百十四日目
昼頃に川が開いた。
ちょっと川幅が広がっているので、船の数を幾つか増やして舟橋をかけるそうだ。
午前中、川の方を見ていると両岸で様々な旗を振って連絡を取っているのを見かけた。
舟橋をかけるところは、橋を解くところとちょうどはんたいだった。両岸から船を漕いで一列に並べ、しっかりと繋いで錘を下ろす。岸から順送りに板を送って並べるとあっという間に船橋が出来た。
行きと帰りと急ぎの三本なのは、前に見たのと同じだ。
橋の準備が始まると宿から色の付いた札が配られた。私が渡されたのは橙色の札で、同じ色の旗が振られたら橋を渡れるのだという。
早くに宿を取った者から順に川を渡れる仕組みになっているようだ。
まずは赤い旗が振られ、舟橋をどやどやと人が渡りだした。
いつでも引き払えるように荷物はまとめてあるけれど、今日中に全員渡れないのはわかっている。順番は赤、橙、黃、緑、青、紫と決まっているそうで、今回の赤は前の川どめの時から待っている人たちだ。
宿の支払いをすませ、しばらく待っていると橙の旗が振られた。橋の少し手前で簡単な柵が組まれ、そこから先には札を渡さないと入れない。それでも橋のたもとはとても混み合って、列に並んで待たなければいけなかった。
橋を渡った
やっと五十番宿だ。
ただ、当たり前だけどここも四十九番に劣らず混んでいた。
太陽はまだ高いし、せめて次の宿場まで歩きたい。
そう思う人は多いようで街道も混んでいて、しかもみんな足早に歩いている。
頑張って、五十二番まで歩いた。
人は結構多いけど宿が取れないほどではない。
宿を取って寝る場所を確保すると、あるもので雑炊を作って食べた。
明日は早くから歩きたいと思う