百三十四日目
闇子どのの事をどうやって知らせるか、考えた。
煌にはいくつかの塔があるけれど、そこからリカドに連絡するのは考えものだ。煌はなまじ神威の隣国だし、微妙な内容は知られない方がいいかも知れない。
それに、リリカスの塔だけでなく、むしろ神威の王がたにこそ知らせるべきという気もするのだ。
神威は特殊な国ではあるけれど、塔や上級魔術師に係ることは、本当なら国の大事であるはずだからだ。
悩んだ末に、私は玉藻さまに手紙を書き、中にリリカス宛の手紙を同封した。玉藻様のもとにはいつもたくさんの手紙が届いていた。一番さり気なく知らせることができるのは玉藻さまにだと思う。
港で神威ゆきの荷を探す。
料金を払って便乗させてもらうのだ。ここから船便で神威となると船を乗り換えてのことになるので、船に直接頼むより荷主に頼んで手紙を荷に入れてもらう方が確かで早い。実際、玉藻さまのもとにもこの方法で送られた手紙が来ていた。
おあつらえ向きに花街宛の荷があった。
楚割や昆布などの北の特産品がはいっている。
荷主を見つけて頼むと、銀貨三枚で引き受けてくれた。
これで多分、なんとかなるだろう。
港に出たついでに煌への船を探した。なんと、明日早朝の出港だという。空きがあったので早速予約をいれた。
水以外は自前だというので、大急ぎで買い物をする。花街への荷を見たときに思い出した楚割と昆布は、やはり神威よりも随分安かったので多めに買った。
空いていたのは一番小さい部屋だったけど、料金も安かったので気にしない。なんなら晶屋もあるし。
夕食は焼きおにぎりと豆腐田楽にした。