十三日目
また一日日記をとばしてしまった。
昨日、今日は目のまわるほど忙しかった。
とりあえずは現状をなんとかしなきゃいけないのはわかっていた。自分には生えてもいない髭の汚ればかり、落としてはいられない。
それで私は暇を見て魔法陣を組んでみた。
汚れ落としの魔法はもともと、汚れを浮かす、汚れを散らすの2つの印の、威力を加減しながら使う。嫌ってほどの数の髭の汚れを落としてわかったのだけど、使用方法を髭や髪、体の汚れ落としに限定する分には、それほど力加減はいらない。つまり結構魔法陣を組むのに向いているのだ。それで、試しに羊皮紙を切ったものに組み上げた魔法陣を描いたも符で、髭をなでて汚れを落としてみた。
最初思ったよりも力を低めで安定させたほうが良さそうなのがわかって、何回か魔法陣を直したけれど、思った通りの使い方ができるのがわかったので、手の平に収まるぐらいの大きさの符を作って売ることにした。
一枚銅貨六枚。何回も使えます。
漕ぎての一人のかなりドロドロになっていた髪を、その符で何度か撫でることで効き目を証明してみせると、飛ぶように売れた。
おかげで今日はひたすら符を作っては売っていた。これでたぶん、全ての人に行き渡ったはずだから、明日は誰の髭の汚れも落とさなくてすむはずだ。
羊皮紙は高価ですが丈夫なので符には良く使われます。山羊皮一枚分で銅貨百枚ほどもします。