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百三十三日目
予定通り朝早くに塔を出た。
わざわざ塔主が見送りに出てきた。闇子どのがお弁当を作ってくれていた。
並ぶと、やっぱり姉妹だ。よく似ている。
改めてもてなしへの感謝をのべると、塔主が旅路への寿ぎをくれた。
下りは顎でなく、項へ下りる。項の港からは大陸の煌への船が出ている。
確かに道は顎からの道より険しく、その代わりに短かった。山の登り口から直ぐに港町だったからだ。困ったのは町が意外に小さくて宿が少なかった事だ。歩き回ってもちょうど良さそうな宿は見つからなかった。
仕方ないので今日のところは、山の登り口のあたりで野宿することにした。野宿といっても晶屋だから特に困らない。登り口まで戻ったのは、町中で晶屋を使っていると驚かれそうだと思ったからだった。
山の下はまだ結構暑いので、温度変化のない晶屋の中は快適だ。足がかなり疲れたので足湯をしたかったのだけど、それほど大きな鍋も桶も持っていない。
先のことを考えると買うべきかなあ。
夕食はいつもの乾物の雑炊で済ませた。