百二十六日目
分不相応、という言葉についてこれほど真剣に考えたのは初めてだ。
私が今受けている扱いは分不相応だと思う。
でも、私が上級魔術師の資格を取ったのは、それが必要だからだ。
私の魔力を収めるのに、それは絶対に必要なものだ。
私は魔力が強い。とても、人並外れて。
それは私が周囲の魔力をとても取り込みやすいということなのだ。初めてリリカスの塔主さまにこの説明を受けたとき、私にはそれがどういう事なのかわからなかった。今はわかっている。
魔力が暴走しやすいと言う事なのだ。
周囲の魔力を取り込んで、私の術はともすれば膨れ上がり、意図した以上の影響をもたらす。その力の制御のためには上級魔術師の知識と技能が必要だった。
私がどの術でも使いこなせるようになったのは、上級の資格を取れるほどになってからだ。中級のどの資格も、初級の資格でさえも取るのは本当に大変だった。
本当に私は、新米魔術師なのだ。だって上級の資格を得て、初めて私はちゃんとした魔術師になれたのだもの。
そして上級魔術師というのは、国の力の一翼を担う存在で、魔術師の塔を率いるべき存在でもある。
なんかもう、どうしたもんなんだか、さっぱりわからない。
周囲の魔力を取り込んで術を暴走させやすく、上級魔術師の資格を魔力の制御のために取らなければならない者は、ごく稀に生まれてきます。
制御が可能になれば強い魔術師として大成することが多いですが、そこにたどり着く前に命を落とすことも珍しくありません。
彼らのような者は「申し子」と呼ばれ、できるだけ早く塔に保護することが望ましいとされています。




