なんだ、俺らと同じだな。襲撃でもあったらお嬢様の護衛は姉ちゃんに任せるか。」
「頑張ります。」
そう答えると笑いながら行ってしまった。
休憩は今日もお嬢様の馬車で取った。お茶もお菓子も美味しくて、とても嬉しい。
今日の行程もつつがなく終わって宿についた。
地主の舘の離れが今日の宿だった。